第23回:万一のトラブルにはこう対応する


できるだけ速やかに解決するための準備

これまでに見てきたように十分な注意を払ってリフォームを依頼し、工事中もチェックを怠らなければ、各種のトラブルに巻き込まれることはないとは思います。が、万一ということもあります。ここではトラブルに遇ったときの対応策を整理しておきましょう。

まず、リフォーム工事に不具合を発見したときには、問題をすみやかに解決するための準備を忘れないようにしましょう。やみくもにクレームをつけたり、怒鳴り込んだりするだけではむしろ事態を悪化させてしまいます。つとめて冷静に、しかし迅速な対応を心がけることが肝心です。

そのためには、以下のような点を整理しておくといいでしょう。

  1. 不具合に関する記録作成
    発生した不具合の場所、内容、発見日時などの記録を作成します。日付入りの写真、ビデオを撮っておくのが確実です。
  2. 不具合に関する確認
    発生した不具合に関しては、依頼した業者にも確認してもらってください。
  3. 保証内容の確認
    業者が発行している保証書や保証約款を確認します。保証内容に照らして、無料で保証してもらえるのかどうかをみるわけですが、保証書がない場合にも民法などで権利を行使できることもあります。その点に関しては、弁護士などの専門家に確認するのが確実です。

どこで相談するのがいいのか

以上のような点を整理しておき、最初は直接業者に申し出て、不具合への対応を求める協議を行います。業者の保証内容に照らして、業者の責任が明確であれば、無料で補修してくれるはずです。

しかし、現実にはそうスムーズに解決できるケースばかりとは限りません。むしろ、何かと対応を渋り、当事者間の話し合いだけでは、なかなか解決できないことが多いのも事実です。

そんなときには、第三者機関で相談して解決の道を探るようにしてください。不具合の内容などによって、どこに相談するのがいいのかは異なってきます。リフォーム全般に関しては、財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センターリフォネット相談センターなどが幅広く対応してくれますから、まずはここで相談してみるのがいいでしょう。もちろん料金はかかりません。契約や取引、建築などの専門的な知識のある人に相談したほうがいいときには、それにふさわしい相談機関を紹介かしてくれます。

財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センター
TEL:03 – 3556 – 5147
https://www.chord.or.jp/
リフォネット相談センター
TEL:03 – 3556 – 5144
http://www.refonet.jp/

自治体や消費生活センターなどで相談も

都道府県や政令都市などでは市民生活全般についての相談窓口が開設されていて、そこで住宅やリフォームに関する相談にも対応してくれます。専門家のアドバイスが必要と考えられるときには、各地の弁護士会や建築士の団体などを紹介してくます。
また全国の都道府県、市町村などが開設している消費生活センターにも同様の相談窓口があります。消費者生活センターの連絡先に関しては、国民生活センターのホームページからアクセスできます。

国民生活センター
http://www.kokusen.go.jp/

専門的な内容は建築家の団体や弁護士会で

建築関係の専門家のアドバイスが必要と考えられるときには、各地の建築士会などで相談する方法も考えられます。建築家の団体には次のようなものがあります。

1.建築士会
建築士法によって、すべての都道府県に設けられている公益法人です。建築主の利益保護を推進する立場から相談に応じてくれます。
2.建築士事務所協会
やはり建築士法によって全国の都道府県に設置されています。設計・工事監理上の建築・苦情相談などに対応してくれます。
3.建築家協会
建築士などを会員とする職能団体です。その活動の一環として欠陥住宅に関する相談・調査も行っています。

その他法律的な問題に関しては、各地の都道府県や主要都市に設けられている弁護士会で相談するのがいいでしょう。
なお、これらに関しても先の財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センターのホームページから連絡先を見つけることができます。