老後資金はいくらを目標に貯めればよいでしょうか?


老後資金はいくらを目標に貯めればよいでしょうか?

村井 英一先生 (むらい えいいち) プロフィール
  • 老後のために準備する金額は、老後の生活費と年金などの収入の差額です
  • 現状では、教育費も老後資金の準備もそれほど心配はありません
  • ご主人に万が一のことがあった場合に備えて、死亡保障を増額しましょう

横山 美穂さん(仮名 40歳 契約社員)のご相談

昨年に転職し、正社員から契約社員になりました。育児の時間を増やすための転職ですが、年収が半分になりました。今後、消費税が引き上げとなり、教育費が上昇していく中で、老後資金はどのくらいを目標として貯蓄していったらいいか教えてください。私はあと3年働いたら家庭に入り、主人は55歳の定年退職後、再雇用で65歳になるまで努める予定です。

横山 美穂さん(仮名 40歳 契約社員)のプロフィール

家族構成 : 本人 美穂さん (40歳 契約社員 年収190万円)
夫 謙一さん (40歳 会社員 年収740万円)
長男 勇人くん (9歳)
長女 由佳ちゃん (4歳)

現在の家計の状況

<収入>(手取り収入)(単位:円)

月給 ボーナス 合計
ご相談者様 380,000 1,000,000 6,560,000
ご主人様 120,000 0 1,440,000
合計 500,000 1,000,000 8,000,000

<支出>(単位:円)

金額 臨時支出 年間支出
居住費 60,000 100,000 820,000
食費 50,000 600,000
光熱費 20,000 240,000
医療費 5,000 60,000
被服費・雑貨 10,000 120,000
通信費 10,000 120,000
教育費(学校関連) 40,000 480,000
教育費(学校以外) 40,000 480,000
小遣い 50,000 600,000
交際費 20,000 600,000 840,000
保険料 7,000 84,000
その他 25,000 100,000 400,000
雑費・使途不明金 20,000 240,000
貯蓄 160,000 1,000,000 2,920,000
合計 517,000 1,800,000 8,004,000

<金融資産>(単位:円)

普通預金 6,000,000
定期預金 17,000,000
財形貯蓄 1,000,000
投資商品 2,000,000
合計金額 26,000,000

<加入している生命保険>(単位:円)

種類 被保険者 月額保険料
定期保険 ご主人 4,000
定期保険 ご相談者 3,000

※自宅マンションの住宅ローンは返済済み。ただし、タワーマンションのため、管理費・修繕積立金が高く、今後も上昇が予想される。

ご主人様がご健在であれば、老後の資金準備は心配ありません。
しかし、もしもの時の備えが足りないようです。

1.60歳時点で必要な貯蓄額を計算しましょう

横山様、こんにちは。ワーク・ライフ・バランスを考えての転職。生活が充実する一方、経済面では不安があるかと思います。特に、目先の生活についてはある程度のメドがたちやすいのですが、老後のこととなると、まったく見当がつかないかもしれません。収入が大きく減るということで、将来のことが心配になりますね。

老後資金がどのくらい必要であるかを考える場合には、60歳時点での必要貯蓄額を考えるとよいでしょう。年金の支給開始年齢が65歳へと徐々に引き上げられています。一方、雇用延長で60歳以降も働くことができる環境が整いつつありますが、勤務先でかなり状況が異なります。定年再就職となっても、それまでの半分ぐらいの年収となることが多いようです。それだけに、60歳から64歳までの間のライフプランが重要になっています。また、65歳以上の生活費が、夫婦二人の年金額でおおむね賄えられれば、長生きししても心配はありません。生活費が年金額を上回る場合は、少しずつ貯蓄を取り崩すことになります。それまでにどのくらい貯蓄ができているのかと、取崩しのペースの兼ね合いが問題となります。

60歳時点で必要な貯蓄額 =60~64歳の間の生活費 - 60~64歳の収入
+ (65歳以降の生活費-65歳以降の年金収入) × 平均余命までの年数
+ 介護費用 + 予備費
※「平均余命」とは、その時点の年齢の人が、平均であとどのくらい生きるかの年数。平均寿命までの残りの年数よりも少し長くなる。

