第66回:メタボと診断された!医療保険の加入はどうなる?


医療保険や医療特約は、若くて健康なうちに必要な保障を確保しておくことが一番安心ですが、実際は健康に不安を感じる年代になってから関心を持つことが多いようです。2008年4月から「メタボ健診」が義務化されたことで、さまざまなメタボ対策や予防グッズが開発・販売されるようになりました。そういった中で医療保険においても、メタボ対策といえるような商品が登場しています。

メタボと診断されれば、誰もが健康に不安を感じ、否が応でも医療保険(特約)の必要性を感じるのではないでしょうか?
今回のコラムでは、メタボと診断された場合の医療保険の加入ポイントや注意点について解説してみたいと思います。

「メタボ=太り気味」? メタボとは?

今や「メタボ」という言葉は社会的にも高い認知度を得ているようですが、なかには、「太めorぽっちゃり=メタボ」というように、きちんと正しい意味が理解されないままに使われるケースも多く見受けられます。

メタボ、すなわち「メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)」とは、食べ過ぎや運動不足などにより、お腹の内臓の周りに脂肪が多くつき、そのままの状態を放置し続けると、ガン・脳血管疾患・心疾患・高血圧性疾患・糖尿病などの生活習慣病を招く可能性が高い状態のことをいいます。

厚生労働省の調査※によると、40~74歳の男性の場合は2人に1人、女性の場合は5人に1人がメタボの可能性があるという結果が出ており、すでにメタボ該当者は約940万人、その予備軍は約1,020万人、合計では約1,960万人にものぼると推定されています。

※「平成16年 国民健康・栄養調査結果の概要について」より参照(平成18年5月8日発表)

メタボ健診とは? メタボ診断の目安は?

2008年4月から義務化された「メタボ健診」ですが、正式には「特定健康診査・特定保健指導」といい、全国の健康保険組合や国民健康保険など全ての保険者に年1回の実施が義務づけられています。その対象は40~74歳の人で、自営業者や専業主婦なども受けることができ、メタボ予防・解消に重点をおいた健康診査・保健指導を行うとされています。

一般にメタボと診断される目安としては、「腹囲が男性で85cm、女性で90cm以上の人」という基準がよく知られています。この腹囲というのは、軽く息を吐いた状態での「おへそ」の位置で測定し、これは一番くびれた位置である「ウエスト」とは異なるので注意しましょう。

本来、内臓脂肪を正確に測るには、CTスキャンで撮影し、「おへそ」の位置の断面の脂肪面積が100平方センチメートルを超えた場合、腹部肥満と診断されます。しかし、毎回のメタボ健診でそれを行うのは難しいため、内蔵脂肪の蓄積を判断するラインとして「おへそ周り」の測定値が目安とされるわけです。また、該当者については、血中脂質・血圧・血糖値の3項目のうち、2つ以上の数値が基準値よりも高い場合がメタボと診断され、それに満たない人も予備軍として特定保健指導の対象とされます。

以下の表は、2005年4月に日本内科学会総会において発表された日本独自の「メタボリックシンドロームの定義と診断基準」です。少し気になる方は、健康診断の自分の数値を当てはめてチェックしてみるとよいでしょう。

<メタボリックシンドロームの診断基準>

内臓脂肪(腹腔内脂肪)蓄積
ウエスト周囲径 男性85cm以上
女性90cm以上
内臓脂肪面積が100平方cm以上に相当(男女とも)
上記に加え、以下のうち2項目以上(男女とも)
血清脂質異常 トリグリセリド値150mg/dl以上
HDLコレステロール値40mg/dl未満
のいずれか、または両方
 

血圧高値

収縮期血圧(最高血圧)130mmHg以上
拡張期血圧(最低血圧)85mmHg以上
のいずれか、または両方
高血糖 空腹時高血糖値110mg/dl以上

メタボ対策の医療保険(特約)は?

