社宅から持ち家にチェンジできるか!?


社宅から持ち家にチェンジできるか!?



市田 雅良先生
(いちだ まさよし)
プロフィール
 

  • 現状を分析し、将来を予想してみよう
  • 「使途不明金」は、どうして生じるのだろう
  • 家計面から見た住宅取得のポイントとは

赤坂 清美さん(仮名 37歳 会社員)のご相談

子供2人が間もなく就学する時期を迎えます。手狭になった社宅から一戸建てに移りたいと思い、新居取得を考えています。自分たちにとって、はじめての大きな買い物です。購入するための頭金やローンを含めた資金的なことなど、住宅取得に関して中立公平な立場でのアドバイスをお願いいたします。

赤坂さんの家族構成

赤坂 清美さん 37歳 昭和46年2月25日生 会社員 世帯主
赤坂 洋子さん 37歳 昭和46年5月14日生 会社員 配偶者
赤坂 潤 君 6歳 平成14年6月7日生 乳幼児 長男
赤坂 初美ちゃん 4歳 平成16年12月20日生 乳幼児 長女

年間の収入

●世帯主 清美さんの収入
給与収入 815万円  
社会保険料・税 ▲175万円  
可処分所得 640万円  
●配偶者 洋子さんの収入
給与収入 135万円  
社会保険料・税 ▲19万円  
可処分所得 116万円  
夫婦可処分所得合計 756万円  

年間の支出

支出の部
日常の生活費 240万円  
その他費用 20万円  
住宅関連費 35万円  
教育費 22万円  
生・損保保険料 7万円  
使途不明金 192万円 ※要注意
貯蓄額 240万円  
支出合計 756万円  
使途不明金さえ無くなれば住宅購入+貯蓄も可能 先ずはその解明が先決

現状の分析と、住宅購入の前提を整理する

共に働いておられるので、税金や社会保険料はお給料から差し引かれています。したがって、夫婦二人の可処分所得は756万円と、平均的な家計収入より高いランクといえます。

日常の生活費は一般的な家計より少ない部類ですが、「使途不明金」が192万円と多く、生活費をもう一度洗い直す必要がありそうです。 要注意なのは「使途不明金」です。これは収入と支出のバランスの歪みに生じた差額を出しますが、収入の把握に問題がないとすれば支出の把握に問題があることになります。特に共働きで、家計のお金の流れが一目瞭然にわからないところに問題がありそうです。
年間貯蓄を240万円と回答していただきましたが、上記のことから、他に財形や投資積み立てなど洗いだしてチェックしてみましょう。

お子様はお二人とも、高校から「私立」という教育方針がおありなので、教育資金計画が特に必要になります。
また、結婚援助資金を100万円と想定しました。これが少ないかどうかは、お子様が成人する時期に話し合ってみてください。理由は、親世代の公的年金の収入不安に備えるためには子供関連資金にばかり目をやってはおれない状況があるからです。でも、そういった観点から突き詰めて考えると、大学関連費用についても、奨学金などを活用して親の負担を少なくする工夫が必要かもしれません。

子供2人の教育資金予測

  西暦   入学金など 年間の教育費 合計
長男
潤 君

2008

幼稚園通園公立2年

 

22万円

22万円

2009

小学校入学公立

 

27万円

27万円

2015

中学校入学公立/自宅

 

38万円

38万円

2018

高校入学私立/自宅

49万円

85万円

134万円

2021

大学他入学私立文系/自宅

76万円

160万円

236万円

2030

結婚

100万円

 

100万円

  西暦   入学金など 年間の教育費 合計
長女
初見さん

2009

幼稚園入園公立2年

 

22万円

22万円

2011

小学校入学公立

 

27万円

27万円

2017

中学校入学公立/自宅

 

38万円

38万円

2020

高校入学私立/自宅

49万円

85万円

134万円

2023

大学他入学私立文系/自宅

76万円

160万円

236万円

2032

結婚

100万円

 

100万円

2009年を目途に3,500万円程度の1戸建ての購入を検討。ローンは年齢のことを考え、25年返済で62歳くらいの完済を想定しています。自己資金も貯まっており、住宅購入にはいいタイミングかもしれません。大きな買い物ですから購入物件のチェックとローン計画が必要です。

住宅ローン計画

購入予定時期 2009年 借入金融機関 フラット35
購入物件 新築1戸建 返済方法 元利均等
購人価格 3,500万円 当初借入金額 2,000万円
購入諸費用 500万円 適用金利 3.0%
合計費用 4,000万円 返済期間 25年
住宅ローン借入額 2,000万円 毎月返済額 94,842円
ローン返済総額 28,452,481円 年間返済額 1,138,104円

上記の仮定を設定して、ローン返済の目安を年間で検討します。
年間113.8万円の返済は、赤坂家の収入に対する割合からみて家計への負担の影響度は少なく感じます。でも、社宅での住宅関連支出が年間35万円程度であったことからみれば、3倍超の大変な支出額となります。実際ローン返済が始まれば、家計支出の内容が大きく変わりますので、その覚悟はしておいてください。
62歳に完済予定ですが、その年齢には公的年金は、まだ一部しか受給できない時代です。60歳が定年退職時期ということであれば、お子様が自立・独立し教育資金のウエイトが軽くなれば「繰上げ返済」を計画的に実施していきましょう。