ご夫婦で年齢差のある場合は、ご主人様が亡くなった後の年金収入と奥様一人での生活費を考慮する必要がありますが、横山さまの場合は同じ年齢ですので、そこまで考慮しなくてもよいでしょう。ここでは、大ざっぱに老後にどれくらい必要なのかがわかればよいのです。介護費用については、自宅か施設入居かで大きく違いますし、施設によってもピンキリです。そもそも、介護が必要ない可能性も小さくありません。ここでは、介護費用は、一人が平均的な有料老人ホームに5年間入居する費用として1,300万円を計上します。予備費は500万円とします。

2.現状では、今の生活を継続していけば、十分に貯まります

現在の生活状況から前提を立てて、キャッシュ・フロー表を作成すると、老後の必要資金がわかります。横山様の場合は、以下のようになりました。65歳の平均余命は男性が約19年、女性が24年となっていますので、ここでは間をとって22年とします。

2,035万円 - 1,741万円 + (400万円-360万円) × 24年 + 1,300万円 + 500万円 = 3,054万円
※65歳以降の生活費には、物価上昇率を考慮して想定しています。

<横山様のキャッシュフロー表(1)を別ウィンドウで表示>

<今後の家計状況の予想グラフ(1)を別ウィンドウで表示>

横山様は、すでにご自宅の住宅ローンを完済されています。今まで、奥様が正社員で働いていましたので、世帯収入が多く、ローンを早く終えることができました。これで、以降の資金状況がかなり楽になっています。契約社員となり、年収が半分となりましたが、それでも今は十分な貯蓄ができています。3年後に奥様が退職されたとしても、お子様の教育費の心配ありません。また、ご主人様が早期に退職されたとしても、再就職をされるようでしたら、老後の資金も心配ありません。60歳時点で5,000万円程度の貯蓄ができていますので、多少予定が変わったとしても問題ないでしょう。
油断をされることなく、今まで通りの生活をされていけば、安心して老後を迎えることができます。

3.万が一の場合の備えが不足しています

ただし、ご主人様に万が一のことがあると、つまり死亡した場合は、状況が異なります。生活費が若干減るとしても、マンション管理費などの居住費や教育費は変わりません。遺族年金が入るとしても、収入は大きく減ってしまいます。仮に、今ご主人が亡くなったとすると、奥様が75歳の時点で貯蓄が底をついてしまいます。奥様が今の仕事を辞めずに続けたとしても賄えない金額です。

<横山様のキャッシュフロー表(2)を別ウィンドウで表示>

<今後の家計状況の予想グラフ(2)を別ウィンドウで表示>

今までは、夫婦二人が正社員で、それぞれにある程度の収入がありました。さらに、すでに住宅を購入されていたので、それほど大きな死亡保障は必要ありませんでした。しかし、奥様が正社員を退職された後は、ご主人様の万が一に備えて、死亡保障を大きくする必要があります。幸い、家計には余裕がありますから、ある程度は保険料が増えても、それほど家計を圧迫する心配はありません。

まとめ

ご主人様に万が一のことがあった場合に、遺された奥様やお子様のために必要な金額は、年とともに徐々に小さくなります。お子様が成人して独立するまでの残りの期間が減ると、その分の生活費と教育費が少なくなるからです。つまり、ご主人様の死亡保障として必要な金額は、だんだんと小さくなります
それに合わせて、徐々に保険金が小さくなる生命保険を検討されてみてはいかがでしょうか。「あらかじめ決めた年(ご主人様が60歳になるはずだった年)までの間、毎年一定の保険金額が支払われる」という保険なら、時間の経過とともに保障金額が小さくなっていきます。その分、保険料は安くなっています。さらに、多額の保険金が一度に出るのではなく、毎年分割して支給されますので、生活プランが立てやすいというメリットもあります。名前は、保険会社によって異なりますが、「収入保障保険」「家計保障保険」などと言われています。横山様の場合は、毎年120~150万円が支給されるプランで検討されてみてはいかがでしょうか。