社宅を出て住宅取得を考えていますが、 妻の「持参金」を組み入れるかどうかでもめています。


社宅を出て住宅取得を考えていますが、
妻の「持参金」を組み入れるかどうかでもめています。

市田 雅良先生 (いちだ まさよし) プロフィール
 
  • キャッシュフローで将来を予想しよう
  • 住宅購入計画と住宅ローンはシミュレーションが大切
  • 持参金は家計に入れない。もし入れるのなら、最終手段に

秋沢 真樹夫 さん(仮名) ご夫妻のご相談

現在、社宅住まいですが、数年先には一戸建てのマイホームを建てたいと夫婦で話し合っています。
そこで、住宅取得の自己資金をどのくらい見込んでおけばいいのか検討中なのですが、夫は独身時代の預金をそのまま家計費やマイホーム資金に計上しているので、「妻の持参金を出すのは当たり前」だと言い張ります。妻は「マイホームや生活費用に持参金を充てられてしまうのは、自分の意思でまとまったお金を使いたい時に困る」という言い分があります。この話になると夫婦間でこじれてしまいます。
ライフプランをたてる場合、持参金を全額組みいれていかないと生活設計が成り立たないものなのでしょうか?

秋沢 真樹夫 さん(仮名)ご夫妻のプロフィール

世帯年収 : 818万円(手取年収648万円)
家族構成 : 秋沢真樹夫 45歳 会社員、妻 46歳 専業主婦、長男 9歳、長女 6歳

◎ 現在の年間の収入
世帯主の収入
給与収入 818万円
社会保険料・税 170万円
可処分所得 648万円
配偶者の収入
可処分所得 0万円
可処分所得合計 648万円
支出の部
日常の生活費 420万円
教育費 63万円
住宅費 33万円
生・損保保険料 30万円
貯蓄額 80万円
その他費用 20万円
使途不明金 2万円
支出合計 648万円
※ 日常の生活費は月額35万円かかっています。
西暦 入学金など 年間の教育費
長男 2009 小学校通学 公立 27万円
2013 中学校入学 私立/自宅 47万円 89万円
2016 高校入学  私立/自宅 49万円 85万円
2019 大学他入学 私立理系/自宅 79万円 198万円
2023 大学他入学国立大学院修土/自宅 60万円
2030 結婚 200万円
長女 2009 幼稚園通園 私立3年 36万円
2010 小学校入学 公立 27万円
2016 中学校入学 私立/自宅 47万円 89万円
2019 高校入学  私立/自宅 49万円 85万円
2022 大学他入学 私立文系/自宅 76万円 160万円
2031 結婚 200万円
◎お子様の教育費の年額負担の推移
西暦 長男 長女 合計
2009 27 36 63
2010 27 27 55
2011 27 27 55
2012 27 27 55
2013 136 27 163
2014 89 27 116
2015 89 27 116
2016 134 136 270
2017 85 89 174
2018 85 89 174
2019 277 134 411
2020 198 85 283
2021 198 85 283
2022 198 235 433
2023 60 160 220
2024 60 160 220
2025 160 160
2026
2027
2028
2029
2030 [予想]200 200
2031 [予想]200 200
※ 教育方針は「できれば私学希望」で検討されています。
◎ 生命保険
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証券No.
加人保険会社 D生命 共済
被保険者・契約者 本人 本人
契約日 H2.12.1 H18.11
契約年齢 26 40
満期・満了年齢 終身 60
更新期間 なし なし
入院特約期間 終身 60
保険種類 終身保険 医療
死亡保険金 定期保険 833万円
終身保険 2,000万円
合計保険金 2,000万円 833万円
医療/日/災害入院 5,000円
医療/日/病気人院 5,000円 5,000円
払込方法 月払 月払
保険料 19,985円 5,170円
※ 死亡保障が若干少ないという見方もできますが、万一の時には死亡退職金や遺族年金がありますので、このまま見直しはしなくていいと思います。見直しのタイミングとしては、住宅取得後でも遅くは無いと思います。
◎ 住宅購入
・購入予定時期 2014年 ← 5年後購入を計画
・購入物件 新築一戸建 借入金 フラット35利用
・購入希望物件価格 4,500万円 返済方法 元利均等
・購入諸費用 400万円 借入金額 3,400万円
・合計費用 4,900万円 (毎月返済分) 3,400万円
・既存住宅売買残金 0円
・自己資金(貯蓄取崩) 1,500万円 金利 3.00%
・親よりの援助額 0円 毎月の返済額 143,345円
・住宅ローン借入額 3,400万円 30年返済、最終返済年齢79歳
・ローン返済総額 51,604,113円 年間の返済額 1,720,140円
◎ ローン返済表
年度 年齢 利率 年間返済額 (元金分) (利息分) 期末残高 元金残高
1 2014 50歳 3% 1,729,140 709852 1,010,288 49,883,973 33,290,148
2 2015 51歳 1,729,140 731,443 988,697 48.163,833 32,558,705
3 2016 52歳 1,729,140 753,695 966,445 46,443,693 31,805,010
4 2017 53歳 1,729,140 776,617 943,523 44,723,553 31,028,393
5 2018 54歳 1,729,140 800,239 919,901 43,003,413 30,228,154
6 2019 55歳 1,729,140 824,578 895,562 41,283,273 29,403,576
7 2020 56歳 1,729,140 849,660 870,480 39,563,133 28,553,916
8 2021 57歳 1,729,140 875,504 844,636 37,842,993 27,678,412
9 2022 58歳 1,729,140 902,132 818,008 36.122,853 26,776,280
10 2023 59歳 1,729,140 929,570 790,570 34.402,7l3 25,846,710
11 2024 60歳 1,729,140 957,845 762,295 32,682,573 24,888,865
12 2025 61歳 1,729,140 986,976 733,164 30,962,433 23.901,889
13 2026 62歳 1,729,140 1,016,997 703,143 29,242,293 22,884,892
◎ 現状のキャッシュフロー表

