夫婦の年齢差が大きいので、老後資金を多めに用意したいのですが


伊藤 美和先生 プロフィール
貯蓄や投資を始めてしばらくすると、誰の頭にも思い浮かぶのが1000万円という夢の数字。「1000万円お金を貯める」ということはハードル走に似ています。100万円、300万円とハードルをクリアするごとに貯まるスピードはどんどん加速していきます。この「貯める・殖やす」のコーナーでは、皆さんがハードルを楽に越え、早くゴールにたどりつけるよう、お手伝いができればと思います。何でもお気軽にご相談ください。

沢井 知美さん(仮名)のご相談

昨年11月に待望の第一子を出産し、現在私(妻)は育児休暇中です。できるだけ早く2人目も欲しいと思っていますが、心配なのは子どもの教育費と老後資金のこと。現在夫は44歳なので、子どもの一番お金のかかる時期に定年退職(60歳)となってしまいます。主人の定年までに最低でも6000万円(できれば8000万円)貯めるためのアドバイスをお願いします。

沢井さん(仮名)のプロフィール
30歳。現在は育児休業中。44歳のご主人(会社員)と2ヶ月の長女との3人家族。住まいはマンション(持ち家)

収支の状況

1.収入
 月収(夫/手取り) 430,000 円  月収(妻/育休手当) 80,000 円
2.月間支出費用
 住宅ローン 90,000 円  管理費(駐車場代込) 36,500 円
 車費(2台分) 20,000 円  食費 50,000 円
 水道・光熱費 28,000 円  電話代(ケーブルTV込) 6,000 円
 携帯電話代 8,000 円  子ども費 10,000 円
 夫こづかい 75,000 円  妻こづかい 30,000 円
 新聞・雑誌代 4,000 円  保険 60,000 円
 貯蓄 80,000 円    
3.ボーナス収入(手取り)
 ボーナス(夫/手取り) 176万円×年2回    
4.ボーナスからの支出
 貯蓄 110万円  固定資産税
 (実家分も負担)
18万円
 車税金(2台) 5万円  車ローン 30万円
 自動車保険(2台) 10万円  家電・被服費 30万円
 海外旅行 40万円    

現在の貯蓄等

   毎月の積立額 総額 備考
 普通預金 218万円  
 定期預金 720万円 ボーナス時40万円
 通常貯金(郵便局) 2万円 3万円 子ども貯金
 定額貯金(郵便局) 163万円
 財形貯蓄 1万円 51万円 ボーナス時5万円
 国債 10万円  
 学資保険(郵便局) 15,000 円 長女分(17歳満期350万円)
 養老保険 39,000 円 夫(60歳満期680万円)
 ユニットリンク 3万円 夫(60歳満期730万円)

今後の予定&ライフプラン

  • 平成18年  第二子出産希望。
  • 平成24年 車買い替え300万円。

※子どもが2歳になってから毎年海外旅行に行きたい(予算50万円)
※国内旅行は毎年年2回行きたい(予算20万円)
※子どもの進路は高校までは公立、大学は私立も検討
※できれば同じマンションの中で間取りの広い家に買い替え希望(予算1000万円)
※両親の介護が必要になった場合、妻が介護休職をとる予定

資産運用の方針

  • 株式・外貨商品の利用はゼロ。今後もハイリスク商品で運用する予定はなし。

株投資について

  • 住宅ローン  残8年(残債1600万円)。毎年約200万円返している。
  • 自動車ローン 残2年(残債 60万円)。毎年約30万円返している。

7000~8000万円貯めるなら、これから5年が勝負!

