第82回:万一の死亡保険、保険金を年金形式で受け取る商品なら保険料の節約が可能!?


生命保険でリスクに備える大きな柱となるものが「死亡保障」と「医療保障」ですが、このうち死亡保障の方が保険の見直し効果が現れやすいことをご存知でしょうか?

その訳は、商品種類や健康体割引の有無などによって、保険料に大きな差が出やすいためです。特に、万一の時に保険金が「年金」の形で月々受け取れるタイプや健康体割引などがある商品は、一括で保険金を受け取る商品よりも、条件が同じであれば保険料を抑えることができます。また、保険料の面だけでなく、保険金を年金形式で受け取ることができるという点は、万一のときの収入保障にもなり、安心感につながります。

このような仕組みを持つ商品に「収入保障保険」があり、死亡保障が遺族の生活をサポートするためのものであることを考えても、保険金が毎月受け取れることの意味は大きいといえます。今回のコラムでは、保険料の節約という観点から、死亡保険の中の収入保障保険に焦点をあて解説してみたいと思います。

同じ死亡保障でも保険種類で保険料が大きく異なる!

あなたは、ご自身で加入している死亡保障(死亡保険)の種類をご存じでしょうか?
もしご存じでない場合や忘れてしまった場合は、保険証券をチェックしてみてください。身近な死亡保険の主な種類としては、以下のようなものがあります。

終身保険 保険料は高いが、死亡保障が一生涯続く保険。積み立てられる部分の運用により、定額型、変額型、利率変動型などがある。
定期保険 一定期間の死亡保障を確保することができる保険。近年は、ネット生保などが価格競争を行っている。
逓減定期保険 年々保障額が下がっていく、一定期間の死亡保障を確保することができる保険。受け取りは一時金のみ。
収入保障保険 万一の保険金を年金形式で毎月受け取れる、一定期間の死亡保障を確保することができる保険。受け取りは、一時金にすることも可能。

一般に「掛け捨ての定期保険は終身保険などよりも保険料が安い」ということは多くの方がご存じですが、実は「定期保険よりも収入保障保険の方がさらに保険料が安い」ということをご存じの方はあまりいないのではないでしょうか。まずは、下記の保険料比較を見てください。30歳男性が30年満期で3,600万円の死亡保障をカバーした例ですが、定期保険と収入保障保険では、実に3倍近い保険料の差があります。

ちなみに、ここで試算した定期保険は、ネット生保の最も安い水準のものですが、それでもここまで大きな保険料の差があるのはなぜなのでしょうか?

<死亡保険の保険料比較(被保険者:30歳男性、30年満期)>

種類 定期保険30年満期
【生保A社】
収入保障保険(最低保証2年)
【生保B社】
保険金額 3,600万円 累計3,600万円(月10万円)
保険料 8,558円 3,050円
60歳までの保険料累計 3,080,880円 1,098,000円

収入保障保険の保険料が割安になる理由

上記の保険料比較の表から、収入保障保険の方がかなり割安になることが分かりましたが、ここではその保険料が割安になる理由を詳しく見ていきましょう。

収入保障保険とは、被保険者に万一のこと(死亡、高度障害)があったときに、当初設定した年金(保険金)が毎月支払われる保険で、高額の死亡保障を設計する際に柱となる商品の一つです。その保険金については、年金形式だけでなく、一時金で受け取ることもできますが、この場合は年金形式で受け取る予定だった金額よりも保険金額は少なくなります(年金形式では、その後の運用分も加味されるため)。

一般に収入保障保険では、被保険者が亡くなったあと、
(1)「当初の満期までの期間、給付される」タイプと
(2)「○年間など受取期間が確定している」タイプとがありますが、
現在は、(1)の方が主流といえます。・・・コラム内は(1)を前提

また、満期間際に亡くなった場合は、死亡保障(受け取れる保険金)が非常に少なくなることから、通常「最低でも○年分は受け取れる」という最低保証年数が設定されており、例えば、1・2・5・10年間などニーズに合わせて契約時に選択できます。

ところで、収入保障保険の最大の特徴は、万一の保険金が毎月の年金として受け取れることですが、この保障を「累計」で表現すると、以下のような三角形に保障(保険金)が減っていくイメージになります。これについては、家計にもよりますが、お子さんがいるご家庭の場合、実際に必要な保障額は子どもの成長につれて年々減少していくことを考えると、非常に合理的に保障を確保することができるといえます。

さて、収入保障保険の保険料がなぜ割安かということですが、その理由として2つ挙げられます。

まず1つは、実際の必要保障額に見合った合理的な保険であることです。右上の定期保険のイメージ図を見ていただくと分かりますが、こちらは長方形なのに対して、左上の収入保障保険のイメージ図は三角形です。どちらも年齢が上がれば保険料が上がっていくのですが、収入保障保険は年齢が上がるにつれて必要な保障額も小さくなっていく(保険料の高い時期の保障が少なくて済む)ことから、平均すると非常に割安な保険料で、なおかつ合理的に保障をカバーすることができるのです。

もう1つは、一時金で受け取る保険に比べて、収入保障保険は年金形式で受け取りながらも、将来の「年金原資」を保険会社が運用するためです。これにより、将来の運用分が加味されることから、さらに保険料が割安になっています。ただし、保険金の受取方法の違いによる税金のかかり方の違いは知っておく必要があり、これについては後述します。