住宅ローン返済明細

ご希望の住宅を2009年に購入されても、家計破綻には陥らないでしょう。ただ不安なのは、使途不明金があることです。家計の全体を掌握されていないことになります。今後の変化していく家計を運営していくためにも、使途不明金をなくしたいものです。

現状のキャッシュフロー表では、使途不明金を支出項目として取り扱っています。これを見て分析すると、貯蓄残高の推移は金額的には不安ながらも「マイナス」にならないことから、家計破綻まではいかないと予想されます。しかし、このままですと、「リタイア後」の貯蓄の少なさに不安が付きまといます。使途不明金の原因を究明し、家計のガラス張り化を検討してみてください

キャッシュフロー表

住宅取得プランを実行に移すためのチェックの仕方

  1. 「いくらなら返済できる」をまず念頭に、購入能力をチェックする
    • 頭金は物件価格の2割以上必要
    • どのくらいなら無理なく返済できるか
    • いくらくらいの住宅を買えるのか
      などの、自己資金額や収入から、ローンの返済にまわせる金額を確認。
  2. 住宅ローンの種類を見積もりながらチェック
    • 物件により、「フラット35」などのローンが借りられない場合もある。
    • 自分の勤続年数、年齢、年収などを具体的に考え、借りられるローンの種類や特徴を確認。
  3. ローン会社を決定したなら、返済方法を決める
    • 物件の価格から頭金を引いた価格はいくらか
    • 住宅ローンの種類を選ぶ
      家計にあった返済方法を考える。
  4. ライフプランにもとづく返済計画の確認
    • 年間返済額は年収の20%以内(目安です。赤坂さんはもう少し高くても生活が可能です。)
    • 毎回の返済額に無理はないか
    • 段階金利を選択した場合であれば、返済額の変化などに無理はないか
      ライフプランと照らし合わせて、特に教育資金需要のピーク時に無理がないかなどをチェックし、返済計画する。
  5. 住宅購入の諸費用についての把握
    • 登記関係は?
    • ローン保証料は?
    • 家財の購入、引越し費用等も考慮する
    • 諸費用は資金計画では忘れがちです、事前に確認しておきます
      実際に契約をする前に、住宅ローンや返済条件が自分自身のライフプランや収入に合っているかどうかを確認することです。
  6. 自己資金の計画 の考え方
    • 一般的には、自己資金のうちの多くの部分は、「頭金」として購入価格や建築費の一部に充てられます。通常、購入価格の20%以上必要とされています。その他、税金、各種手数料などの「諸費用」も自己資金で支払います。

住宅購入で変わるライフスタイル

住宅購入等大きなイベントがあった後のライフスタイルは、大きくチェンジすることを知っておきましょう。

念願の住宅を購入したのに、ローン返済ができずに持ち家を諦める方は増えています。無計画に購入を進めることは、家族をも巻き込む不幸の始まりといっても過言ではありません。
赤坂さんには、予測し、計画し、そのようなことが起こらないように対策を立てる時間があります。

無論、住宅購入のためのプランニングは必要です。でも、それと同時に購入後の家計が大きく変わることも、あらかじめ予想しておくべきといえます。ただ、分かっていてもなかなか予測しづらいものがあります。まず、無駄な支出などを見直して、これならば大丈夫という計画を持つことが重要となります。

赤坂さんは収入の範囲内での支出のやりくりはできているわけですから、多額の「使途不明金」という現状を見詰め直して、住宅購入というイベントを乗り切ってください。

赤坂家の住宅購入した後の2010年頃の家計収支の予想と目安

年収から可処分所得の求め方   支出 年額
年 収
950万円
  住宅ローン返済
年間 113.8万円
(年収の20%以内)
住宅ローン 113.8万円

年収-社会保険-税金=可処分所得

※ 可処分所得から住宅ローンを差引いた残りで消費生活や貯蓄を行うことになる。

食費 84万円
水道光熱費・通信費 48万円
教育・習い事

54万円
衣服費 24万円
交際費・娯楽費・趣味 60万円
消耗品等 48万円
こづかい 60万円
生命保険 24万円
貯蓄 240.2万円
所得税・住民税
約8%
合   計 756万円
 
社会保険料
約12%

※ 新居に引っ越せば、食費や水道光熱費が思いも寄らないほどかさばります。できるだけ家計運営は、そろりと船出をするように気を配ってください。(必要生活費など、一般的な数値を目安として入れました。)

※ 生命保険ですが、ご夫婦合わせてお子様への経済的な責任として月2万円程度の保険料を予測しています。今回は詳しく触れることができませんが、リスク対策として検討が必要です。

※ まず使途不明金の原因の究明あり気ですが、その次のステップとして、貯蓄は年間240万円程度が可能と予測できます。

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