来年大きなイベントを控えていますが、 住宅ローンや保険はどのように考えたら良いでしょうか。


来年大きなイベントを控えていますが、
住宅ローンや保険はどのように考えたら良いでしょうか。

鈴木 暁子先生(すずき あきこ) プロフィール
  • 住宅ローンの借り入れ方は、メリットと留意点を理解した上で。
  • 地震保険は加入の目的をはっきりさせましょう。
  • ご家族が増えたら必要保障額は見直しが必要です。奥様の仕事を継続するかどうかも大きなポイントです。

高見沢 桂子さん(仮名 30歳 会社員)のご相談

結婚2年目の夫婦です。夫婦とも健康で、現在共稼ぎでとりあえず経済的にも不自由のない生活を送っていると思います。来年の出産を機に、自宅購入も本格的に検討し始めています。私も仕事をしているので、夫婦それぞれでローンを組むと、それぞれローン減税を受けられますか?地震保険は周囲でもいろいろな意見があるのですが、加入したほうが良いでしょうか?
また、子どもが生まれた時の保険(保障)はどのようにプランしたら良いでしょうか?

高見沢 桂子さん(仮名 30歳 会社員)のプロフィール

家族構成 : 夫 32歳 会社員(退職予定年齢:60歳)
妻 30歳 会社員
来年第1子を出産予定
住居 : 賃貸(来年購入希望)

ご主人の収入をベースに借り入れ額を検討しましょう。
地震保険はその意味をよく理解した上で契約を。

1.住宅ローンは制度ありきで考えるものではありません

高見沢さん、こんにちは。来年ご出産予定とのこと。お体を大事にお過ごしくださいね。
さて、高見沢家では来年ご家族が増えるほか住宅購入も希望しており、住宅ローンの組み方なども検討中のようですね。では住宅ローンの借り入れについてみていきましょう。

住宅ローンを借り入れるパターンは4つあります。

1)夫の単独債務

一般的なケースです。夫が単独で借り入れ、保証人の代わりに団体信用生命保険(以下、団信)に加入します。

2)夫婦の連帯債務

夫婦連名で借り入れます。夫婦の収入を合算できるため、借入額を増やすことができますが、いずれも債務者としての義務が生じます。また団信の加入対象は、住宅支援機構のフラット35などでは夫婦とも加入ができる場合もありますが、一般的には主たる債務者のみ加入が可能です。

3)収入合算

ローンの債務者となるのは1人(例えば夫)ですが、夫の収入に妻の収入を一部合算して借入額を増やすことができます妻は連帯保証人となります。

4)夫婦それぞれの単独債務

夫が2,000万円、妻が1,000万円というように、夫婦がそれぞれ住宅ローンを組むという形態です。各自が債務者となり、この場合は夫名義と妻名義の2本の住宅ローンが設定されることになります。またそれぞれのローンに対し、互いに連帯保証人となります。

ここで注意すべきは、契約の形態によってローン減税や団信加入の対象者が違うということです。

ローン契約上の立場 住宅ローン減税 団信加入
契約形態
夫の単独債務 債務者 不可 不可
夫婦連帯債務 主たる債務者 連帯債務者 不可
収入合算 債務者 連帯保証人 不可 不可
夫婦単独債務 債務者 債務者

ローン減税を使えるのは「債務者」です。したがって、夫婦それぞれが使えるのはケース2(夫婦の連帯債務)、もしくはケース4(それぞれの単独債務)の場合ということになります。しかし併せて団信加入対象者を見てください。

ケース2(連帯債務)では、団信に加入できるのは主たる債務者のみです。つまりこのケースですと、ご主人様に万一のことがあればローンの残債は団信によって支払われますが、桂子さんに万一のことがあっても残債はそのまま残ります。もし収入合算して借入額を増やしていると、ご主人様の収入だけでは返済が困難になるおそれがあります。

ケース4(それぞれの単独債務)では、ローン減税も団信加入も2人とも使うことが可能です。しかしこのケースでは相手に万一のことがあった場合、相手のローン残債は団信で支払われますが、自分のローンは残ります。ご主人様に万一のことがあっても、桂子さんがご自身のローンを背負っていかなければならないのは、大きなリスクといえるでしょう。

ケース3(収入合算)も、借入額を増やせるのは魅力に思えますが、そもそも収入合算によって借入額を増やすというのは、身の丈以上の借り入れをするということ。裏を返せばご主人様の収入だけでは返済の負担が大きすぎるということです。

今、高見沢家では、桂子さんが仕事を続ける前提でイメージされていらっしゃるようですが、お子様が生まれると生活は大きく変わります。場合によっては仕事を辞めざるを得ない事態もあるかもしれません。すでに育児と仕事が両立できる環境を確認できているのであればともかく、桂子さんの収入が続くものとして借り入れをするのは大変危険です。

このような点からも、ご主人様の返済能力に見合った借り入れをする。あるいは少なくとも桂子さんが仕事復帰して育児との両立が確認できるまで、桂子さんも債務者となる借り入れは待つことをおすすめします。

2.地震保険は保険の趣旨や加入の目的を明確にして検討しましょう

次に東日本大震災の復興の中でクローズアップされている地震保険ですが、おっしゃるとおり賛否両論といったところでしょうか。地震保険については「保険料が高い」「ちゃんと支払ってくれるのか」など、さまざまな意見や疑問が交わされています。特に自分の想定に反して低い評価であったりするケースも多く、加入に納得感がない方も多いようです。では概要をみていきましょう。

