介護保険の利用料が値上げされるのでしょうか?

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介護保険の利用料が値上げされるのでしょうか?

今回、回答いただく先生は…
村井 英一先生 (むらい えいいち) プロフィール
  • 介護保険では、介護が必要な高齢者が介護保険サービスを利用できます。
  • 2018年8月より、所得の多い人の自己負担割合が3割となります。
  • 介護状態にならないように、あるいは介護費用に備える取り組みが必要です。

原田武さん(仮名 62歳 会社員)のご相談

また介護保険が値上げになると聞きました。今年から3割負担になるとのことです。まだ、私たち夫婦は介護が必要な年齢ではありませんが、そう遠くないうちにお世話になりそうです。私たちが利用するときはかなりの負担になるのではと心配です。

家族構成
家族 年収
ご相談者
原田 武さん
62歳 (会社員)
年収 220万円

和子さん
60歳
(主婦)

介護保険サービスの利用は、所得によって負担割合が異なります。
全体ではなく、一定以上所得の多い人の負担割合が3割に引き上げられます。

公的介護保険(以下、介護保険)は、介護サービスを受けるために市区町村が運営する社会保険制度です。サービスを受ける際に本人が支払う料金は、本来の価格の1割または2割です。2018年8月より、この本人が支払う分、自己負担割合が、所得状況によって3割となります。

詳細を見る前に、介護保険制度がどのようなものかを確認しておきましょう。保険料を払うのは40歳以上の人で、サービスの提供を受けるのは、原則として65歳以上で介護が必要な人です。
利用の申請をすると、介護が必要な度合いに応じて、7段階にランク分けされます。そのランクごとに、1か月間に利用できる金額の上限が決まっており、その範囲内で介護サービスを利用します。どのようなサービスを利用するかは、担当のケアマネージャーと相談しながら決めます。

介護サービスにはいろいろなものがあります。ヘルパーが自宅に来て、食事の介助や家事を担ってくれる訪問介護、デイサービスで食事やレクレーションをして1日を過ごす通所介護、さらには、寝たきりの人をお風呂に入れてくれる訪問入浴介護もあります。特別養護老人ホームや介護付き有料老人ホームに入所している場合は、これら個別のサービスは選べませんが、介護保険から費用の一部が出ています。

1.2015年に2割負担が設けられたのに続き、今年からは3割負担も設けられます。

介護サービスを利用する場合、一部は本人が負担しますが、残りのほとんどは介護保険から費用が出ています。本来の料金に対して本人が負担する割合は、かつては誰でも「1割」でした。2015年8月より一定以上の所得がある人については、自己負担割合を「2割」としました。具体的には、合計所得金額が160万円以上で、かつ「年金収入とその他の合計所得金額」の合計額が単身者で280万円、夫婦世帯で346万円以上の人が該当します。利用者のおよそ1割の人が2割負担となっています。
そして今年(2018年)の8月より、所得が多い一部の人の自己負担割合が3割となります。合計所得金額が220万円以上で、かつ「年金収入とその他の合計所得金額」の合計額が単身者で340万円、夫婦世帯で463万円以上の人が該当します。利用者の3%程度とされています。
所得が多い人ですので、3割負担となっても支払いが困難となることはないでしょう。ただ、3年間で利用料が〝3倍〟になっているのですから、驚くのも無理はありません。
1ヶ月の自己負担の金額が大きくならないように、上記の負担割合とは別に、自己負担の上限額も設けられており、それを超える金額については後日払い戻されるようになっています。ただ、こちらも昨年(2017年)の9月に一部見直しがあり、負担が大きくなっています。

2.所得の多い層を中心に、今後も負担増は予想されます。

もちろん、3年ごとに2倍、3倍と負担が大きくなっていくわけではありません。しかし、今後も高齢者の人口が増加し、介護保険の財政が厳しくなっていくことは確実です。利用者の負担増となる制度変更がなされることは予想されます。特に、高齢者でも所得が多い人はより多くの負担を求められる可能性があります。年金額や株式配当の有無など、高齢者は収入の格差が大きいためです。

ただ、所得が多いとはいっても決して楽ではありません。介護サービスを上限まで利用すると、一番重いランクでは1か月の自己負担割合は、1割の場合で36,000円程度です。2割、3割となると、この2倍、3倍の金額が1ヶ月にかかるわけです。ご夫婦ともに介護が必要な場合など、負担は小さくないでしょう。
介護状態にならずに、介護保険サービスをあまり、あるいはまったく利用しなければ、この負担は抑えられます。年齢の上昇とともに、介護保険サービスを利用する人の割合は増えていきますが、80代前半でも男性で約17%、女性で約26%です。健康に留意して、介護予防の運動などを続けていけば、老後の出費を抑えることができるでしょう。さらに、民間の保険会社が扱っている介護保険への加入などで、介護費用の負担に備えることも検討したいものです。