第17回:「子供のお金」の準備


これをお読みの皆さんの中には、子どもをこれから持とうと予定している人や、あるいは生まれたばかりだという方もいるのではないでしょうか。今回は「子供費(=子供にかかるお金)」について考えてみましょう。

子供費は、家や老後と並んで「人生の3大支出」の1つとされています。子供を持つということは、親にしてみれば、将来にわたる支出を覚悟することでもあります。といっても、必要以上に恐れることはありません。今回は、子供にかかるお金について知るとともに、いつごろから、どれくらい準備すればいいのかについても、すっきりさせましょう。

子供1人に3,000万円!?

「子供費」は、子供の「養育」にかかるお金と、「教育」にかかるお金とがあります。また、これから子供を持とうという人にとっては、妊娠・出産にかかわる費用も、広い意味で「子供費」といえるでしょう。

子供を生み育て、大学修了まで親が面倒を見たと仮定した場合に、具体的にどんなものがかかるかを整理してみましょう。以下データは、体系的にまとめられた「AIUの現代子育て経済考2001」(AIU保険)を引用します。

まず、妊娠・出産期にかかる費用のほか、22年間にかかる子供の食費や衣料費、医療・理美容費、子供へのお小遣い、あるいはおもちゃやゲーム、自転車をはじめとする私的所有物の費用などで、約1,680万円かかるという試算があります。

これは2001年に出されたデータですが、その後別の統計で、子供にかける費用を引下げる傾向がみられるため、2004年現在ではもっと抑えられているのではないかと思われます。また、子供が2人、3人と複数いる場合、共用できるものがあれば単純に倍にはならないはず。

<教育にかかる費用>
出産・育児費用 約89万円
子供の食費 約702万円
子供の衣料費 約159万円
子供の医療・理美容 約173万円
子供のお小遣い 約469万円
子供の私的所有代 約88万円

(「AIUの現代子育て経済考2001」より)

一方、教育費はというと、オール国公立で1,179万円かかるという試算に。オール私立で理系の大学を出たとするなら2,371万円。この数字には、学校教育費のほか、塾やお稽古事、通学費用といった幅広い費用が含まれます。

<教育にかかる費用>
公立 私立
幼稚園2年間 約64万円 約124万円
小学校6年間 約276万円 約777万円
中学校3年間 約196万円 約396万円
高校3年間 約190万円 約424万円
大学4年間
(医・歯系は6年間)
約453万円〈国立〉 約549万円(私立文系)
約650万円(私立理系)
約2,900万円(私立医・歯系)

(「AIUの現代子育て経済考2001」より)

子供が生まれて大学を卒業するまでに、子ども1人にかかる費用を合わせて考えると、大学が国公立だった場合でも、1,680万円+1,179万円=2,859万円となります。つまり、3,000万円近くかかるのです。

準備すべきは主に教育資金

「子供1人につき3,000万円」と聞いて、「そんなに貯められない!」と思った人もいるのではないでしょうか。数字が一人歩きしていて、誤解している人もいるかもしれませんが、この金額は貯蓄目標ではないですし、この金額がないと子供が持てないという数字では決してありません。第一、子供にかかる費用は、全額が一度にかかるわけではなく、22年間の合計なのです。

子供の養育費や教育費の一部について、その多くは通常の家計の中で吸収できるはずです。逆にいえば、子供が生まれたら、家計のムダを省いてこうした養育費や教育費を吸収できるような家計に改造していく必要がある、ともいえます。

国公立中心に進む場合、親の負担がきついのは高校・大学の時期。毎月の家計で養育費や教育費の一部を吸収しつつ、将来、最も負担が大きくなるであろう高校・大学時に備えて貯蓄する、ということがセオリーといえます。家計で吸収できない子供費は、見方を変えれば「経済的リスク」。あらかじめ見越して、早くから計画的に備えることは大事です。

教育資金の目標額は?どう貯める?

共働きで子供が少なければ比較的ゆとりはあるでしょうけれど、片働きで子供が多い家庭は、慎重に準備をしておくことが大事です。妻の働き方も考える必要があります。前述のように、最もきつくなる高校・大学時代の教育資金に備えて貯蓄しておくことが大事です。貯蓄を取り崩す生活になるであろうその時期にかかるお金のうち、最低でも半分程度を目安に貯めておきましょう。

貯蓄目標額を立てたら、その金額を貯めるためのプランをたてましょう。現在0歳の子がいて、目標を400万円とするなら、高校入学前15歳までにこの金額を貯めるプランを立てます。単純に割れば、毎月2万2,000円ずつ貯めれば、元本だけで396万円になります。ボーナスを組み合わせれば、月1万円、ボーナス時7万5,000円ずつ貯めると、元本で405万円貯められます。

ただし、オール私立など、早くから私立コースを希望する場合は、世帯収入が一定以上に高くて年間100万円程度の教育費支出に耐えうる家計か、あるいは教育資金用の貯蓄がすでに用意できていないと、かなり厳しいと言わざるを得ません。

教育資金の貯めワザ

教育資金の貯めワザは、サボらずコツコツ貯めることに他なりません。貯めやすい順番でいえば、(1)給料天引き(一般財形)、(2)給与振込口座からの自動振替(積立定期など)、(3)口座引落し(こども保険など)、(4)集金してもらう(信用金庫「定期積金」、郵便局「積立貯金」)、(5)自己管理する、の順になります。(5)であれば、子供名義の通帳を作って貯めるのも効果的でしょう。

なお、「こども保険」は、入学時などにおりる「祝金」と、満期に下りる「満期保険金」とが教育資金の助けになる貯蓄型の保険です。子どもと、契約者となった親の2人が保険の対象になっている保険で、万一、契約者である親が亡くなったときには、以後の保険料が免除され、祝金や満期保険金が予定通り受け取れる特徴があります。現在は、予定利率と呼ばれる約束された運用利率(保険料のうち積立てられる部分に適用される)が低く、「元本割れ」が起きている商品もあるので注意しましょう。加入前には、電卓を叩いて必ず損得チェックをしましょう。

貯め時を逃すな!

「お金が貯めやすいとき」があります。その時期にいくら貯めたかが、その後の生活に大きく影響します。子供資金に関する第一の貯め時が、子供が生まれる前。子供を持つ前に貯めたお金は、妊娠・出産費用に充てられるほか、必要があれば子供の教育費に充てられます。もし、家を買おうというのであれば、住宅資金のベースもこの時期につくっておくと後がとてもラクです。

第二の貯めどきが、子供が小学生の時です。細く長くコンスタントに貯めるのがセオリーと書きましたが、それができない場合は、この時期に妻がパートに出るなどして、まとめて教育資金の準備をする方法もあるでしょう。

教育資金には「貯めすぎ」はありません。多めに目標を設定しておいても、余った分は夫婦の老後資金に回すことができるので、貯め時を逃さずにしっかり準備をしたいものです。

マネーカウンセリングネットWealth
ファイナンシャルプランナー、シニアリスクコンサルタント
豊田真弓

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