リスクについて見つめなおしてみましょう

「株式・外貨商品の利用はゼロ。今後もハイリスク商品で運用する予定はなし」という沢井さん。一見堅実な資産運用をされていますが、リスクは思わぬところに潜んでいるもの。まずはリスクについて見つめなおしてみましょう。

「リスク」というと「避けた方が賢明なのでは?」と思いがちです。でも金融商品には大なり小なり必ず何らかのリスクがあることを忘れてはいけません。それでは金融商品にはどのようなリスクがあるのでしょうか。主として以下のようなリスクの種類があります。

チェック!<主なリスクの種類と内容>

「金融商品のリスク」と言われて普通の人がすぐ思い浮かべるのは、価格変動リスクや為替変動リスクです。でも老後に向けて7000~8000万円貯めたいということであれば、インフレリスクや信用リスクについても考える必要がでてきます。

<信用リスクとペイオフ解禁>
今年の4月1日からは預貯金の「ペイオフ」が解禁となります。預金保険によって保護される範囲は「1つの金融機関につき、預貯金の元本1000万円+その利子」となります。預金が2000万円、3000万円……と増えていったら1つの金融機関に預入れる金額は1000万円まで、と注意することが必要です。

チェック!<ペイオフとは?>

<インフレリスクについて>
奥様はまだ30歳です。平均寿命の年齢まで、あと50年以上も人生が残されています。全ての金融資産を預貯金に預入れたまま、この間に1回でもインフレ(急激な物価上昇)が起こったら、預金の価値は大きく目減りしてしまいます。例えば物価が2倍になったら、8000万円の預金の価値は4000万円程度に目減りしてしまいます。

今は長いこと低金利とデフレが続いているので、想像しずらいかと思いますが、インフレの特性は「急に進行する」ということです。一度インフレとなったら、2倍とか3倍とかではなく、10倍、20倍という急激な物価上昇が起きる可能性もあるのです。

無理に投資をお勧めするわけではありませんが、若い方が老後資金を貯めていく場合はインフレリスクを想定してお金を預け分けを考えていくことが大切です。もう一度お金の運用スタンスについてご主人様と話し合われてみてはいかがでしょうか?

毎年いくら貯めればいいか考える

沢井家では、ご主人様の退職時に保険等(学資保険・ユニットリンク他)の満期金が2030万円おりる予定です。また退職金も2500万円見込めるとのことで、合計すると4530万円になります。「老後資金の目標額」と比べて不足する部分について、毎年いくらずつ貯めていけばいいか、下の表にまとめてみました。6000万円なら、万が一奥様が退職されても達成できそうです。でも今の豊かな生活を維持しながら7000万円・8000万円貯めるとなると共稼ぎが前提となりそうです。

<老後のために毎年いくら貯めればいい?>
目標額 保険の他に
貯める金額
毎年の貯蓄額※1 毎年の貯蓄額※2
6000万円 1470万円 91万円 85万円
7000万円 2470万円 153万円 142万円
8000万円 3470万円 215万円 200万円
※1:年1%で複利運用する場合、毎年必要な貯蓄額。
※2:年2%で複利運用する場合、毎年必要な貯蓄額。

介護リスクを考慮すると「今から5年が老後資金の貯め時」

ご主人様と年齢が離れているので、義父母様はいつ介護が必要になってもおかしくないご年齢かと拝察いたします。また急な病気やケガで要介護状態になるリスクは年々高まっています。介護は介護休暇の期間を超えて10年・20年かかることも珍しくありません。一方、7000万円以上老後資金を貯めるためには「共働き」が前提となります。奥様は収入・休暇制度とも恵まれた会社に勤めていますが「介護リスク」を考えるなら、ここ5年を老後資金の貯め時と考え、海外旅行や大きな支出を控えて、貯蓄&運用に励むことが肝要かと思います。

お子さん達には小さい頃から自立のための金銭教育を

最近、シニアの方の悩み事で多いのは「子どもが自立しなくて困っている」というものです。大学を卒業してからも、大学院に進んだり、専門学校に改めて通ったり、ということで教育費が予算オーバーしたり、深刻な場合は勉強もせず、就職もせずといういわゆる「ニート」になってしまうケースもあります。ニートを抱えたご家庭の親御さんは、精神的にも経済的にもご苦労の多い生活となります。

沢井家の場合は、毎年海外旅行を予定しているなど、恵まれた消費生活を送る予定の一方で、ご心配の通り、お子さん達が10代の半ばでご主人様が定年を迎えてしまいます。「ニートを抱えるリスク」は年々高まっていきます。リスクを減らすには、お子さん達に小さいうちから自立のための金銭教育を意識的に行っていきましょう

チェック!<金銭教育は小さいうちからの取り組みが大切>

チェック!<金銭教育に役立つ絵本>

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