教育費と老後資金を準備したいのですが?


伊藤美和先生 プロフィール
貯蓄や投資を始めてしばらくすると、誰の頭にも思い浮かぶのが1000万円という夢の数字。「1000万円お金を貯める」ということはハードル走に似ています。100万円、300万円とハードルをクリアするごとに貯まるスピードはどんどん加速していきます。この「貯める・殖やす」のコーナーでは、皆さんがハードルを楽に越え、早くゴールにたどりつけるよう、お手伝いができればと思います。何でもお気軽にご相談ください。

斉藤 健一さん(仮名)のご相談

2年後に長男が私立大学に、3年後に次男が私立高校に進学予定です。それぞれ子ども保険で100万円ずつ、教育費として用意しています。現在の定期預金などの200万円を、できるだけノーリスクで運用するには、どうしたらいいでしょうか?そして老後資金は今後どのように貯めていったらいいでしょうか?

斉藤 健一さん(仮名)のプロフィール

46歳 サラリーマン。神奈川県の持ち家(マンション)住まい。家族は妻(40歳・専業主婦)、長男(16歳)、次男(12歳)

・家計状況

収入 貯蓄
手取り月収入 400,000 円 普通預金 1,000,000 円
手取り年収 7,400,000 円 ニュー定期 1,000,000 円

教育資金・老後の資金準備を切り離さず奨学金や低利の教育ローンも活用しましょう

私立高校の初年度学校納付金の平均は65万6000円、その後の授業料の年間平均額は約32万4000円です。私立文系大学4年分の学校納付金の平均は約380万円です。子ども保険の100万円ずつの満期金だけでは足りないので、その時々の家計から捻出していくことになります。住宅ローンの残高が多いことをふまえると、奨学金や国の教育ローンを利用する可能性も含めてプランを考えていきます。

学校納付金額の内訳(文部省調べ・平成11年度)

首都圏の私立大学入学費用(東京地区私立大学教職員組合連合調べ)

都市銀行の教育ローンの多くは現在5%前後。借り入れた資金の利用は入学金など学校に直接振り込むお金などに制限されている場合も多くなっています。ところが、もっと自由度が高くて低利な融資があります。

まず会社に財形貯蓄の制度があるなら一般財形貯蓄について調べてみましょう。勤務先で「財形貯蓄活用給付金制度」があれば子供の教育や育児、介護などのために50万円以上払い出すと、1万5000円から最高で21万円の給付金を受け取れます(1年以上積み立てている場合)。財形貯蓄活用給付金制度がなくても、「財形教育融資制度」で、万が一資金が足りない場合には低利(2.28%/固定金利)で融資を受けることができます。融資額は財形の残高の5倍以内(10万円以上450万円以内)で、返済期間は10年以内。しかも最長4年の元金据え置きが可能です。
その他の商品では郵便局の「教育積立貯金」がお勧めです。毎月一定額を、1~5年の間に総額で200万円まで積み立てていきます。積み立て終了後4年以内なら、国民生活金融公庫から積み立て額と同額までの融資が低利(1.7%)で受けられます。
「一般財形貯蓄」や「教育積立貯金」などに積み立てる金額は多めに設定して、至急に残高を増やしておきましょう。定期預金などからシフトしていくようなつもりでもよいでしょう。

老後資金については、運用を考える前に、住宅ローンの残高を減らすことを優先にします。支払い金利以上にリターンを得ることは低リスクでは難しいからです。ただし繰り上げ返済のしすぎは禁物。これから教育費もかかるので、現状(200万円)程度の金額は、安全で換金性の高い商品にプールしておくことが基本です。

老後の資金準備のためにも、お子さんに奨学金を受けてもらいましょう。現在、国立大学生の3割、私立大学生の2割近くは日本育英会の奨学金のお世話になっています。その他にも大学の奨学金や、民間団体の奨学金などもあります。「学費くらいは親が」と考える40代の方は多いと思いますが、これからは老後の年金や医療システムがアテにできない時代……豊かな老後のためには「子どもの協力も必要」と頭を切り替えたいものです。

できれば奥様もパートに出るなどして、収入を増やされて、「定年までに住宅ローンを完済。退職金は全額、老後資金に」と計画できれば老後はひとまず安心なのですが。「家族の協力」が豊かな老後生活を送れるかどうかのポイントとなるでしょう。

1.貯蓄預金(銀行)・貯蓄貯金(郵便局)

教育資金を準備する目的で、郵便局で扱っている商品。積立期間は1~5年の範囲内で月単位で設定可。毎月の積立額は1万円以上5000円単位で、200万円まで預けられます。積み立て終了後4年以内なら国民生活金融公庫から積立額と同額までの融資が受けられます。
借入資格者は、高校、高専、短大、大学、専修学校、各種学校等で教育を受けようとする人、また受けている人、およびその親族です。

2.国の教育ローン(国民生活金融公庫・補足)

国の教育ローンの融資額は、学生・生徒一人につき200万円までとなっているので、長男が200万円利用していても、次男は別枠で200万円利用可。ただし安易に借入額を増やすことは、その後の生活設計上×。
融資利率は現在1.7%と低利の固定金利ですが、保証人がいない場合は、金利負担とは別に保証料として、年に平均残高の1%程度の費用が必要。100万円を10年間の毎月均等返済で借りた場合の保証料の目安は、トータルで5万円程度。 昨年3月の融資残高は113万件、約1兆円近く。
借り入れたお金の使い道は、学校納付金、受験料、入学に必要な費用(教科書代、アパートの敷金等)、アパートの家賃、通学に必要な交通費、在学中に払う国民年金保険料など幅広く認められている点が、金融機関のローンより一般的に有利。

3.財形教育融資制度

財形貯蓄をしている勤労者に、直接または事業主などを通じて、本人またはその親族の進学、修学または留学に要する資金を長期、低利で融資する制度。収入減少割合30%以上の場合は、融資利率がさらに低利になります(通常:2.28%固定金利。減収者:1.48%/平成14年1月1日現在)。