節約・ライフプラン

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節約マネーコラム

第6回:金利上昇時に選ぶ住宅ローン(2003年10月)

長引く低金利・・・と嘆いていたけれど、住宅購入を検討している方や変動金利の住宅ローンを借りている方にとっては好環境が続いていたとも言えますね。ところがここのところ、株価が上昇してきたのはいいけれど金利も上昇傾向。史上最低の2.0%だった住宅金融公庫の基準金利も9月に入り0.3%上昇し、そのわずか約2週間後に2.7%まで再度上昇しました。結果、1カ月前より0.7%の上昇という急激な動きになり、今後の更なる上昇を恐れて駆け込みで住宅購入する人も増えているとか・・・。

ただ、低金利時代が続いたこと、最近の金利上昇が急激だったことで焦燥感が煽られてしまっている感も否めません。平成10年以降、住宅金融公庫の基準金利はずっと3%未満でしたが、それ以前の金利を見てみると3%台後半や4%台という時代が長く続いていたのです。通常住宅ローンは数十年かかって完済する方が殆どでしょう。その長い期間の間には低金利時代もあれば高金利時代もあります。重要なのはそれぞれの時代にどう対応すべきなのかを考え、対応する準備をしておくことですね。

金利の影響

この1カ月で住宅金融公庫の金利は0.7%アップしたわけですが、2.0%で借りた場合と2.7%で借りた場合ではどのくらいの違いがあったのでしょうか?

借入金2,000万円、35年返済、元利均等返済、ボーナス返済なし、11年目以降金利はいずれも3.5%
   (A)当初10年間金利
2.0%の場合
(B)当初10年間金利
2.7%の場合
差額
(B)−(A)
当初10年毎月返済額 66,252 円 73,660 円 7,408 円
11年目以降毎月返済額 78,252 円 80,383 円 2,131 円
総支払額 約 3,142 万円 約 3,295 万円 約 153 万円

いかがでしょうか?金利差からイメージするほどの違いは無いのだな、と感じていただけるのではないでしょうか?さらに、このケースで借入5年経過後に100万円の繰上返済を行うと、(A)の場合の利息軽減額が約157万円、(B)の場合は約197万円となり、総返済額の差は約113万円に縮まります。では、金利上昇時においては、どんな対策を取ったら良いのでしょうか?

すでに住宅ローンがある人は?

(1)固定金利で借入している場合

最近では、借入の際の諸費用のうち「保証料なし」としているローンも登場しており(※)、金利差がさほどなくとも借り換えによる効果が出る場合もあります。金利が上がりきらないうちに、借り換えによる効果を得ることができないか確認しましょう。特に借入残高が少なくなってきている等で短期間で完済できるのであれば、固定期間選択型のローンに借り換えるのも有効です。
保証料なしの住宅ローンを取扱っている金融機関:ソニー銀行、東京スター銀行、新生銀行、グッドローンなど

また、預貯金とのバランスも考える必要がありますが、最低限定年退職までには完済できるように繰上返済を計画し貯蓄を進めていくことが重要です。繰上返済をどんどん行っていきたい、と考えている方は繰上返済がしやすいローンを選ぶのも良いのでは?
繰上返済に特徴のあるローン
・グッドローン:繰上返済手数料無料
・新生銀行:普通預金のうち指定した残高を上回ると自動的に繰上返済が行われる
・ソニー銀行:インターネットで手続きが可能
・東京スター銀行:繰上返済はしなくとも、普通預金残高分の借入金には利息がかからない。

(2)変動金利、固定金利選択型で借入している場合

できれば固定金利商品、もしくは固定期間が長いものに借り換えし、これ以上の金利アップのリスクを抑えておきたいところです。借り換えしない場合でも、自分が負っているリスクをしっかり把握しておきましょう。