最近のメタボへの関心の高まりとともに、ここ数年においてメタボが気になる人のための保険、すなわち生活習慣病に対応した保険(特約)の販売が強化されています。

これらは、「生活習慣病保険」と呼ばれる医療保険の一種で、生活習慣病による入院は、入院日数が長引きがちで、しかも自己負担する医療費も高くなる点を踏まえて、5大生活習慣病もしくは7大生活習慣病による入院については、1入院時の限度日数がその他の入院時より長期に設定されたり、所定の給付額の倍額が支払われたりするなどの特徴があります。

5大生活習慣病 ガン、脳血管疾患、心疾患、高血圧性疾患、糖尿病
7大生活習慣病 5大生活習慣病に加え、肝硬変、慢性腎不全

また、国内大手生保各社も、既存の保険をベースに特約の保障内容を拡充させ、生活習慣病を含む病気による身体障害・要介護状態時の保障を強化したり、従来からある3大疾病(ガン、急性心筋梗塞、脳卒中)に主な生活習慣病の保障をプラスしたりするなど、メタボを意識した保障設計に注力しています。

さらに、これら生活習慣病の保障が手厚い商品のほかにも、最近の医療保険は引き受け基準が緩和される傾向にあり、これまで加入が難しかった高血圧や糖尿病などの持病を持つ人でも加入しやすい医療保険(特約)が増えています。

メタボ対策の医療保険(特約)は、生活習慣病保険と呼ばれるもの。
大手生保等では、既存の保険をベースに特約の保障内容を拡充させたものなどがある。
 最近の医療保険は引き受け基準が緩和される傾向にあり、生活習慣病の人でも入れるものが増えている。

メタボと診断されたとき医療保険は?

医療保険に限らず、ほとんどの生命保険に加入する場合、契約時に職業や現在の健康状態、過去(5年以内など)の病歴等を告知しなければなりません。告知方法には、告知書に記入するもの(告知書扱い)、健康診断書や人間ドックのデータを提出するもの、医師の診査を受けるものなどがありますが、それぞれ保険金額や給付金額、年齢によって告知方法が異なります。

今のところ、メタボ健診で「メタボ」もしくは「メタボ予備軍」と診断されたからといって、それが直接、保険に加入できないことにつながることはないようです。しかしながら、告知書に記入する内容には、健康診断などでの「要経過観察」などの異常指摘も含まれていますので、ありのままの事実を告知する必要があり、実際の加入はそれを元に判断されることになります。なお、更新等で、新しく生活習慣病への保障が手厚い特約等を付加する場合にも、告知が必要になります。

メタボもしくはメタボ予備軍と診断されても、保険に加入できない訳ではない。
実際の加入は告知情報で決まり、ありのままの事実を告知することが必要。

メタボ対策の医療保険に加入する場合のポイントは?

従来の保険の常識でいえば、保障内容を手厚くすれば、その分保険料が割高になるというのが当たり前でしたが、最近の医療保険は、解約返戻金をゼロにしたり、死亡時の給付金を無くしたりすることで、手ごろで割安な保険料を実現させている商品も増えています。

実際の病気のリスクは、男性の場合は40歳代からガンを含めた生活習慣病、女性の場合は30歳代から女性特有疾病の可能性が高まることから、医療保険に加入する場合も、それぞれのリスクに対応した備えを厚くしておくことをお勧めします。

具体的なポイントは、ガンのみを手厚くするのか、ガンを含めた生活習慣病全般に備えるかです。それぞれ、どのようなタイミングで、どのような保障が受けられるのかを契約前にしっかりとチェックすることが大切です。

例えば、最近の医療技術の進歩などから、ガンでも入院日数が短くなる傾向にあることから、「入院日数が延びるタイプよりも入院日額が増えるタイプの方がいい!」など、考え方や選び方はさまざまです。もちろん、家計に余裕があって、保障の必要性を強く感じる人は両方に備えてもかまいません。

ただし、保険はあくまでも万が一の備えの一つですので、メタボが心配な人は、まずは日ごろから食生活の見直し、ウォーキングやジョギングなどの適度な運動を取り入れるなどして、生活習慣病の予防や健康の改善がやはり大切ですね。

最近の医療保険は、保障内容を絞るなどして割安な保険料を実現したものも増えている。
実際の加入にあたっては、リスクへの備え、保障内容、保険料などを総合して判断する。
メタボになる前に、長期的な視点で適切な医療保険を予め確保しておくのも一つの考え方。

2008年10月
ファイナンシャル・プランナー(CFP®)黒田尚子

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