【地震保険の特徴】

  • 地震保険は原則火災保険に付帯して契約するもの
  • 補償額は主契約である火災保険の30%~50%の間で設定 ただし上限あり(建物:5,000万円  家財:1,000万円)
  • 地震保険における認定は3種類
損害割合 保険金支払額
全損 50% 保険金額×100%
半損 20%以上50%未満 保険金額×50%
一部損 3%以上20%未満 保険金額×5%

保険の概要をみてもおわかりのように、保険金が満額で支払われたとしても火災保険の50%までです。これでは保険の意味がないと思われたでしょうか。

地震の被害というのは広域に渡り甚大な規模となります。したがって生命保険や医療保険などと違い、損害保険会社としても多めの補償を引き受けることは難しく、初めから「壊れた家屋と同じものを建てられるような補償」は想定していないのです。

地震保険の目的は、「家屋の原状回復」ではなく、「生活再建」にあります。当面の生活費はもちろん、生活用品を購入したりする費用がまずは必要です。また、今問題となっている二重ローンについても、たとえばこのような保険金で一部ではありますがまかなうことができます。

地震保険は起きなければまったくの掛け捨て、保険金を受け取ることができてもこれだけで十分とはいえない…という非常に迷う保険だとは思いますが、加入の検討にあたり、保険の趣旨や保険に何を求めるのかを明確にしましょう。

なお、あまりメジャーではありませんが、「地震補償保険」という保険があります。この保険は、

  • 火災保険とセットで加入する一般的な地震保険とは違い、単独で加入することができる
  • 自社査定ではなく、自治体発行の「り災証明書」による査定
  • 時価や被害額でなく、「り災証明書」の被害認定に基づく定額支払い
  • 補償額の上限は世帯人数で決まる
  • 認定は「全壊」「大規模半壊」「半壊」の3種類

など、一般的な地震保険とは違う特徴を持っています。

ちなみに一般的な地震保険は「保険金額100万円あたり保険料はいくら」と算出するのに対し、この保険は世帯数による定額のため単純な比較はできませんが、3人家族の場合、こちらは最高(全壊)で600万円、最低(半壊)で100万円(保険料:20,190円/一括年払い)です。

割安な分、上限も高額ではありませんが、単独で加入できる、あるいは一般の地震保険の上乗せ分として利用するなど、検討の対象にはなると思います。インターネットなどでチェックしてみてはいかがでしょうか。

3.保障の見直しは、ご家族が増えることと奥様の今後の就業状況がポイントです

次に保障についてみていきましょう。

【高見沢家の保険加入状況】

種類 保険金額 保険期間 年間保険料 払込期間
がん 日額1万 終身 38,000 終身
医療 日額1万 終身 48,000 終身
死亡 500万 終身 106,800 60歳まで
死亡 1,000万 40歳まで 40,000 40歳まで
がん 日額1万 終身 36,000 終身
医療 日額5千 終身 24,000 終身

ご夫婦2人、かつ奥様も正社員として雇用されているケースなので、現状では死亡、医療ともちょうど良いと思います。しかしご家族が増えますので、お子様独立までの生活費や教育費の分、保障の見直しが必要です。また先ほどの住宅取得とも絡みますが、もし住宅を取得していれば、ご主人に万一のことがあった場合でもローン残債を支払う必要はありませんが、賃貸の時に亡くなられた場合は、家賃についても見積もっておく必要があります。この場合、桂子さんが仕事を継続して収入を得られる状況かどうかによって保障額は違ってきます

桂子さんが収入を得られるのであれば、基本的な生活費はそれでまかなえるので、不足する分、保障を上乗せすれば良いでしょう。あとは教育費です。教育費は必ず必要になるもので、かつ必要な時期も明確です。したがって学資保険で準備するとよいでしょう。払込み方法(一時払いなど)によっては非常に貯蓄性の高いものもありますので、比較検討してみましょう。

桂子さんが育児などでお仕事を辞められていた場合には、その分保障額を増やしておく必要があります。最近、一時金として何千万円という保険金を受け取る従来の死亡保険とは違う、収入保障保険で準備する方が増えています。

収入保障保険とはご主人様の給与のイメージで、毎月定額の保険金を受け取るタイプの保険です。一時金でもらうより計画的に使えますし、保険料も比較的安いことが人気です。
一例として、「35歳男性、毎月30万円、保険期間・保険料払込期間60歳」の場合、月額保険料が約7,000円(健康体割引適用後)程度のものもあります。

現在の定期保険で保険料を増やすとなると、保険料も当然高くなりますし、更新ごとに保険料が上がっていくと、総払込保険料で逆転する可能性もあります。保険料の見積もりをとり、比較してみると良いでしょう。

また、桂子さんには現在死亡保障はありません。ご夫婦2人の時はそれでかまいませんでしたが、お子様が小さいうちは、桂子さんに万が一のことがあった場合、お子様の面倒を見てもらうためのベビーシッター費用や延長保育費用など、お母様の代わりとしての育児費用にお金がかかる可能性があります。葬儀代と合わせて500万円程度加入していると良いでしょう。

住宅ローン借り入れについても保障の見直しについても、事が起きる前に考え、検討する姿勢は非常に計画的です。マネーにかかわることは、情報を多く入手できるかどうかでオトク度も違ってきます。ご自分たちの目的や求めるものを明確にすることで、情報の取捨選択がしやすくなりますよ。

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