第5回:住宅ローン

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一般の家庭において住宅の購入は人生で一番大きな買い物です。特に住宅の場合は数千万円という単位でお金がかかるため、住宅ローン金利が0.1%違うだけでも返済額にかなりの差が出てしまいます。そのため、少しでも安い金利を選びたいと思うのは当然のことでしょう。しかし、場合によっては『金利が安い』という理由だけで選ぶと後悔することになりかねません。そこで今回は「住宅ローン金利の失敗事例」について学んでいきたいと思います。

「短期固定金利」と「長期固定金利」

高橋さん(40歳、男性)の家庭では、妻と子供2人の4人暮らしです。3年前にマンションを購入しました。

それまでは毎月11万円を支払って賃貸住宅に住んでいましたが、なにげなく入ったマンションのモデルルームに高橋さん夫婦は一目ぼれ。マンション販売員から「どうせ賃貸で毎月11万円払うならば、同じぐらいの住宅ローンの支払いでマンションを買った方が、資産にもなりますので絶対に得だと思いますよ。」というアドバイスが決め手となり、マンションを購入したのでした。

そのときの条件は以下の通りでした。

  • マンション価格 : 4500万円
  • 頭金 : 500万円
  • ローン金額 : 4,000万円
  • 金利 : 1.2%(3年固定、以後変動) ⇒ 毎月の支払いは11.6万円
  • (参考) : 2.8%(35年固定) ⇒ 毎月の支払いは14.9万円

高橋さんにはこのとき2つの選択肢がありました。もし、金利は3年固定金利を選べば年利1.2%、毎月の支払いは11.6万円です。そして以後3年後にまた金利を見直すため、もし金利が上がってしまえば毎月の支払額も増えます。

それに対して、35年固定金利を選べば利回りは2.8%。毎月の支払いは14.9万円になってしまいますが、そのかわり毎月の支払額が将来増えることはありません。

高橋さんは、将来金利が上がるのは少し心配でしたが、3年固定金利で毎月11.6万円は魅力です。また販売員からは「ここ10年以上は低金利が続いており、しばらくは低金利時代が続くと思いますよ」と言われ、その言葉を信じて3年固定の金利を選択しました。

さて、最初の3年間の住宅ローンは毎月11.6万円でしたが、それでもそれ以外にも結構お金がかかることに気付きました。マンション管理費で25,000円、修繕積立金で15,000円と、毎月約4万円の出費がかかることを頭に入れていませんでした。また固定資産税などで年間13万円(つまり毎月あたり約1万円)かかるのです。この他に町内会費などを含めると、毎月16万円の出費となってしまいました。当初は賃貸と値段がほとんど変わらないと思っていたので、想定外の出費でした。

しかし、これだけではありませんでした。3年後に追い討ちをかける事態が高橋さんに起こってしまいます。それは、金利更新のタイミングで、金利が上昇傾向にあることです。既に固定金利は2.8%から3.7%に上がっていました。まもなく更新のタイミングを迎える金利が、どれだけ上がるのかということを考えるとなかなか眠れません。次の更新のタイミングでは、多少高くても金利の心配なく安心して生活ができるように、残りの32年を固定金利で契約をしようか迷っていますが、そうすると金利は3.7%となり、ローンの支払いだけで16.6万円になってしまいます。修繕積立金や管理費などを含めると、なんと約22万円。賃貸のときの2倍の値段になってしまいます。

<図1>高橋家の住宅費推移

高橋家の住宅費推移
※固定資産税は月額に換算して計算

散々悩んだ挙句、高橋さんはマンションを売ることにし、また賃貸住まいに戻ったのでした。

高橋さんが気をつけるべきだったポイント

 

1.マンションの購入はローン以外にもお金がかかる

マンションを購入する際に、「賃貸と同じ金額ならマンションを買った方が資産にもなるし得」だと考える人も多いと思います。しかし実際は、住宅ローン以外にも管理費や修繕積立金、固定資産税・都市計画税や町内会費などがかかってきます。ローン代だけではなく、毎月の合計がいくらになるのかで比較をすることが重要です。

2.金利上昇のリスクを考える必要がある

日本はバブル崩壊後、1990年台後半から段階的に金利が引き下げられ、ここ10年間 ずっと低金利政策で推移してきています。そのため、このまま低金利がずっと続くと 錯覚しやすいのですが、実はこれは将来どうなるかは誰にもわかりません。

以下の図 をご覧下さい。これは今までの住宅ローン金利の推移を表したものです。

<図2>住宅ローン金利の推移

住宅ローン金利の推移

過去、年率7~8%の住宅ローン金利が存在したことを考えると、将来またいつそのような時代が来るとも限りません。特に、住宅ローンは30年や35年など長い期間にわたって支払いが続くため、長期的な観点が重要になります。

夫婦共働き、あるいは親からの援助が期待できる場合など、毎月の支払いが増えた場合に対応できる余裕があれば、短期固定金利や変動金利の選択を考えても良いでしょう。しかし、逆に毎月の家計にあまり余裕がない場合などは、フラット35などの長期固定金利を利用することにより、将来の支払いが増えるリスクをなるべく抑える必要があるでしょう。特に、20~30歳台の若い世帯では、子供の成長に合わせて教育費が大きな負担となってきますので、短期固定金利や変動金利を選択する場合は注意が必要です。

住宅を購入する前に、もう一度冷静になろう!

自分が住みたいと思う物件に出会ったときは気分が高揚しやすく、早く契約をしたいと思う気持ちはよくわかります。しかし、毎月の支払いがいくらになるのか、将来にわたってリスクはないのかについてを、買う前にもう一度立ち止まって考えてみましょう。

また、販売員のアドバイスはマンションを購入する上でとても頼りになりますが、その販売員は、あくまで目的は商売です。売るための情報はたくさん提供してくれますが、かならずしも客観的なアドバイスをしてくれるとは限りません。

今回のケースで言えば、「どうせ毎月支払うならマンションを買った方が得」、あるいは「しばらくは低金利時代が続く」というアドバイスは、あくまで売り手側から見たセールストークであり、その情報が正しいかどうかは最終的には買う人が自分で判断しなければなりません。特に住宅の購入は数千万円規模の大きな買い物です。販売員のアドバイスが、本当に自分にとって有益な情報なのかどうか、一度冷静になることが大切です。

執筆:坂本光(さかもと ひかる)CFP
一級ファイナンシャルプランナー・CFPR、日本キャリア開発協会認定キャリアカウンセラー、日本応用カウンセリング審議会認定心理カウンセラー。2006年5月週末起業を決意し、通信事業者に勤務しながら合同会社FPアウトソーシング代表を務める。ファイナンシャルプランニングに関する個別相談・セミナー講師としても活動中。

家族のライフプランとそのリスクを考慮に入れて、特徴を理解したうえで保険を選択して いれば、万が一のことが起きてしまっても、経済的なダメージを低く抑えることができま す。

掛け捨てであるからこそ、軽い負担で一定期間の大きな保障を確保できる定期保険が 、リスクに対する備えとして最も適切な選択である場合もあるでしょう。

まずは、万一のことが起きて、それまでと同じ収入が得られなくなった場合、その後、お 金がどれぐらい必要になるかを考えることから始めることが大切です。

そして、保険の特徴をよく理解して、万一の場合に家族にとって必要な金額が過不足なく保障される保険を お選びください。