「セルフメディケーション税制」について教えてください。

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「セルフメディケーション税制」について教えてください。

今回、回答いただく先生は…
鈴木 暁子先生 (すずき あきこ) プロフィール
  • まずは医療費控除を理解しておきましょう。
  • セルフメディケーション税制は医療費控除の特例です。
  • 誰が何を適用するのがオトクかを比較して使い分けましょう。

長谷部景子さん(仮名 30歳 会社員)のご相談

最近ニュースで「セルフメディケーション税制」というのを耳にしましたが、今一つよくわかりませんでした。どのようなものか教えてください。

ご相談者のプロフィール

家族構成
家族 所得
本人
30歳
会社員
約300万円

34歳
会社員
約500万円

定期健診などを受けたうえで購入した特定のOTC医薬品の支払いが所得税の控除対象になる、医療費控除の特例です。

1.従来からの医療費控除を理解しておきましょう。

長谷部さん、こんにちは。最新の税制にアンテナを張っていらっしゃいますね。 平成29年1月1日からスタートした「セルフメディケーション税制」は、一定の要件を満たした人に適用することができる、医療費控除の特例です。

まず、前提知識として、従来からの医療費控除を確認しておきましょう。 その年の1月1日から12月31日までの1年間に、ご自身や生計を一つにしている配偶者やその他の親族のために支払った医療費には、一定額の所得控除を受けることができます。これが医療費控除です。
【医療費控除の金額】
医療費控除の金額の図
医療費控除で控除される金額は以下の式で算出されます。 ①保険金などで補てんされる金額 (生命保険などの給付金、高額療養費、出産育児一時金など) ②その年の総所得金額が200万円以上の人:10万円 その年の総所得金額が200万円未満の人:総所得金額の5% 医療控除の金額=(実際に支払った医療費の合計額-①)-②

また、注意しないといけないのは医療費控除の対象です。医療費控除の対象は、「治療」「医師の指示によるもの」です。主なものとして
・医院・病院、歯科の治療費
・入院にかかる費用
・処方薬、市販薬
・通院のための交通費
・治療のためのマッサージの費用
・介護保険サービス利用時の自己負担分
・コルセットなどの医療用器具の購入費、レンタル料
などがあります。
一方、認められないものとして
・人間ドックなどの健康診断費用
・自己都合で利用する差額ベッド代
・美容を目的とした治療
・健康増進のためのサプリメント購入費
・治療を目的としないマッサージ
などがあります。
ただし健康診断によって病気が発見され、その後治療をした場合は、健康診断費用も医療費として認められます。

2.セルフメディケーション税制は医療費控除の特例です

今回ご質問をいただいた「セルフメディケーション税制」は、「健康の維持推進及び疾病の予防への取組として一定の取組を行う個人が、ご自身や生計を一つにしている配偶者やその他の親族のために一定のスイッチOTC医薬品を購入した費用について、1万2千円を超えるときは、超える部分の金額(8万8千円を超える場合には8万8千円)について所得控除を受けることができる」という医療費控除の特例です。

この制度の適用には二つの条件があります。
①健康の維持推進及び疾病の予防への取組として一定の取組を行う個人
特定健康診査(メタボ検診)、定期健康診断、健康診査、がん検診などを受診している個人
②スイッチOTC医薬品を購入
スイッチOTC医薬品とは、薬局などで処方箋がなくても購入できる、医療用から転用された医薬品のことで、 これらの購入費がこの制度の対象です。

具体的な対象医薬品は、厚生労働省のHPに掲載されています。
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/0000145909.pdf
(平成29年1月17日時点)

風邪薬、胃腸薬、鼻炎薬、湿布、水虫薬など、普段から購入しているような薬も多いので、きちんとレシートを取っておきましょう。 なお、対象の医薬品のパッケージには識別マークが表示されるので、いちいちリストを確認しなくても大丈夫です。

【セルフメディケーション税制適用により所得控除される金額】
所得控除される金額は以下の式で算出されます。

所得控除される金額※=対象医薬品の購入金額-12,000円
※88,000円を超える場合は88,000円

ケース1:対象医薬品の購入金額が30,000円の場合

30,000円-12,000円=18,000円
18,000円≦88,000円 ⇒ 所得控除される金額=18,000円

ケース2:対象医薬品の購入金額が120,000円の場合

120,000円-12,000円=108,000円
108,000円≧88,000円 ⇒ 所得控除される金額=88,000円

3.上手に使い分けましょう

これまでは、医療費控除を使いたくても支払う医療費のハードルが高く、適用できないというケースも多くありました。セルフメディケーション税制による医療費控除の特例が創設されたことで、一定の医薬品のみが対象とはいえ、ハードルが下がったと言えましょう。

ただし、医療費控除とセルフメディケーション税制による特例の併用はできず、どちらか一方の選択となります。(ご夫婦で一方が医療費控除、もう一方がセルフメディケーション税制を適用して申請することは可能です)
また、節税できる金額は「所得控除できる金額に税率を乗じた金額」ですので、家族の中で税率の高い方が申請するのがオトクです。
長谷部家ではご主人様が確定申告すると、医療費控除または所得控除できる金額の30%(所得税率20%+住民税率一律10%)が節税効果になります。

【参考:所得税率】

所得税率の表

国税庁HPより筆者加工

会社員は、いわゆる経費といえるものが少なく、その意味では所得控除で節税するのがポイントといえます。医療費控除かセルフメディケーション税制による特例のどちらを選択するかは、対象の金額がどれくらいになるかによって判断することになりますので、とにかくレシート類はしっかり保管しておきましょう
でも、一番お金がかからないのは健康でいることですよ!