一人暮らしの高齢者の「身元保証」トラブルが増えている~男女の暮らしの理解から~

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私が実施している高齢者対象の老後のお金に関するセミナーの受講生は殆どが女性で、皆さんとても熱心です。これまで、女性の方が男性より寿命が長いから老後に対する不安も大きいのだと理解していました。しかし、少し踏み込んでみると高齢期の男女の生活の質も関係していることが少し分かってきました。
今回は、高齢者対象のトラブルが増えている中、女性(50代・単身)の身元保証などへの不安や、男性(80代・単身)の終活などに対する反応の違いなどをお伝えします。長生きになった分、自分の老後は自分で組み立てる必要が益々増えていますが、いろんな事情が絡み1人で生きていかざるを得ない人の心の隙間に付け入った契約トラブルも発生しています。長寿を楽しみに変えるための参考にしていただけたらと思います。

※1出典 秋山弘子 長寿時代の科学と社会の構想 「科学」岩波書店 2010
※2健康寿命の長さを表した表現で、病気に苦しむことなく元気に長生きし、最期は寝付かずコロリと死ぬこと(PPK)。対義語はネンネンコロリ(NNK)。

自立度の落ち具合は男性と女性で異なる

加齢に伴う生活の変化を理解するために約6000名の高齢者の生活を追跡調査(下図)した統計から以下のことが判明しています。男性は脳卒中など疾病によって急速に動けなくなったり死亡する人が多いが、女性は骨や筋肉の衰えによる運動機能の低下により、自立度が徐々に低下するとのこと。男女とも70代半ばから徐々に衰え始めています。

自立度の変化パターン
男性
自立度の変化パターン
女性

出典) 秋山弘子 長寿時代の科学と社会の構想 『科学』 岩波書店, 2010

<事例1>身元保証生活サポートを利用したいがコストが高すぎる・・・

50歳を過ぎて医療や介護が必要になったときなどの対応に不安を覚え、身元保証等生活サポートを利用したいと資料を取り寄せたが、費用が高額で不信感を持っている女性(50代・単身)からセミナー終了後質問を受けました。女性は将来の不安に対してこれまでもいろいろ考え、調べてきた方です。まだ50代と若いのでもう少し調べて考えを整理してから契約しても遅くないとお伝えし、後ほど成年後見制度と身元保証に関する資料、エンディングノートと成年後見制度の冊子を送付してあげたところ、喜んでもらえました。

<事例2>エンディングノートなんて!と拒否

昨年手術をしたと連絡があった連れ合いの友人の男性(80代・単身)の暮らしが心配で、参考までにとアドバンス・ケア・プランニング(ACP)の資料、エンディングノートや他の参考資料などを送付してあげました。スポーツマンでずっとお元気な人だったので、これからも大切に生きて欲しいと思ったのです。私にとってエンディングノートとは、最期まで生き生き過ごすために、未来を見つめ書くものだからです。
しかし、友人からは「終活なんて考えたくない!」と強烈な拒否の手紙が届きました。
連れ合いにもお節介はほどほどに、と叱られ反省しました。いろんな考え方や受け止め方があって当然だと納得したからです。
※病気や事故などで自分自身で意思決定ができなくなったとき、どんな治療を受けたいか、受けたくないか、自分の価値観などを事前に家族や医療・介護関係者等と話し合っておく考え方(愛称:人生会議)。

65歳以上の一人暮らしの高齢者増

65歳以上の一人暮らしの男女とも増加傾向、昭和55(1980)年には男性約19万人、女性約69万人だったが、平成27(2015)年には男性約192万人、女性約400万人になっています。
上記の例からも、男女、年代、健康状態、意識等で終末期に対する考え方はそれぞれですが、好むと好まざるに関わらず高齢者の不安解消を目的とする事業などは今後増えるでしょう。

65歳以上の一人暮らしの者の動向( )内は65歳以上に占める割合
1980年 2015年
男性 19万人 (4.3%) 192万人 (13.3%)
女性 69万人 (11.2%) 400万人 (21.2%)

令和元年版高齢社会白書

「日本ライフ協会」の預託金流用問題発覚

身寄りのない高齢者等の不安解消を目的に、施設入所、入院に伴う身元保証、日常生活サポート、死後の事務処理や葬儀、遺産の処分等を含む包括的なサービスとして身元保証等高齢者サポート事業があります。平成28年1月に公益財団法人日本ライフ協会(以下日本ライフ協会)が、顧客から預かっていた預託金(葬儀・納骨までの費用等として、そのときまで預かるお金)を流用後、破綻しました。破綻の主な原因は、管理の杜撰さと会の倫理感の欠如です。

成年後見制度の不正件数

成年後見制度を正しく理解するのは意外と大変です。知識仕込みは早めが必須です。不正問題や報酬の発生を嫌う人もいますが、以下の統計より専門職以外の不正が多いのも実態です。しかし、身寄りの有無に関わらず関与してくれる人がいない場合などは成年後見制度で質が高い暮らしを得ることも可能です。

最高裁判所事務総局家庭局実情調査
意外と少ない専門職の不正件数
※各年の1月から12月までの間に、家庭裁判所から不正事例に対する一連の対応を終えたものとして報告された数値であり、不正行為そのものが当該年に行われたものではない。
※平成23年10月及び平成24年4月に報告対象事件の定義を変更しているため、単純な年別比較はできない。
※数値はいずれも概数であり、今後の集計整理により、異動訂正が生じることがある。

後悔しない「契約」をするために

子や配偶者がいてもいなくても、様々な事情で高齢期に一人暮らしになる可能性は誰にもあります。男女で異なる自立度の違いなども参考に、何が不安なのかを具体的にあげる作業から始めるといいでしょう。高齢者は、先行不安から子や甥・姪にイザというときの見返りを期待して大盤振る舞いしがちですが、勝手に期待される相手にも諸事情があることを知れば無碍に責められないことを知っておきましょう。
知識不足で質問もできず、妙に物わかり良い振りして簡単にサービス事業者と契約し、後悔することが多いのも高齢者です。何事も自分で考えて決定できる知識と姿勢を、若いときから身につけられたらベスト。結果はどうで有ろうと、自分の人生に「納得できるかどうか」。もちろん、全て成り行きに任せるも1つの選択肢です。