定期的なイタリア旅行と子ども2人が理想です。 公務員の夫と専業主婦の私で実現するためには?


市田 雅良先生 (いちだ まさよし) プロフィール
  • 将来のライフプランについてキャッシュフローを分析(住宅ローン・教育資金など)
  • 保障の内容チェック
  • 家計のバランスをとるには

中村信代さん(仮名)のご相談

結婚2周年を迎え、専業主婦のプロになりたいと思っているのですが、なにかとやり繰りが大変で、貯蓄ができていないことが悩みです。近い将来子どもは2人ほしいと希望していますが、今の家計の状況では不安がよぎります。

とはいっても、過去3回旅行したほどのイタリア好きで、今後も2~3年に1回のペースで行きたいと思っています。貯蓄や生命保険や子どもの教育資金など、家計のバランスをどうすればいいのでしょうか。

中村さんのプロフィール

32歳、専業主婦。45歳、公務員の夫・和夫さん(仮名)と2人暮らし。子どもは2人の予定。

収入
給与収入 847万円
社会保険料・税 203万円
合計 644万円
 
支出
日常の生活費※ 280万円
住宅費 153万円
生・損保保険料 98万円
貯蓄額 89万円
その他費用 24万円
合計 644万円
※日常の生活費は、食事・光熱水道費・被服費・通信費・交通費・医療費・家事用品・ 交際費・こづかい等
資産
預貯金等元本保証型
金融資産
185万円
居住用住宅 2,100万円
合計 2,285万円
 
負債・純資産
住宅ローン残高 1,482万円
その他のローン 9万円
純資産残高 795万円
合計 2,285万円

現状のキャッシュフロー表 ※PDFファイル(250KB) [別ウィンドウ表示]
※和夫さん80歳までの現状のキャッシュフロー表です。
(1)2011年のその他の費用には、イタリア旅行60万円が入っています。
(2)年末貯蓄残高1は運用利回り0%として計算しました。年末貯蓄残高2については1%としました。

教育費のピーク時と退職・収入減が重なります
少しの我慢と保険の見直しで乗り切りましょう

現状の家計バランスの問題点

(1)家計のバランスが崩れるのは、2011年のイタリア旅行と2012年の車の買換え

お子様の誕生予定もありますが、2010年まで貯蓄はそれなりに増え、370万円と予測されます。ところが2011年のイタリア旅行費用の60万円予定と2012年の車買換え費用150万円で、貯蓄は減って230万円程度となります。しかしその後は持ち直し、退職金が公務員の平均データの2,500万円有ったとすれば、60歳定年時には2,394万円の貯蓄残高と予想されます。さらに2023年頃には赤字が増していくことが予想されます。

(2)お子様の教育費用のピークは夫65歳から

夫の和夫さんは、第1子をもうける予定の2008年には46歳となります。そこから予測し、教育費のピークである大学入学予定の2027年には和夫さんは65才、そう、公的年金の受給開始時期となります。

  西暦   入学金など 年間の教育費
第1子
(長男)
2013 幼稚園入園 公立2年   23万円
2015 小学校入学 公立   27万円
2021 中学校入学 公立/自宅   38万円
2024 高校入学 公立/自宅   45万円
2027 大学他入学 国立/自宅 80万円 70万円
2036 結婚 100万円  
第2子
(長女)
2014 幼稚園入園 公立2年   23万円
2016 小学校入学 公立   27万円
2022 中学校入学 公立/自宅   38万円
2025 高校入学 公立/自宅   45万円
2028 大学他入学 国立/自宅 80万円 70万円
2035 結婚 100万円  
物価変動を考慮した教育費負担
西暦 第1子
(長男)
第2子
(長女)
合計
2013 23万円   23万円
2014 23万円 23万円 46万円
2027 150万円 45万円 195万円
2028 70万円 150万円 220万円
2035   100万円 100万円
2036 100万円   100万円

(3)年金受給時代には家計は「破綻」します。

現状のキャッシュフロー表の2028年(和夫さん66歳、信代さん53歳)以降の貯蓄残高では、赤字が累積し真っ赤になる予測となります。残念ながら安泰なシニアライフとはいかないようです。

家計バランスをとるための解決策

和夫さんは公務員ですが、第三者の立場から言わせていただくと、公務員が安定した職業といわれていたのは過去のことになるかもしれません。それは、三位一体改革や年金改革が始まり加速してきたからです。

三位一体改革とは(1)国庫支出金を減らす。(2)税源を地方に移譲する。(3)地方交付税を見直す。とされ、地方分権がすすむことから、税金の使い道についても、国民の目はこれまで以上に敏感になっていくでしょう。そこで行政側は、今後の税金収入の使い道である行政サービスに対して、より注意を払っていかなければならないことになり、それは給与額にも影響すると考えられることから、将来の収入についての予測は難しくなってきました。

さらに年金改革についても、共済年金と厚生年金の一元化が現実となりそうで、2007年度の国会中に改革の方向性が決まるようです。年金の一元化とは、まず共済年金と厚生年金を統合し、後に国民年金と統合しようというものです。現在、地方公務員と国家公務員の年金保険料率は異なっていますが、平成21年に統一し、次に厚生年金と統合するといったかたちで現在検討されています。共済年金は厚生年金より優遇されている部分がかなりあるので、統合が進めば公務員の年金は今の制度より厳しくなることが予測されます

公務員は安泰という神話は崩れ、ふるい落とされないための大競争が起こる可能性があり、年金の受給額も現時点での予測額より少なくなる可能性もあります。将来あわてないためにも、常に家計の収支バランスをとりながらライフプランを描いていくことが、最重要ポイントといえます。