収入保障保険が向く人と向かない人

これまで見てきたように、収入保障保険は、割安な保険料で、合理的に必要保障額を確保することができる商品といえますが、誰にでも合うわけではありません。実際に向く人と向かない人がいますので、以下で自分の場合をチェックしてみましょう。

【収入保障保険が向く人・・・】

<1>        割安な保険料で死亡保障(必要な死亡保障額の逓減)をカバーしたい人
子どもが多いなどの理由で死亡保障は大型のものが必要な半面、生活は厳しく、あまり保険料に割けないご家庭の大黒柱など。必要な死亡保障額は、子どもの成長などで毎年逓減していくことが前提。
<2>        必要な死亡保障額は変わらないけれど、今後貯蓄を貯められる人
DINKSなどで長期的に必要な死亡保障額にはあまり変化はないけれど、一方で貯蓄のペースも速いため、実質的に必要な死亡保障額が年々減っていくご夫婦など。
<3>        一時金よりも年金で受け取った方が家計管理をしやすい人
保険金を一時金ではなく、年金で受け取った方が家計を管理しやすい方、もしくは一時金で受け取ると、お金をつい使ってしまい、家計をうまく管理できない方など。
<4>        夫婦で住宅ローンを組んでいる人
共働きのご夫婦の場合、マイホームを共有名義にして、それぞれで住宅ローンを組むことがある。その場合、団体信用生命保険(団信)の対象となるのは本人で借りている住宅ローンだけであり、配偶者に万一のことがあった時には、その住宅ローンは団信で相殺されるものの、自分のローンは返済が続くことになる。もし、配偶者が亡くなった後、その返済が負担になると予想される場合は、自分のローンを相殺できるだけの死亡保障を配偶者の生命保険にプラスするのも一つのやり方。住宅ローンの残債は、年々減っていくので、収入保障保険はそのニーズにうまく合致する。
<5>        団体信用生命保険に入らずに住宅ローンを借りた人など
フラット35などごく一部の住宅ローンに限られるが、団体信用生命保険(団信)への加入が任意になっているものがある。もし健康上の問題がないのに団信に入らずに借りてしまって、後から心配になった場合や、親族などから住宅取得資金や事業資金などを借りている場合には、万一の時に家族(遺族)に借金が残ってしまうリスクがある。このような場合、住宅ローンや借金の残債は、年々減っていくので、収入保障保険はそのニーズにうまく合致する。

【収入保障保険が向かない人・・・】

<1>        必要な死亡保障額が今後も変わらず貯蓄も増える予定がない人
DINKSなどで長期的に必要な死亡保障額にはあまり変化はないけれど、一方で貯蓄もあまりできないというご夫婦など。こういった方には、むしろ定期保険などが向いている。
<2>        相続対策や相続税対策で加入する人
相続対策や相続税対策で生命保険に加入する場合には、一時金での大きな保険金が重要となる。こういった方には、むしろ終身保険などが向いている。

収入保障保険は一時金と年金受取では税金のかかり方が異なることに注意!

収入保障保険の保険金の受け取り方には、年金形式だけでなく、死亡時に一時金で受け取る方法もあると前述しましたが、実はこの受け取り方で税金のかかり方も異なります。

死亡時に一時金で受け取る場合は、<500万円×法定相続人数>の非課税分を引いた差額が相続税の課税対象となります。一方で、年金で受け取る場合は、「年金受給権」が相続税の課税対象となるほか(500万円×法定相続人数の非課税枠あり)、毎月の年金受取時に所定の必要経費(払い込んだ保険料のうち、その年金受取に該当する分)を除いた分が雑所得となり、所得税と住民税の課税対象となります。

つまり、年金で受け取る際には、税金は相続の枠内では済まず、将来受け取る年金の一部が「所得」にもなるため、その後の働き方などとの兼ね合いで検討する必要があります。実際に将来の収入(所得額)は加入してからの経過年数等によっても異なるので、万一の事態が発生した場合は、保険金の請求前に保険会社や代理店、ファイナンシャルプランナーなどに相談をして決めるといいでしょう。

保険金の受取方法 相続発生時 年金受取時
一時金 保険金全額が相続税の対象となるが、<500万円×法定相続人数>の非課税分を引いた差額が実際の課税対象
年金 年金受給権が相続税の対象となるが、<500万円×法定相続人数>の非課税分を引いた差額が実際の課税対象 毎月の年金受取時に所定の必要経費(払い込んだ保険料のうち、その受取年金に該当する分)を除いた分が雑所得となり、所得税・住民税の課税対象

※相続税の基礎控除額=5,000万円+法定相続人数×1,000万円

以上、万一の死亡保険で、保険金を年金形式で受け取る商品である「収入保障保険」が、なぜ割安な保険料なのかご理解いただけたのではないでしょうか。なお、本文では触れませんでしたが、保険会社が定める所定の健康体や非喫煙等の条件をクリアした人はさらに割引が適用されることもありますので、ご自身の保険をチェックし、また保険の入り方も見直して、ぜひ保険料の節約につなげてくださいね!

2010年2月
ファイナンシャルプランナー、シニアリスクコンサルタント
豊田眞弓