例えば、2,500万円を3年固定2.2%、30年返済で借入れしている場合、
現在の毎月返済額:約95,000円、3年後残高:約2,317万円
 ⇒ 金利が1%アップしたら、毎月返済額は約107,000円(約12,000円アップ)
 ⇒ 残高を約2,050万円にすれば、従来の返済額とほぼ同じに抑えられる
ということがわかります。

つまり、このケースの場合3年間で金利が1%アップすると想定するなら、約267万円を3年後に繰上返済すれば、今までと同水準の返済額に抑えられるというわけです。
将来、金利がどのくらい上がるのかはわかりませんが、常に金利の動向をウォッチし、固定期間が切れた後も返済できるのか、返済が厳しい場合にはどのくらいのお金をそれまでに準備しておかなくてはならないか、を把握した上で準備が必要ですね。

これから購入を検討している方

金利が上昇してくると、前述のとおり、毎月返済額も総支払額も多くなります。借入金額が多ければ多いほどその影響も大きくなってしまいます。前述の表と同じ比較を借入金3,000万円で行ってみると総支払額の差額は約230万円となります。少し負担が重く感じますね。また、借入可能額も少なくなってしまう、という影響もあり、せっかく希望の物件が見つかったのに購入できない、ということも考えられます。

<年収600万円の方が住宅金融公庫で借入する場合>
金利 返済期間 借入可能額
2.0% 35年 2,510万円
2.7% 35年 2,260万円
(住宅金融公庫の融資は物件の所在地等により融資額の上限があり、
上記金額まで借入れられない場合もあります。)


これらの影響をできるだけ少なくし、希望する時期に希望する物件を購入するためには、やはり十分な自己資金の準備が必要というわけです。自己資金が多ければ金利の上昇時期でも希望通り購入できる可能性が高まりますね。購入代金の2〜3割の頭金を、というのは最低ライン。自己資金は多いほど購入後のリスクを軽減することができます。

また、住宅ローンを選ぶ際は、できるだけ下記金利タイプのうち(1)や(2)の固定タイプのものを選択したいものです。高金利の時に借入した場合でも、その後金利が下降した場合に借り換えを行えば改善することができます。また、借入額を少なくする、借入期間を短くすることで支払金利を抑えることができますので、繰上返済も予定に入れていくことが必要でしょう。

◎金利タイプ◎

(1)固定金利(全期間にわたって同一の金利)

完済まで金利も返済額も変わらないので、総支払額も予め決定します。毎月の家計管理や将来の家計見通しも立てやすいというメリットがあります。ただし、金利は他のタイプのものより高くなります。
<商品例>年金融資、グッドローン、その他一部金融機関でも取扱いあり

(2)固定金利(段階金利)

借入時に完済までの金利が決定しますが、途中で金利がアップします。現在の返済額だけでなく、金利アップ後の返済額でも返済可能か確認しましょう。当初金利は(1)のタイプより低くなります。
<商品例>住宅金融公庫、年金融資(段階金利型)

(3)変動金利

一般的に金利は最も低くなります。金利は半年に1回、その時点での市場金利に合わせて見直しされます。短期プライムレート連動型、長期プライムレート連動型があります。ただし、返済額は5年間固定されます。返済額が見なおされた際でも、増幅額は25%以内とされていますので、返済額については比較的家計の見通しも立てやすいのですが、金利が大幅に上昇している場合には、返済額の殆どが金利にまわってしまい、元本がなかなか減らない、という状況も起こり得ます。最終的に総支払額がいくらになるかわからない、という点で将来の貯蓄額などの予想が難しいというデメリットがあります。
<商品例>各銀行で取扱いあり

(4)固定金利選択型

一定期間のみ金利を固定するものです。金利固定する特約期間は1,2,3,5,7,10年等があり、固定期間が短いほど金利も低くなります。固定期間については金利も返済額も変わりませんが、特約期間終了後、その時点での金利で返済額が見なおされます。このタイプの場合には増幅額の上限がなく、金利が上がればその分返済額も増えてしまいます。
<商品例>各銀行で取扱いあり

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ファイナンシャル・プランナー(CFP(R))
高田晶子
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