第52回:マイホームの火災保険はここをチェック!


賃貸にせよ、持ち家にせよ、「火事」は怖いものですね。多くのご家庭で「火災保険」に加入されていますが、どんな時にどれだけの補償があるのか、内容をよくご存じでない方も多いようです。火事の際に頼りになる火災保険ですが、契約のしかた次第では、万一の際に必要なだけの保険金を受け取れないこともあります。今回は、「火災保険」にスポットを当ててみます。

火災保険とは?

火災保険は、自宅の建物や家財が、火災や自然災害などで損害を被ったときに保険金が支払われる保険です。住宅に関する火災保険には「住宅火災保険」「住宅総合保険」「団地保険」があり、最近は損保各社独自に保障内容が工夫された「新火災保険」も発売されています。

「住宅火災保険」「住宅総合保険」「新火災保険」は、マンションでも戸建の場合でも加入できますが、「団地保険」はマンションや団地などの耐火造共同住宅およびその収容家財を対象とする保険になっています。

火災保険は、建物と家財のそれぞれで契約しますが、持ち家なら建物と家財の両方、賃貸なら家財の保険の契約をすることになります。また、家財の契約をする際は、高額な貴金属や美術品などは契約時に保険証券に明記されるように申し出ておかないと、補償の対象にならない場合があるので注意が必要です。

保険期間に関しては、1年契約で毎年更新していく方法と、2年以上の長期間一括で契約する方法の2つがあり、長期間の契約では保険料が割引になります。

火災保険の種類は?

下記の表のように、火災保険では、火災による損害だけでなく、落雷や風災などの自然災害や日常生活における事故なども補償の対象になるタイプもあります。また、「火災」に関しては、住まいや家財の損害額を補償するだけでなく、焼け跡の取り片づけ費用や失火見舞い費用などの費用に関する補償もあります。

<火災保険の補償内容>

補償内容 住宅火災保険 住宅総合保険 団地保険




火災、落雷、破裂・爆発
風災・ひょう災・雪災
水災 × ×
騒じょうや類似した暴力行為など ×




物体の落下・飛来・衝突・倒壊
給排水設備または他人の戸室の事故による水漏れ
×
盗難によって生じた盗取、き損または汚損
通貨または預貯金証書の盗難
持ち出し家財の損害
×
損害防止費用
災害時の臨時費用
残存物の片付け費用
失火見舞費用
  災害時の傷害費用 ×

○:補償される、△:一定の制限または条件つきで補償される、×:補償されない

住宅火災保険と住宅総合保険について

住宅火災保険は、主に火災に関する補償にまとが絞られた保険です。それに対して、住宅総合保険は、住宅火災保険よりも補償の範囲が広く、水災や盗難なども対象になりますが、保険料は住宅火災保険よりも割高になります。

団地保険について

団地保険は、住宅総合保険とほぼ同様の内容ですが、「水災」による損害は補償されません。また、表に記載したほかに、団地構内でのケガや賠償損害の補償もあります。なお、保険料は、住宅総合保険よりも割安に設定されています。

新火災保険について

新火災保険は、損保各社独自に保障内容を工夫したものですが、従来の住宅総合保険の補償内容をより充実させてあるものや、補償を選択可能にしているものなどがあります。一般に補償を充実させれば保険料は高くなりますが、補償内容を選択できる商品の場合は、補償の取捨選択で保険料を低く抑えられる場合もあります。

火災保険には、上記のような種類(タイプ)がありますが、ご自宅の火災保険がどのタイプで、何が補償対象になっているのか、今一度確認しておきましょう。

火災保険の契約金額は?

火災保険の契約金額の設定は、時価(建物や家財の現状相当の金額)をもとに設定する場合と、新価(建物や家財を新たに取得するための価額である再調達価額)をもとに設定する場合の2つがあります。

▼「時価」での契約について

保険金は、「実際の損害額または契約金額のいずれか低い額」が限度です。したがって、建物や家財の評価額以上の保険金額で契約しても、評価額を超える部分の保険金は支払われず、その分の保険料は無駄になります。また、複数の火災保険に加入していた場合も同様で、保険金は契約保険会社それぞれから支払われますが、受け取れる保険金の合計は契約金額に関わらず、建物の現在価値が限度です。

逆に、契約金額が評価額の80%未満の場合には、建物や家財の一部にしか保険をかけていないとみなされ、受け取れる保険金が削減されることがあります。契約金額を設定する場合は、建物や家財の評価額に合わせて契約することが大切です。

「新価」での契約について

通常の火災保険では、契約金額は「時価」ですが、「時価」は時の経過とともに下がり、受け取り可能な保険金も少なくなっていきます。そこで、「価額協定特約」という特約を契約の際に付加すれば、新価で契約金額を設定でき、保険金だけで新たに焼失した建物と同じ建物を建てることも可能になります。

火災保険は、火事等の災害による損害を回復するために加入するものですので、契約金額は「新価」で設定したほうが望ましいでしょう。

これらの経済データは、それだけを見れば単なる数値情報ですが、そのデータが表している基本的な意味や特色を理解しておけば、その変化を継続的にチェックすることで、経済の動きが少しずつ見えてくるのではないでしょうか?

火災保険の「持ち家」と「賃貸」の場合の注意点は?

火災保険の加入は、「持ち家」と「賃貸」の場合では注意すべきポイントが異なります。万一に備えるためにも、今一度確認してみましょう。

▼持ち家の場合は・・・

持ち家の場合、住宅購入時の住宅ローン契約の際に、同時に火災保険(特約火災保険)に加入したという方が多いのではないでしょうか。まず、確認したいのは、家財を対象とした火災保険に加入しているかどうかです。特約火災保険は、建物が対象の火災保険のため、家財に対しての補償はなく、別に家財を対象とした火災保険に加入すると安心です。

また、長期間の契約をされている方が多いと思いますが、「時価」で契約をしている場合には要注意です。仮に、住宅購入時に2000万円の火災保険をかけたマイホームの価値が1500万円になっていたら、火事で全焼した場合、支払われる保険金は1500万円だけ。差額の500万円の分の保険料は無駄ということになり、1500万円の保険金では新しく家を建て直すにはお金が足りなくなる可能性があります。

もし、「時価」で契約するなら、短期間の契約にして更新ごとに契約金額を見直す方がよいでしょう。より万全を期して、火事のあとの建て替え資金を重視するなら、「新価」で契約したいものです。

▼賃貸の場合は・・・

賃貸の場合は、建物は自分の所有物ではないので火災保険は不要と考えがちですが、火事になれば、家財道具も燃えてしまいますので、「家財」に関する火災保険は必要でしょう。また、賃借人が失火により賃借物(アパートの部屋など)を焼失した場合は、家主に対して損害賠償責任を負わなければなりません。家財に関する火災保険を契約するなら、「借家人賠償責任保険」を特約でつけておくことも忘れないようにしましょう。

地震による火災は「火災保険」ではカバーできない!

最後に、火災保険では地震を原因として発生した火災は補償されません。地震や噴火、これらによる津波を原因とする建物や家財についての損壊や火災等の被害を補償するのは「地震保険」です。「地震保険」は単独では契約できず、火災保険にセットして契約する必要があります。地震保険の契約金額は、火災保険の30~50%です。(ただし建物5000万円、家財1000万円が限度)

近年、複数の地域で大きな地震が起き、地震のリスクは決して他人事ではありません。地震保険は、火災保険の契約期間の途中でも付加可能ですので、火災保険の見直しの際には、地震保険の加入についてもご検討ください。

ファイナンシャル・プランナー(CFP®)
大林香世