第2回:小学生とおこづかいの話【子供に話すお金の話】


小学校を入学してから卒業するまでというとわずか6年間ですが、子供にとっては児童期から青年初期へと大きく成長するとても大事な期間です。この時期に金銭感覚をしっかりと身につけることはとても重要です。今回は、おこづかいと子供の金銭教育について考えてみましょう。

小学生のおこづかいの実態

まず、金融広報中央委員会の「子どものくらしとお金に関する調査(平成17年)」における小学生のおこづかいの実態を見てみます。

図1を見ると、低学年で既に3人に2人はおこづかいをもらっており、学年があがるにつれてその割合は大きくなっています。

また、おこづかいをもらっていると答えた子供に対して、おこづかいのもらい方(図2)見ると、定期的におこづかいをもらっている人は「毎日/週1回等」と「毎月」を併せても3人に1人と少数派。しかし、学年が上がるにつれて定期的にもらう子供の割合は増え、高学年では3人に2人と多数派になり、そしてそのほとんどは毎月のおこづかい制をとっていることがわかります。

おこづかいのあげ方については、地域の特性や各家庭の考え方があるので一概にどの方法が正しいということはありませんが、「お金の知識をしっかり身につけさせた上で定期的におこづかいを与え、お金を管理することを覚えさせる」という考え方を持つ家庭が多いようです。

成長過程に合わせた目的意識を持たせよう

さてそれでは具体的におこづかいをあげる上でどんなことに注意すればよいでしょうか。
子供には、それぞれの成長過程においてお金について学ぶべきポイントがあります。
学年別:金銭教育のポイント

学年の目安時期 学ばせたいポイント 具体的な教え方の例
小学校入学前 お金があると物が買える 一緒に買い物に出かける
お金には色々な種類がある 子供に財布を作ってあげる
低学年 物には色々な値段がある 買い物に行く際に、一緒に値段の比較をする
お金は働くともらえる お手伝いするといくらもらえる、という約束事を作る
中学年 お金を管理する 毎月定期的におこづかいを与え、こづかい帳に記録させる
貯金をする 預金通帳を作ってあげる、貯金箱をあげる
高学年 欲しいものを買うために計画を立てる 自分のやりたいことを一緒に考え、おこづかい帳に目標をつけさせる
貧しい人や困っている人のために使う 寄付の考え方を教え、親と一緒に募金する

※上の表はあくまで目安であり、目安時期や、学ばせたいポイント、具体的な教え方の例については地域特性や各家庭の教育方針等によって違ってきます。

小学校入学前

お金とは何か、ということについて始めは子供には想像できないものです。まずは「お金で物を買える」ということを教えましょう。親と一緒に買い物をした際、子供から店員にお金を渡させると「お金があると物が買えるんだ」と実感できます。
また、お金には色々な種類があることも教えてあげましょう。子供用に財布をあげて、10円玉や50円玉、100円玉など違うお金の種類を財布に入れてあげると具体的にイメージできます。
この時期はおこづかいをあげる下準備期間として、お金とはどんなものかがわかるように教えてあげることが重要です。

小学校低学年

低学年の頃だと子供は「10円は安い」「100円は高い」など、絶対的なものの見方しかできない子が多いので、色々な物の値段を比較させ、「相場観」を養うのは重要なことです。
また、「お金を稼ぐ」ということについても教えてあげると良いでしょう。お手伝いをしたことによる「ごほうび」としてお金をあげることにより、おこづかいは単に与えられるだけのものではなく、家族の一員として家庭の仕事をやりとげたという「労働の対価」であることが理解できるようになります。ちなみに、アメリカでは子供に対して定期的におこづかいをあげるのではなく、掃除をしたら50セントあげる、というように、労働の対価として与えるのが一般的です。

小学校中学年

中学年になると、ある程度お金の価値が自分で理解できるようになるので、「毎月のおこづかい制」に切り替える家庭が多いようです。この時期にこづかい帳を与えて、お金の管理をする習慣を身につけさせると良いでしょう。
また、物を集める収集本能が現れるのもこの頃です。銀行口座を作ってあげる、或いは貯金箱をあげることにより、「お金を貯める」ということを教えてあげましょう。またその際には、ただ貯めるのではなく、将来必要になったときに使うためのものであることも忘れずに付け加えてください。

小学校高学年

高学年の頃になると、お金に対して高度なことも理解できるようになってきます。
この時期は、将来自分が使いたい目標を立てさせるようにしましょう。具体的に使いたい目標が決まると、目標実現に向けた計画性が養われ、またそのために「我慢すること」も覚えます。

また、世の役に立つために困っている人に寄付をするというのも大事なことです。例えば「ポリオのワクチンは1人あたり20円なので、100円を募金すると5人の子供を病気から救えるんだよ」など、自分がどのように貢献するのかを具体的に示してあげると、子供にとって理解しやすくなります。またこの時に親も一緒に寄付をすると、連帯感も生まれるので子供も協力しやすくなるでしょう。

子供が自発的に取り組めるように支援してあげよう

子供に課題を与えて、できたらしっかりと褒めてあげましょう。
また、できなかったときはただ叱るのではなく、「何が良くなかったのか」について話し合い、「次はどうすると良いか」を一緒に考えてあげてみてはいかがでしょうか。
子供が自発的に取り組めたときにはきっと成長できているはずです。
親はただ答えを教えるだけではなく、子供が自分で気づくまで時には温かく見守ってあげることも重要です。

執筆:坂本光(さかもと ひかる)CFP
一級ファイナンシャルプランナー・CFP®、心理カウンセラー。2006年5月週末起業を決意し、通信事業者に勤務しながら合同会社FPアウトソーシング代表を務める。ファイナンシャルプランニングに関する個別相談・セミナー講師としても活動中。

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