夫の転勤を機に退職、出産を考えています 保険や教育費はどの程度準備すればいいでしょう?


夫の転勤を機に退職、出産を考えています
保険や教育費はどの程度準備すればいいでしょう?

山田 静江先生 (やまだ しずえ) プロフィール
 
  • 教育費は、大学まですべて公立でも約1,000万円。少なくとも、大学の学費(私立大学文系で400万~500万円)分は準備を。
  • 社宅から出る6年後、住まいの選択は慎重に。
  • 生命保険は入りなおす必要なし。医療保険は見直しを。死亡保障の不足分は別途、単独の定期保険に。

真鍋 美由紀さん(仮名 33歳)のご相談

最近結婚をし、主人の転勤の為、会社も退職しました。
これを機に、来年までに第1子、次の年に第2子の出産を考えております。
収入が減り家計の心配もあります。
出産や子育てにどれくらいのお金を用意しておけば良いのかもわかりません。

生命保険は証券が手元に無く(主人の母が持っています)、詳しくは分からないのですが、名義変更をお願いしたところ、保険会社の方から「保険の見直しを検討したらいかがですか?」と言われました。
今、主人が入っているのは定期付終身保険で1500万、終身部分は100万、医療保険日額5000円の保険です。私は母が県民共済に2000円掛けていますが、母にも少し仕送りをしているので、別に主人名義で保険に入ろうかと思っています。

生活ががらりと変わり、戸惑いながらも一歩ずつ努力していこうと思っております。
お力を貸していただきたく、宜しくお願い致します。

真鍋さんのプロフィール

33歳、主婦。30歳の会社員の夫との2人暮らし。
世帯年収:400万円
住居: 賃貸

家計については特に大きな問題はなし。今後、教育資金をどれくらい貯められるかがカギ。

1.教育費はいくらかかるか?

子どもはかわいいものですが、育てるにはお金がかかります。中でも家計を直撃するのが教育費です。少子化でかえって一人の子どもにかけるお金が増えたため、教育産業は大流行。子どもが成長すれば、塾に習い事に私立学校と、お金をかけようと思えばキリがありません

下の表は、小学校から大学までのコース別にかかる教育費の合計です(幼稚園・保育園は除く)。選ぶコースによっても随分差がありますね。このお金を全部あらかじめ準備しておくのは大変ですが、高校まで公立であれば学費等の負担感は小さいものです。大変なのは、学習塾の費用(その他教育費)と大学など高等教育にかかる学費(学校教育費)です。学習塾は年間で30万~60万円、大学の学費は4年間で国立でも約240万円、私立なら文系約380万円、理系約510万円とまとまった金額になります。大学は必ずしも公立に合格するとは限らないし、公立に行くため浪人して予備校に行く場合もあるので、私立大学の学費分(400万~500万円)程度の資金準備はしておきたいものです

お子さんが生まれたときから毎月2万円を18年間積み立てると、利息なしでも432万円になります。とはいえ、18年間ずっと家計に余裕があるわけではありません。多くの子が塾に行くようになるのは中学生からなので、小学生は家計の面でいえば一番お子さんにお金がかからない時期。この時期にどれくらい教育資金が貯められるかが、その後の家計を左右します。
真鍋さん宅は、すでにまとまった貯蓄があるので、お子さんが生まれたらまずは1人500万円を目標に教育資金を貯めていってください。

子どもの教育費の目安

コース 種類

金額

(単位:万円)

教育費計

(単位:万円)
すべて公立 学校教育費 411 800
その他教育費 329
大学のみ私立 学校教育費 558 958
その他教育費 400
高校から私立 学校教育費 685 1,113
その他教育費 427
中学から私立 学校教育費 932 1,354
その他教育費 422

※文部科学省「平成16年度 子どもの学習費調査」、「平成16年度 学生生活調査報告」、「平成16年度 私立大学入学者に係る初年度学生納付金平均額の調査結果について」、東京都生活文化局「平成18年 東京都の私学行政」より作成

2.家計の変化

真鍋さんの家計収支を見ると(図表1)、家賃がほとんどかからないこともあり、収入の約40%もの貯蓄ができています。個々の支出も抑えられていて、まずは合格といえるでしょう。お子さんが生まれた後も、貯蓄ペースはそれほど衰えないでしょう。0~2歳は月1万円、3~12歳は月5,000円の児童手当も受取れるので、申請を忘れないでください。
しかし、社宅扱いがなくなる6年後には家賃と駐車場代の負担が年間80万~100万円は増えそうです。そのときにはマイホームを買うか、賃貸を続けるか選択を迫られることと思います。とはいえ、ご主人の転勤が多いようなら、住宅購入は慎重に検討しましょう。家は買ったものの、他地域の勤務が長くてほとんど自宅に住めなかったという例も多々あります。少なくともお子さんが小さいときにはできるだけ家族一緒に住む方がいいので、あわてて決めないでください。

3.生命保険の見直し

生命保険については、今の保険をあわてて見直すことはありません。若いときに入った保険には保険料が安いなどいい面もあるからです。
死亡保障は子どもを育てる時期に大きな保障が必要になり、子が独立すればほとんど必要なくなるものです。お子さんが生まれたときに大きな死亡保障が必要になるのは確かですが、保障額を増やすなら、今の保険はそのままで、別途定期保険(必要な期間だけ死亡保障がえられる掛け捨ての保険)に入ればいいのです。お二人あわせて1,600万円のまとまった貯蓄もありますし、ご主人が会社員なら、万一のときには遺族基礎年金に加えて遺族厚生年金も受取れます。現在の死亡保障(1500万円)に加えて、子1人当たり教育費の備えとして1000万円の定期保険に加入しておけば、美由紀さんが少し働いて収入を得れば、学費の支払いや生活に困ることはないでしょう。

医療保険については、年をとるほど必要性が高まることを考えると、支払う保険料が将来変わらない終身医療保険に入りなおしておくことをお勧めします。美由紀さんについては貯蓄もあることから死亡保障は特になくても構いません。ご主人も同様、終身医療保険で入院時の保障を確保しておきましょう。

お母様が美由紀さん名義で共済に入っているようですが、共済の死亡保険金は受取人があらかじめ決められていて、配偶者が第一順位の受取人になるはずです。契約者が母となっていれば税務上贈与扱いとなる可能性もありますので、こういったケースの扱いについて、共済に確認しておくといいでしょう。

見直しアドバイスと新規加入例は、図表2をご覧ください。定期付終身保険は平成25年に定期部分の更新を迎えるため保険料が高くなりますが、まだお子さんが小さい時期なので、同額で更新しておきましょう。その次の更新時にはその時点の貯蓄額などを勘案し、保障額を減らせるようなら減額して更新すれば、保険料負担が大きく増えることはありません。教育費の備えとして入った定期保険についても、同様に減額して更新していけば、必要な保障を必要な期間だけ、最小のコストで準備できます。

家計については、将来の家賃の負担増を覚悟しておけば、特に大きな問題はありませんので、安心してください。仕事を辞めて初めての土地で暮らし、そこでお子さんを産み育てようとしているわけですから不安も大きいと思いますが、楽しく子育てできることを、願っています