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現状の計画では夢の実現は困難、住宅取得のためには生活の見直しから

1.現状のキャッシュフローでは家計はいずれ破綻します

秋沢家は、社宅にお住まいで住宅関連支出の負担が少ないという理由もあり、現在は夫 真樹夫さんの収入で十分やっていけています。しかしこのままでは、2013年には年間収支が赤字となり貯蓄を取り崩し始め、10年後の2020年には貯蓄残高は底を付き赤字転落で家計破綻をきたす可能性があります。

原因は、大きく2つあります。一つ目はお子様の進学が私学中心であること、二つ目は住宅取得費用支出と住宅ローン返済が負担となることです。

ただし、教育資金についてはご夫婦ともに 「子供には十分な教育を受けさせてやりたい」というご希望が強くおありなので、私学の進学を諦めるという方策は採らないでシミュレーションしてみることにしました。そこで、それ以外の方法での節約倹約を考えてみましょう。
現状打破への見直し対策は以下のとおりが考えられます。

(1)住宅取得に関する見直し → 2.で詳細を述べます。

(2)生活費について見直し
年間生活費420万円(35万円/月)の節約を考えてみましょう。今は満足?(反対意見はおありかもしれませんが)な社宅生活を過ごしておられるそうですが、社宅を出れば住宅関連費用は増加します。

検討方法の一つとして「基本生活費+住宅関連支出」の合計でバランスを考えてみます。するとローン返済の開始と同時に基本生活費をカットしなければ収支が赤字となり、健全な家計支出とはいえなくなってしまいます。そこで「支出の部」の基本生活費を見直し、予算案を考えて見ます。

例えば月額28万円、年間にして336万円とするのはいかがでしょうか(総務省「家計調査」、平均的な生活費28万円を基準としました)。

(3)車の買い換えを遅らせる
車の購入は10年ごとがご希望で、次回購入時期が2020年となっています。子供の教育費がまだまだかかっている時期なので、可能なら購入時期をずらしましょう。63歳の退職時期に伸ばしてみる方法はいかがでしょうか。

2.住宅取得とローンの組み方は見直しが必要

今から5年後の50歳時点での住宅購入を計画されていますが、この計画では住宅ローン(30年返済)の返済が終了するのは79歳、つまり定年後もローン返済を続けていかなければなりません。年金不安が重くのしかかっていることでもあり、大変不安に感じられます。
融資額や返済期間など、根本的に見直さなければならないようです。

ご夫婦に再度確認させていただきますが、「住宅取得が目標」ですか?
目標が住宅取得ということを確認いただけたのであれば、見直しプランを検討します。

見直しポイント
(1)購入時期を早める。2014年→2010年
(2)希望購入物件価格の減額4,500万円→3,500万円
(3)返済期間短縮30年→25年
(4)頭金増額1,500万円→2,000万円に変更

