パートの主婦ですが、iDeCoに興味があります。 どんなメリットがあるのでしょうか?


今回、回答いただく先生は…


鈴木 暁子先生
(すずき あきこ)プロフィール
  • 専業主婦、パート主婦の年金準備は自助努力が欠かせません。
  • iDeCoの特徴を理解しましょう。
  • 運用はトライ&エラーで上手になっていきます。オトクな制度で一歩を踏み出してみては?

吉倉美和さん(仮名 30歳・パート)のご相談

夫と子どもの3人家族です。昨年から始まったiDeCoですが、慌ただしく過ごしているうちに出遅れてしまったので、制度について教えてください。また周囲のママ友との話題にはあまり出てこないので、どうやらやっている人はあまりいないのではという感じです。私にもメリットはあるのでしょうか。始めたほうがいいですか?

吉倉美和さん(仮名 30歳・パート)のプロフィール

家族構成 年間収入 貯金
本人
(30歳・パート)
年収:120万円
(毎月自分のこづかい2万円を引いた残りは貯金)
約200万円

(34歳・会社員)
年収:550万円 約350万円
第一子
(4歳)

強制加入の年金だけでは不安な老後に備え、
税の優遇も受けながら運用していく仕組みです。

1.年金制度を知ると、iDeCoの必要性が理解できます。

吉倉さん、こんにちは。昨年は年初からiDeCoの話題でにぎわっていましたね。ただ、正直なところ私の周囲でも、専業主婦やパート主婦の方がご相談に来られたのはそれほど多くはありませんでした。お話をしていて感じたのは、もともと資産運用に興味を持っていた方はiDeCoを利用できることになって比較的敏感に反応されましたが、そうでない方には未だ運用に敷居の高さを感じているのか、自分には関係ないものとして制度を知ろうというお気持ちもあまり持っていらっしゃらないようでした。
ご自身に選択肢が増えたにもかかわらず、食わず嫌いはもったいないと思います。まずはしっかり仕組みを理解しましょう。やるかやらないかはその後に決めれば良いのですから。

ではさっそく、仕組みを見ていきましょう。iDeCoの正式名は「個人型確定拠出年金」といって、年金を準備する制度です。美和さんはご自身やご主人様がいつからどのような年金をもらえるかわかっていますか?

年金には、いわゆる公的年金と言われ、美和さんご夫婦であれば65歳からもらえる「国の年金」、企業が独自に導入している「企業の年金」のほか、自助努力で準備する「じぶん年金」があります。下図でいうと、黄色の部分が国の年金、青の部分が企業の年金、緑の部分がじぶん年金になります。また、赤線の太枠の部分が強制加入で黒の細枠は任意加入です。

年金制度の概要

こうして見ると、専業主婦や扶養の範囲のパート主婦である3号被保険者の方は、年金を準備する手段が少ないことがわかると思います。ですからご自身の年金を増やすには、自助努力の部分が非常に大きな役割を果たすことになるのです。

2.iDeCoのメリットや注意点をしっかり理解しましょう。

次にiDeCoの特徴やメリット、注意点についてお話しますね。ただしあまり詳細な説明をするとわからなくなってしまうと思いますので、今回は吉倉さんのようなパート主婦(3号被保険者)の方を前提としてお話いたします。

iDeCoの主な特徴として、以下のようなものがあります。

①運用する
iDeCoは毎月掛金を拠出して金融商品を買付け、運用をしていく仕組みです。運用をすることで、単に貯金するだけでは得られない運用益を期待でき、資産をより大きく育てていくことを目指します。もちろん運用ですので掛金の元本を下回ってしまう可能性もあります。

②掛金の拠出も運用も加入者本人が行う
掛金を拠出するのも、運用も、加入者本人が行います。掛金は(自営業、専業主婦など)立場によって上限が違いますが、パート主婦(3号被保険者)の場合は毎月2万3千円です。5千円から千円単位で積み立てが可能です。

③原則60歳になるまで引き出しできない
iDeCoは老後資金準備が目的です。したがって原則60歳になるまでは引き出せません。老後資金は着実に貯まりますが、逆に60歳未満で必要になる資金作りの手段としてiDeCoは向かないということになります。なお積立途中で掛金の拠出が苦しくなった場合には、中断や金額変更は可能です

では始め方ですが、主な流れは以下のとおりです。

運営管理機関を選ぶポイント

運営管理機関というのは運用商品をラインアップし、それらに関する情報提供を行ってくれる機関です。加入者の資産の記録や管理、また加入者からの運用指図を受け買付けなど、さらには将来支払いの際の手続きなどを行うのも運営管理機関です。多くは金融機関ですが、これはご自身で探していただく必要があります。主なポイントとして、以下を参考に選ぶと良いでしょう。

iDeCo開始の流れ

最後にiDeCoのメリットについてですが、税の優遇があるということです。

①掛金を拠出する時
拠出した掛金は全額所得控除の対象となり、所得税、住民税の軽減につながります。
たとえば現在美和さんは120万円の収入があるので、所得税、住民税を納めていますよね。
もし毎月2万円ずつ(年額24万円)拠出したとすると、その分は収入から差し引くことができます。つまり所得税はゼロとなり、源泉徴収された所得税は確定申告によって還付されます。

②運用している時
一般の運用であれば、利益に対して20.315%の税金がかかりますが、iDeCoで運用している間は利益に課税されません。たとえば30歳から60歳になるまでの30年間、毎月2.3万円円ずつ拠出していくと、拠出額合計は828万円です。これを毎年3%で運用できたとすると、一般の運用であれば税引き後約1,206万円、iDeCoであれば約1,334万円と、約128万円もの差がつきます。

③受け取る時
60歳になって受け取ることになった時、一時金として受けとるのであれば「退職所得控除」といって30年間であれば、受取額が1,500万円までであれば税金がかかりません。また、年金で受け取る場合も「公的年金等控除」が使え、他の所得と合算して一定額までは税金がかかりません

3.パート主婦でもメリットはあります。

もともと年収100万円程度で所得税のかからない働き方をしている方にとっては所得控除のメリットはありません。しかし、美和さんのように所得税を納めている方にとっては、税金において3つの優遇を享受できます。また、冒頭で述べたように、主婦の方はご自身の年金が少ないので、その意味でも年金を増やせるというのは老後の安心につながるでしょう。

ただ、吉倉さんのご家庭はこれから教育費をはじめ住宅費などいろいろな支出も多いので、60歳までにも使いたいお金もあります。現在ご自身のお小遣い以外はほぼ貯金に回せているとのことですので、そのうち2万円程度をiDeCoに回しても60歳までの支出に支障が出ないようであれば、iDeCoを活用するメリットは大きいと思います。

吉倉さんのように若い世代は、好むと好まざるとにかかわらず、資産づくりには運用を視野に入れる必要があります。初めて運用というのはハードルが高いとは思います。ただ、できる限りリスクを軽減するポイントとして、「少額で」「定期的にコツコツと」「長期間時間をかけて」「分散投資」をするというのがセオリーです。iDeCoはまさにこのセオリーに忠実な仕組みですよね。運用も教科書どおりにはいきません。私も含め、トライ&エラーを繰り返し運用が上手になっていきます。ぜひオトクな制度で初めてみることをご検討してみてください。