第19回:老後のお金はどう考えたらいい?


80歳まで生きる可能性が、半分以上?!

平成15年の簡易生命表によると、今の死亡率が続いたと仮定すると、80歳まで生存する割合が、男性でも現在の半数以上、女性は4人に3人といわれています。平均寿命が0歳の子が生きる平均年数なので、実際に平均寿命以上に生きる人は多く、本当に長生きについてまじめに考える必要があると思います。

いつ頃から老後のお金を考えたらいい?

通常は定年が見えてきたときから、老後のことを考えるという方が多いと思いますが、そのときに急に家計を整理して、老後の準備をするのでは、打てる手だても少なく、遅いという事態も増えています。

例えば、住宅ローンを完済しようと思っても、十分な退職金がなく、老後資金に支障をきたしたり、教育費がかさんだために、老後に必要だと思われる金額まで資産形成が進まなかった例など様々です。

ですから、老後資金のことは、まだ10年以上収入が続くという段階から、家計支出を見直して、積立分を捻出するなど、40代半ばから意識していくことが必要になってきていると思います。

老後のお金はどうやって目安を考える?

実は、老後といっても、過ごし方は人それぞれ。自由時間も多く、あなたがどんな趣味や生活をしていきたいかによって、必要な生活費も変わってくるといえます。そこで、次のような視点で、まずご自身の老後生活のイメージをしてみてください。

老後生活ってどんな生活?
  1. 誰とともに?
    □配偶者 □子供 □孫 □親 □兄弟姉妹 □友人 □ペット
    □その他(                                )

  2. どこで?
    □住みなれた今の地 □都心部□地方 □海外 □複数を拠点
    □その他(                                )

  3. どんなふうに?何を優先させて?
    □夫婦の共通の楽しみをつくって □自分の趣味 □家族旅行
    □知人と旅行 □1人旅行 □ペット □ボランティア
    □孫のお守り
    □その他(                                )


具体的に老後の生活のイメージができたら、実際に今の家計を見つめ、貯蓄・運用のプランを立てましょう。お金は目的別に整理して、使う時期までの期間に合わせて運用することが大切です。老後にどんな支出がありうるかは、次の7つのポイントで整理するといいでしょう。

老後へ向けたお金の目的別準備のポイント
  1. 生活費の補填(年金などで足りない部分など)
     ⇒預貯金・投資・年金商品など
  2. 住宅関係(住宅ローンの返済やリフォームなど)
     ⇒預貯金など安全重視で
  3. 子供の教育・結婚援助資金
     ⇒必要なら預貯金など安全重視で
  4. 孫へのプレゼント
     ⇒投資などによる利息配当・分配金など
  5. 生きがいや楽しみ・趣味のお金
     ⇒投資などによる利息配当・分配金など
  6. 相続税対策
     ⇒生命保険の活用など
  7. 万一の入院や介護などの緊急資金
     ⇒500万円程度を目安として預貯金で


ここでは、住宅関係など計画的に支出する予定のあるものは、安全重視の預貯金を中心に考え、孫へのプレゼントや趣味などで受取額が多少変動しても、許容範囲と思われる部分に、投資商品を組み入れるとお金の準備にも張りが出てくると思います。

1の生活費の補填部分は、公的年金の加入状況や、お住まいの場所・同居の人数などによって異なりますが、65歳以降の必要生活費としては、以下の試算のように、自営業者では6,000万円弱、夫会社員世帯では3,500万円弱、共働き世帯では2,000万円弱が1つの目安になると思います。60歳退職で65歳まで収入が途絶えるなら、更に1,500万円程度の上乗せは必要になってきますが…。

(1)今の高齢者の生活費

65歳以上夫婦の
生活費の平均は?
月26万円 総務庁「平成15年度家計調査」より
ゆとりある老後
生活費の目安は?
月37万円 生命保険文化センター
「平成13年度生活保障に関する調査」より

(2)今の高齢者の生活費

A.自営業者世帯(夫婦とも40年加入) 月13万円 厚生労働省より
平成15年4月の数値
B.会社員世帯(夫厚生年金40年加入、専業主婦) 月26万円
C.共働き世帯(夫婦とも夫厚生年金40年加入) 月29万円

(3)今の高齢者の生活費
  (退職後の期間を仮に20年間とすると…インフレを考慮せずに計算)

  現在の生活費水準で足りない額は
〔上記(1)26万円-上記(2)〕×20年分
ゆとりある生活費水準で足りない額は
〔上記(1)37万円-上記(2)〕×20年分
A.自営業者世帯 3,120万円 5,760万円
B.会社員世帯 720万円 3,360万円
C.共働き世帯 ゼロ 1,920万円

以上から、自分の思い描く老後を安心して迎えるためには、直前に準備するのでは間に合いません。40代くらいから、「今後必要なお金をある程度予測し、今の家計支出も優先順位を決めて管理し、将来への資金準備を並行して行う」ことが着実に実行できる秘訣だと思います。

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ファイナンシャルプランナー(CFP(R))
1級フィナンシャル・プランニング技能士
吹田朝子