あなたもいつか「おひとりさま」になるかも! ~最期まで自分らしく生き抜くのは、口で言うほど容易くない~


最期まで自分らしく生き抜くのは、口で言うほど容易くない

単身者、中でも高齢単身者が増加しています。一口に単身者といってもずっと単身、離婚、死別など中身はさまざまです。平均寿命が伸びた今、外目には元気な高齢者が増えています。
但し、人は誰もが生存していれば必ず年を重ね少しずつ体力・能力も本人の自覚以上に落ちていることが多いのが現実です。家族や親身になってくれる人がいれば、その衰えに気づいてくれることもありますが、単身だと難しいこともありそうです。その分、対策も遅れがちです。
最近は、経済面からの長生きのリスクが声高に言われていますが、経済的に恵まれた人でもリスクがあることを知っておきましょう。今回は、地域と親戚との繋がりがあって救われた高齢女性、それでも対策もれがあった例でお話しします。


高齢者のいる世帯は2000万を超え、過去最多

高齢者のいる世帯の内訳について平成25年までの30年間でみると、単身高齢者世帯は5.6倍、高齢者のいる夫婦世帯は4.0倍、高齢者のいるその他の世帯は1.5倍となり、単身高齢者が最も増加しています。現役世代の単身者も増えており高齢期の将来像は深刻です。

図10 高齢者のいる世帯の推移(昭和58年~平成25年)(総務省 統計からみた我が国の高齢者(65歳以上)-「敬老の日」にちなんで-)

※総務省 統計からみた我が国の高齢者(65歳以上)-「敬老の日」にちなんで-
  資料:「住宅・土地統計調査」(平成25年は、速報集計結果)
注:世帯の数値は、万世帯単位で四捨五入してあるので、内訳の計は必ずしも合計に一致しない。
※1)「高齢者のいる世帯」とは、「65歳以上の世帯員がいる主世帯」であり、次の三つの型に区分している。なお、「高齢者のいる世帯」は昭和58年から集計している。
    ①高齢単身世帯…65歳以上の単身の主世帯
②高齢者のいる夫婦のみの世帯…夫婦とも又はいずれか一方が65歳以上の夫婦一組のみの世帯
③高齢者のいる世帯から上記の二つを除いた主世帯(高齢者と生計を共にするその他の世帯員で構成される主世帯)
  ※2)「主世帯」とは、1住宅に1世帯が住んでいる場合はその世帯、1住宅に2世帯以上住んでいる場合にはそのうちの主な世帯(家の持ち主や借り主の世帯など)である。

一方、高齢期の所得をみると、高齢者世帯と全世帯の1人当たりの年間所得に差はありません。高齢者世帯の平均年間所得は303.6万円で、全世帯平均(548.2万円)の半分強。高齢者世帯の平均世帯人員が少ないことから、1人あたりの所得は高齢者世帯195.1万円となり、全世帯平均(208.3万円)と大きな差はありません。統計はあくまで平均値です。高齢期の資産の格差は大きく、年間所得の多い人が長生きすればますます資産が増えると言うわけです。

図1-2-2-2 高齢者世帯の所得

※内閣府 平成26年版高齢社会白書
  資料:厚生労働省「国民生活基礎調査」(平成24年)(同調査における平成23年1年間の所得)
  (注1)高齢者世帯とは、65 歳以上の者のみで構成するか、又はこれに18 歳未満の未婚の者が加わった世帯をいう。
  (注2)福島県を除いたものである。

【事例】 地域の見守り隊に助けられた・A子さんの場合

A子さん(90歳)は、会社員だった夫が10年ほど前に亡くなった後もずっと住み慣れた街で暮らしていました。経済的には介護付き有料老人ホームに入居も可能でしたが、亡き夫の親族が近くに住み、地域の人との交流がある街での暮らしを選択したのです。幸いにも、A子さんが住む街で、地域の高齢者の安否の確認を兼ねた有志による「見守り隊」ができ、継続的に会館でお茶飲み会などに参加していました。

高齢者が集まってお茶して楽しそうに過ごしている図

別れは突然やってきました。例会の時間になっても顔を見せないA子さんを心配した見守り隊の人と夫の親族Cさんが部屋で亡くなっているA子さんを発見してくれました。A子さんの両親は既に死亡、子どももおらず、生存しているのは判断能力が不十分な弟Bさんのみです。

<A子さんの関係者図>

A子さんの関係者図

告別式、火葬、お墓の手続き、初七日など一切は、夫の親族がしきり、見守り隊の皆さんが協力して無事終了しました。中でも、夫の親族Cさんの尽力は相当なものでした。
き帳面なCさんが残してくれた、葬祭や供養に関する束になった領収書と、銀行や行政関係(市役所・日本年金機構など)とのやりとりのメモの山をみただけでも大変さが忍ばれました。

葬祭関係が終了後は、自宅の整理、そして相続が発生します。相続人は既に判断能力が不十分な弟のBさんなので、Cさんは社会福祉協議会に相談し「成年後見人」を選任する申し立てをしました。

<Aさんが亡くなったときの手続きなどの主な例>

Aさんが亡くなったときの手続きなどの主な例

面倒をみた人にお金 (感謝の気持ち) がわたらない

日々の暮らしは質素だったA子さんからは予想できないほど多くの資産が残されました。
成年後見人の手続きにより全てBさんが全額相続することになります。唯一の相続人なので法律上は何も問題はありません。しかし、何か違和感があります。そうなんです。

生前、死後に御世話になったCさんに何も残せなかったことです。かつ、配偶者も子もいない80代のBさんが死亡すれば、Bさんに相続人がいませんので、A子さんから相続した資産は全て国に渡すことになります。せめてBさんが姉から引き継いだ資産を上手に使える状態なら嬉しいのですが、判断能力が不十分なのでそれも叶わず、勿体ない話です。

対策としてA子さんが、まだかなり元気で判断能力が十分にあるとき、「遺言」を残しておけば良かったのです。多額の資産があるためか、相続手続きの折の金融機関の共通のことばは「遺言は有りますか?」でした。A子さん自身が自分のために使い、より快適に生きることも可能だったのに・・・。

資産があってもなくても、「生きるため」と「死後」の対策が求められるのは、単身者も家族もちと同じだね。とりあえず、高齢期に財産があるなら最期の行き先を「遺言」で残しておこう!

自分の老後と資産の行方も考えておこう

単身者は、自分だけが頼りなので失業や病気で働けない場合の貧困、人との交流も減りがちなので家族がいる人より地域で孤立することなどを心配しがちです。しかし、世の中にはAさんのように資産があるにも関わらず、ただ資産の管理と維持だけに気を取られ、最終的な行き先まで気配りできるチャンス(時期)を逃し、高齢期を迎えてしまう人もいるでしょう。

子どもがいれは、次の世代への引き継ぎなど心配するチャンスもあったでしょう。
単身だからこそ、いろんな人の御世話で生きていることに気付けば、日頃御世話になっている人に感謝の気持ちを「遺言」「生命保険」などで御裾分けする手段に気づいたかも知れません。単身者の増加が叫ばれる今だからこそ、A子さんの例を、これから高齢期を迎える人が活かしていただければ幸いです。寿命が長くなりましたが、自分で判断して決断し行動できる期間は意外と短いことも知っておきましょう。