中村家の家計の直しと、その解決策を検討していきます。

保険の見直し

現在加入の保険(ドル建ての保険は円換算1ドル=120円で計算)

  【1】 【2】 【3】 【4】 【5】 【6】 【7】
被保険者 和夫 和夫 和夫 和夫 和夫 信代 信代
契約者 和夫 和夫 和夫 和夫 和夫 信代 信代
契約日 H18.6.9 H5.6.21 H5.8.1 H5.5.29 H6.8.4 H18.6.9 H18.6.1
契約年齢 44歳 31歳 31歳 31歳 32歳 31歳 31歳
満期・満了年齢 71歳   60歳 60歳 65歳 66歳 65歳
更新期間 なし なし なし なし なし なし なし
入院特約期間 70歳   60歳   60歳 65歳 65歳
保険種類 ドル建て年金
養老保険
普通終身
保険
変額保険 普通終身
保険
普通終身
保険
ドル建て年金
養老保険
利率変動
終身保険




定期保険     600万円        
年金総額 50万円         60万円  
養老保険 480万円         600万円  
終身保険   150万円     600万円   500万円
合計保険金 530万円 150万円 1,500万円 1,500万円 500万円 660万円 500万円
満期保険 711万円         1,171万円  
医療/日/災害入院             5,000円
医療/日/病気入院     7,000円   3,000円   10,000円
医療/日/成人病入院             5,000円
払込方法 月払 一時払 月払 月払 月払 月払 月払
  期間(1) 44歳~69歳 31歳 31歳~59歳 31歳~59歳 32歳~64歳 31歳~64歳 31歳~64歳
17,888円 197,910円 13,975円 8,889円 7,513円 18,540円 14,665円

加入生命保険のチェック

ドル建ての養老保険は貯蓄型ですが、満期返戻金は、満期時点のライフプランに役に立つのか?

CF(現状のキャッシュフロー表)では、満期時点は2033年と2041年の収入に表れていますが、そのときのイベントは特に何もありません。「とりあえず貯金」をしているのと同じですが、とりあえず貯金はいつでも必要なときに引き出せるのに対し、この保険は満期以前に引き出せば少し不利な額となってしまいます。教育資金需要時期を考えても、家計の保険料負担からもあまり適切ではないように思われます。

教育資金を考えるなら、「こども保険・学資保険」・「積立型の貯蓄」、また18年以上という長期なので「投資型金融商品」などを検討したいところです。

提案例 S生命「学資保険」の保険料(平成19年4月現在)
契約者:和夫さんで18才満期 200万円では、月額保険料8,520円。
契約者:信代さんで同条件の場合、月額保険料8,260円となっています。
※誰を契約者にするかを検討する場合、和夫さんより信代さんの方が若いのでこの場合少しお安くなります。シミュレーションして検討しましょう。

老後資金の備えに最適な保険&貯蓄を考えよう

60才から65才までの無年金時代を乗り越えるためには、60才からの収入確保または資金的備えが必要です。まず再就職を考えたいところです。しかし再就職といっても、給与額は相当減ることを覚悟しておかなければなりません。そういったことをふまえ65才からの年金収入と同等の収支バランスを検討しましょう。

※ 変額保険に加入されていますが、ご自分で運用状況はチェックされていますか?保険会社から送られてきている報告資料やホームページで運用状況を知ることができます。おまかせではなく自己責任の投資型の保険です。ほっといてそのうち何とかなるものではありません。リスク許容度チェックをして自分になじんでいるかどうか検討しましょう。

家計の見直しポイントまとめ

見直し方法ですが、問題点を整理し、その後解決策を検討していきます。

家計の見直しのご提案

現状の支出
日常の生活費※ 280万円
住宅費 153万円
生・損保保険料 98万円
貯蓄額 89万円
その他費用 24万円
合計 644万円
※日常の生活費は、食事・光熱水道費・被服費・通信費・交通費・医療費・家事用品・ 交際費・こづかい等
見直し後の支出
日常の生活費※ 240万円
住宅費 153万円
生・損保保険料 54万円
貯蓄額 170万円
その他費用 24万円
使途不明金 3万円
合計 644万円
※日常の生活費は、食事・光熱水道費・被服費・通信費・交通費・医療費・家事用品・ 交際費・こづかい等
 

(1)日常生活費年額280万円の内容をチェックし、目標目安として年額240万円に見直す。
(2)年間貯蓄額を現在ではボーナス年間30万円と積立月額5万8千円とされているところをボーナス年額50万円 積立月額10万円が可能となるよう努力目標とする。
(3)イタリア旅行を2011年に予定されていましたが、少し先の2016年の5年まで伸ばしてはいかがでしょうか。
(4)生命保険見直し提案
契約者が和夫さんと信代さんのドル建ての養老保険は解約します。お子様が誕生した時点の新規加入となりますが、第1子(長男)と第2子(長女)が被保険者で学資保険へ加入。98万円→54万円 とします。

見直し後のキャッシュフロー表 ※PDFファイル(294KB) [別ウィンドウ表示]

まとめ

上記のように、解決策を実行していけば対策後のキャッシュフロー表の貯蓄残高は家計破綻の赤字ではなく、黒字で推移してくと予測されます。つまり中村家の将来の備えは、老後資金を貯めながら教育費をやり繰りすることが必要となります。

まずは2022年の貯蓄残高目標を最低3,600万円としましょう。今回のアドバイスは貯めることと保険の見直しを中心にしてきましたが、300万円、500万円と今から貯蓄が増えていけば、今後10年ぐらいにあるイベント必要額を出し、備える額を見積もりましょう。少し余裕が出てくれば、投資型金融商品の運用を勉強しながら投資していきたいものです。

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