バリアフリー工事は自治体の補助をフルに活用する
各種のリフォーム工事のなかでも、バリアフリー工事を行うときには、都道府県や市町村(東京都は特別区)の補助制度を確認しておきましょう。住民サービスの一環として、一定の条件で補助金を出してくれたり、公庫融資並みの条件で必要資金を貸してくれたりします。
東京都中央区の例でみると、「住宅設備改善給付」制度があります。これは、おおむね65歳以上の日常動作能力が低下している人が対象で、
- 手すりの取り付け
- 段差の解消
- 浴槽・流し・洗面台の取り替え
- 便器の洋式化などの改善
- 階段昇降機(エレベーター)の設置
などに給付金が出る仕組みです。給付金ですから、返済する必要はありません。注意が必要なのは、工事に着手する前に給付金の申請・承認が不可欠であるという点です。専門知識の乏しい人のためにアドバイザーを派遣してくれる制度もあるので、事前に相談するのが安心です。
民間ローンを利用するときには優遇金利を活用する
前回触れたように、ローンを利用するときには長期固定型で、金利も低い公庫融資を利用するのが一番ですが、必要な金額に対して融資枠が足りない、床面積条件が不足しているなどの条件から公庫融資を利用できないケースもあります。
そんなときには、対象となる工事の内容に関する条件が緩い民間金融機関のローンを利用することになります。その際には必ず金利優遇制度を利用できないかどうかを確認しておきましょう。民間の場合には返済期間が最長でも10年から15年程度と公庫融資より短くなっていると同時に、金利タイプは変動金利型が中心で、金利そのものも一般の住宅ローンより高くなっているケースが多いのです。たとえばみずほ銀行の変動金利型のリフォームローンは2003年6月現在4.775%です。通常の住宅ローンは2.375%ですから、2%以上も高いわけです。しかし、現在みずほ銀行の住宅ローンを利用している人なら1.5%金利が優遇されますし、みずほバリュープログラムと呼ばれる会員制度に入会すれば、最大で1.0%の金利優遇があります。ほとんどの民間機関に金利優遇制度があるはずですから、必ずチェックするようにしましょう。
100万円超、10年以上ならローン控除を利用できる
また、リフォームローンの借入額が100万円を超え、返済期間が10年以上の場合には、ローン控除を利用できる場合があります。その他に床面積が50m2以上などの一定の条件もあるのですが、それらを満たしている人は、工事を行った翌年に居住地を管轄する税務署に申告書を提出してください。
ローン控除額は年末ローン残高の1%で、最長10年間適用を受けることができます。当初の借入額が1000万円なら、その年の年末残高は1000万円を少し切るだけですから、その1%の10万円弱の控除になります。会社員の場合にはそれが申告から1、2カ月後に還付され、自営業なら納付する所得税額がその分少なくなるわけです。
ただ、これは年間の所得税額が上限になります。支払っている所得税以上には戻ってこないので、あらかじめ納税額を確認しておいたほうがいいでしょう。
<<優遇金利で返済額はこんなに違ってくる>>
金利(%) | 毎月返済額(円) | 備考 |
---|---|---|
4.775 | 104,969 | |
3.775 | 100,179 | 毎月4,790円、年間57,480円の軽減 |
3.275 | 97,835 | 毎月7,134円、年間85,608円の軽減 |
<<借入額1000万円、金利3%、10年返済のローン控除額>>
ローン控除額(円) | |
---|---|
1年目 | 98,000 |
2年目 | 94,000 |
3年目 | 90,000 |
4年目 | 85,000 |
5年目 | 81,000 |
6年目 | 76,000 |
7年目 | 72,000 |
8年目 | 67,000 |
9年目 | 62,000 |
10年目 | 57,000 |
合計 | 782,000 |