老後資金の準備に「変額保険」を勧められています。 「変額保険」とはどのようなものですか?


老後資金の準備に「変額保険」を勧められています。
「変額保険」とはどのようなものですか?

村井 英一先生 (むらい えいいち) プロフィール
  • 将来受け取る満期金や年金、解約返戻金は増えることも減ることもあります
  • 死亡保険金には、基本保険金額が保障されています
  • 他に、外貨建ての保険、積立利率変動型の保険などもあります

新田 由佳さん(仮名 45歳 パート主婦)のご相談

子どもの教育費のメドがついたので、そろそろ老後資金の準備を始めようと思います。個人年金を考えていたところ、「変額保険」というものを勧められました。どのようなものでしょうか?

新田 由佳さん (45歳 パート主婦 年収80万円)のプロフィール

家族構成
夫 一郎さん : 50歳 会社員 年収650万円
長女 : 20歳 大学生

積み立てられた保険料を株式や外貨などのリスク商品で運用。
受取金額が増減する商品ですが、長期の積立てには検討の価値あり。

1.満期金や年金、解約返戻金の金額が決まっていない保険

新田様、こんにちは。老後に備えて、毎月少しずつ貯蓄をしていく。このような場合に、定期預金や投資信託を利用するのも1つですが、保険商品を利用するのも有効です。保険商品には、万が一の際に大型の保障がある保険だけでなく、将来に備える貯蓄性を重視して設計されているものもあります。その代表的なものが、個人年金保険養老保険です。終身保険は死亡の際に保険金が出る保険商品ですが、中途解約時に受け取る解約返戻金が、払込み保険料より増えるものがあり、貯蓄としても利用されています。

加入の時点で、将来受け取る満期金や年金、解約返戻金などが決まっている保険を定額保険といい、多くの保険商品はこのタイプです。かつては運用の利率が高く、貯蓄の手段として、大変魅力的でした。しかし、最近の低金利で徐々に魅力が薄れてきてしまいました。今年の4月にも各保険会社で利率の見直しがあり、保険料の値上げや、満期金や年金・解約返戻金の引き下げがなされました。定額保険は、預ける金額と受け取る金額が確定する、という安心感があります。しかし、かつてのような高い利率ではありませんので、インフレで目減りしてしまう可能性があります。受け取る金額は減っていないのですが、インフレでお金の価値が下がってしまい、実質的に目減りしてしまいます。

最近、変額保険など、満期金や年金、解約返戻金の金額が決まっていないタイプの保険商品が見直されるようになってきました。これらの保険商品では、積み立てられた保険金がリスクのある金融資産で運用されます。その運用の成果によって増えることもあれば、減ることもあります。ただし、保険の対象者が死亡した場合に出る死亡保険金だけは、最低の保険金が保障されています。バブル崩壊後、元本割れすることが多くなり、あまり扱われてはいませんでした。ところが最近は株価の上昇や為替の円安ドル高があり、再び注目されるようになってきています。特に、インフレのようにお金の価値が下落する状況では、株式や外貨が上昇する傾向があります。老後のための資金準備など、必要な時期が決まっていない長期の積立てには、このような保険商品も検討してみてはいかがでしょうか。

以下、満期金や年金、解約返戻金の金額が決まっていない貯蓄重視タイプの保険商品に、どのようなものがあるかを見てみましょう。

2.変額保険、変額個人年金、変額終身保険

変額保険は、支払った保険料が株式などのリスク商品で運用され、その運用の成果で満期金の金額が決まるものです。そのため、運用成績次第で満期金が増えることもあれば、減ることもあります。途中で解約した際に受け取る解約返戻金も同様です。そのため、満期にこだわらずに、運用がうまくいき、解約返戻金が増えている時に解約してしまうのがよいでしょう。その後に運用環境が悪くなってしまうと、解約返戻金や満期金が少なくなってしまう可能性があり、長く保有しているのがよいとは限らないからです。ただし、死亡保険金だけは、運用成果が悪くても、基本保険金額を下回らないようになっています。

変額個人年金は、一定期間運用した積立金を年金の原資とし、年金として受け取ります。年金の金額は運用の成果によって変わりますが、最低保障がついているものもあります。
変額終身保険は、途中解約の解約返戻金には最低保障はないものの、死亡保険金として受け取る場合には最低保障がついています。
いずれも「変額年金」と言われることがありますが、商品の性格によって、途中解約などのタイミングを考える必要があります。
積立金の運用は、いくつかの投資信託などから選択するものが多くなっています。投資信託には、日本株式、外国株式、外国債券、バランス型などがあり、一定の範囲内で投資信託を変更することもできます。

変額保険のイメージ図

3.外貨建て個人年金、外貨建て終身保険

支払った保険料をアメリカ・ドルやオーストラリア・ドルなどで運用し、将来年金で受け取るのが、外貨建て個人年金です。終身保険で、死亡保険金が外貨建てとなっているのが外貨建て終身保険です。いずれも、加入の時点で将来受け取る年金や死亡保険金、解約返戻金などは確定しています。しかし、確定しているのはアメリカ・ドルやオーストラリア・ドルなどの外貨建て金額です。受け取る際の為替レート次第で、円建てでは増えることもあれば、減ることもあります。
海外の金利は日本よりも高く、特にオーストラリアの金利は高い状況です。それだけに、外貨建てでの保険商品は、毎月の保険料が安くなっています。しかし、死亡保険金にも円建てでの最低保障はありません。保険金が出る際の為替レートがどれぐらいであれば損失とならないかなど、事前のチェックが必要です。

4.積立利率変動型個人年金、積立利率変動型終身保険

将来受け取る年金や解約返戻金などの金額は、事前に確定していません。運用の状況で、その間の利率が変わります。ただし、最低保障の利率がありますので、運用で減ってしまうことはありません。死亡保険金も基本保険金額は保障されており、運用の利率次第では増えるようになります。
利率が違うだけですので、変額保険のように大きく増えることまでは期待できません。ただ、現在のような低金利の状況では、定額保険では低金利で長期の運用をすることが決まってしまいます。その点、積立利率変動型であれば、将来の金利上昇のメリットが享受できます。例え、将来金利が上がらなかったとしても、最低保障の金利は適用されますので、損失となる不安がありません。どのような場合に利率が上昇するのかを事前に確認しておくとよいでしょう。

積立利率変動型終身保険のイメージ図

最後に

将来に備えて、保険商品で貯蓄をしていくことは有効な対策です。そして、インフレが心配される状況では、変額保険のような保険商品も検討対象になるでしょう。変額保険だけでなく、外貨建ての保険、利率変動型の保険も合わせて検討したいものです。さらに、それぞれ個人年金、終身保険があり、比較してみるとよいでしょう。ご家族の状況、その他の金融資産の状況なども考慮しながら選択されてください。

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