変更後の住宅購入プランと住宅ローン返済は以下の表のようになります。

◎ 住宅購入プラン

・購入予定時期 2010年 ⇒ 来年2010年購入を計画
・購入物件 新築一戸建 借入金 フラット35利用
・購入希望物件価格 3,500万円 返済方法 元利均等
・購入諸費用 500万円 借入金額 2,000万円
・合計費用 4,000万円 (毎月返済分) 2,000万円
・既存住宅売買残金 0円
・自己資金(貯蓄取崩) 2,000万円 金利 3.00%
・親よりの援助額 毎月の返済額 94,842円
・住宅ローン借入額 2,000万円 25年返済、最終返済年齢70歳
・ローン返済総額 28,452,481円 年間の返済額 1,138,104円
◎ ローン返済表
年度 年齢 利率 年間返済額 (元金分) (利息分) 期末残高 元金残高
1 2010年 46歳 3% 1,138,104 545,571 592,533 27,314,377 19,454,429
2 2011年 47歳 1,138,104 562,166 575,938 26,176,273 18,892,263
3 2012年 48歳 1,138,104 579,264 558,840 25,038,169 18,312,999
4 2013年 49歳 1,138,104 596,883 541,221 23,900,065 17,716,116
5 2014年 50歳 1,138,104 615,037 523,067 22,761,961 17,101,079
6 2015年 51歳 1,138,104 633,745 504,359 21,623,857 16,467,334
7 2016年 52歳 1,138,104 653,020 485,084 20,485,753 15,814,314
8 2017年 53歳 1.138.104 672.886 465.218 19.347.649 15.141.428

※家計を両立させるために購入予定額を1,000万円近く減らしましたが、昨今の不動産事情を考えれば、この予算内でお気に入りの物件が見つかる可能性は高いと思います。今からあせらずにじっくり探し、取得を数年先といわず来年でも十分可能と思われますので、2010年を目標にするというのはいかがでしょうか。

3.貯蓄残高が赤字にならないキャッシュフロー表を検討します。

◎ 見直し後のキャッシュフロー表

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貯蓄残高が赤字にはならない予想となり、家計破綻リスクが少なくなりました。また持参金には手をつけなくて済みそうです。

改善点は (1)基本生活費の見直し
(2)住宅ローンの負担軽減
住宅ローンは63歳の退職時に残高717万円となっています。この金額だと、退職金と相殺しても老後資金には影響が少ないものと考えられます。
(3)車は夫64歳時に購入予定

計画通りにいけば、お子様の私学中心の教育を続けることが可能となります。ただ、住宅関連費用は社宅時代とは大幅に違い、負担が増えることを覚悟しておいてください。

4.妻の持参金を家計に入れるかどうかを考えるヒントとして

持参金問題は、夫婦間トラブルでよくあるケースです。そしていろんな考え方があります。
現実論的な考え方から、例えば法律相談の「離婚」で夫婦個別の財産を定義しています。民法762条「(1)夫婦の一方が婚姻前から有する財産及び婚姻中自己の名で得た財産は、その特有財産(夫婦の一方が単独で有する財産をいう)とする。(2)夫婦のいずれに属するか明らかでない財産は、その共有に属するものと推定する」という条文があります。つまり夫と妻のそれぞれの結婚前にあった財産は大切にキープしておくべきものという考え方があり、したがって婚姻関係後に築き上げた財産は夫婦平等で配分しあうとなっています。あくまでも、離婚を前提に法律の解釈論で考えればこうなるということです。

また、精神的な観念論(あくまでも一個人の考え方です)からも考えてみましょう。
「結婚」とは何か・・・それはお互い「生きる為に身を寄せ合うこと」だと思います。結婚という新たなるステージをスタートした時点から、「お金」も「能力」も、互いに持てる力を出し合い、協力して寄り添って生活する。つまり「ギブ・アンド・テイク」で生活を成り立たせていくのだと思います。

夫が働き、妻は専業主婦という場合。夫は外で働き、つまり役務を対価に換えた「給料」を持ち帰る。妻はプロである専業主婦という役務を行いますが、対価としての外からの収入はありません。今のこの関係において、「お互い補い、成り立っているか」ということが認識しあえて今が成り立っていればいいのですが、もし成立してないのであれば、価値観の相違による不満から夫婦の関係はこじれたものになることが予想されますが・・・。

秋沢家は「生きるために寄り添っている」ご夫婦ですか?
これまでを振り返って「バランスが取れている」とご夫婦共に認識し合うことができれば、婚姻期間進行中の今はライフイベントに力を集中しなければなりません。お互いの持てる力を出し切ることです。
一生懸命ライフイベントをこなしていて、「生活資金が不足してきたので、独身時代に貯めたお金を当てにする」というのは、短絡的で不平等ということにはならないでしょうか。また、持参金を安易に家計に計上することは、「ライフイベントを一生懸命乗り切る努力」をないがしろにする行為とも言えるのではないでしょうか。

一生懸命乗り切る方法としてライフプランの現状分析を行い、解決策として、まずは「希望するイベントをあきらめる」または「かかる費用を減額して家計破綻を回避する」という努力をするべきだと思います。

どうしても家計破綻が解決できないのであれば「持参金」に手をつけなければならないということにもなりますが、それは最終手段にとっておきましょう。「持参金」はそれを所有する個人が自己投資などのために使うべきもので、決して安易に家計に組み入れるものではないと思います。

以上のことを家族で話し合ってみて、今後の対応策を実行に映すことが可能かどうかを検討していただきたく思います。