予算を3000万円に抑えたいけれどほしい物件は3300万円 いまの収入で買うとあとあと厳しくなるでしょうか


山下 和之先生 プロフィール
長らくマイホーム関連の不動産会社、金融機関、そして実際にマイホームを買われた一般の方々など、多方面の取材に携わってきた経験を生かして本音でお答えします。効率的なマイホームの頭金づくりから、ローン破綻に陥らないローンの組み方、少しでもトクする返済方法まで何でもご質問ください。

上川 利恵さん(仮名)のご相談

現在の年収は主人が540万円で、私がパート勤務で月6万円、年収にすると72万円。マイホーム購入の頭金にとセッセと貯めてきた貯蓄が1000万円を超えたので、いよいよ購入に踏み切りたいと思っています。ところが、予算は3000万円以内を予定していたのに、希望情報を満たす物件は3300万円はしそう。将来子どもができたときには私の収入がなくなるので、3300万円の物件を買ってもいいかどうか心配です。

上川 利恵さん(仮名)のプロフィール
33歳。パート勤務で月収は6万円。ご主人は会社員(35歳、年収540万円)。頭金が1000万円になったので、マイホーム購入を考えている。

上川さんの相談のポイント

  • いまの収入で3300万円の物件を買っても大丈夫か
  • 将来の出産・子育て時に返済に困らないか
  • やはり3000万円程度に抑えるべきだろうか

現在の家計なら3300万円でもまず問題はないと思います シッカリと希望に合った物件を見つけてください

「いくらまで借りられるか」より「いくらなら返せるか」

通常、民間金融機関では年収500万円を超えている人であれば、返済負担率(年収に占める年間返済額の割合)35~40%まで融資可能です。公庫融資は返済負担率20%が限度ですが、これに銀行ローンを加えれば、合計で35~40%まで可能なのです。年収540万円の上川さんの場合、返済負担率35%が限度とすれば、540万円×0.35で189万円まで融資を受けられる計算。毎月返済額は15万7500円になります。年利2.375%、35年の元利均等返済だと4400万円まで借りられるわけです。でも、実際にはこんなに借りてしまうとローン返済が厳しくなるのは目に見えています。ローン審査上の基準はそうですが、現実の審査の場面でももっと厳しく査定されて、そこまでは借りられないケースが多いのです。より安全な資金計画を考えるときには、「いくらまで借りられるか」ではなく、「いくらなら返せるか」をもとに試算するのが無難でしょう。

現在の住宅関連の支出と貯蓄額を返済の限度にする

そこで、まずは現在の家計から、住宅関連の支出にいくら出しているかをみてみます。上川さんの場合には、住居費は家賃と駐車場料金を合わせて月額9万円。これに年間50万円の貯蓄を行ってきました。年間ベースでみれば9万円×12カ月+50万円で158万円になります。上川さんのお話では、いまの月々9万円の負担は「けっこう厳しい」ために、できればそれ以下に抑えたいそうです。そんなことが可能なのでしょうか。

下に3000万円、3300万円の物件を買うときの資金計画を出してみました。ローンは長期固定金利型の住宅金融公庫をベースにしました。銀行ローンの変動金利型や固定金利選択型の固定期間の短いものにはもっと金利の低いものがあるのですが、将来の金利上昇の可能性を考えるとあまり利用したくありません。安全性を考えるとやはり公庫融資を基本にするのがいいと思います。

頭金を十分に貯めれば後々の生活がラクになる

試算の結果、3300万円の物件を買っても年間返済額は100万円前後にとどまることが分かりました。現在の住居費は年間108万円ですから、住居費負担を減らしたいという上川さんの意向をある程度満たす資金計画といえるのではないでしょうか。その最大の要因は、なんといっても1000万円の頭金を用意した点にあります。通常、マイホーム購入時には価格の2割の頭金を用意するのが常識といわれますが、当たり前のことながら、頭金が多いほどローン借入額は減少し、返済負担は軽くなります。頭金を2割以上用意すれば、上川さんのようにそれまでの家賃負担より少ないローン返済額でマイホームを手に入れることができる可能性が高くなるわけです。

管理費・修繕積立金・駐車場料金や税金の負担も忘れずに

とはいえ、実際にマイホームを購入すると各種費用の負担が伴います。マンションなら管理費や修繕積立金が月々2万円程度、それに駐車場料金や固定資産税・都市計画税などを考慮すると、年間50万円程度は覚悟しておく必要があります。一戸建ての場合には、管理費や修繕積立金、駐車場料金は基本的にかかりませんが、それでも将来に備えて維持管理費用の積み立ては必要ですし、税金の負担は免れません。

そうした点を考慮するとちょっと不安になるかもしれません。でも、現実にマイホームを買う人たちの返済負担率の平均値をみるとローンだけでほぼ20%を超えています。それからみれば、上川さんの場合にはシッカリとした家計管理さえすれば、十分にやっていける範囲ではないかと思います。念のため、奥様のパート勤務による収入は、あくまでもプラスαと考えて、ご主人の収入だけでローンを返済するようにし、パート収入は貯蓄に回してください。そうすれば、将来出産・子育ての時期がやってきても、家計への影響なしにそれまで通りに返済できるはずです。

資金計画の試算

共通条件: 頭金1000万円
マンションは専有面積80m2の新築マンションで、公庫基本融資には「はじめてマイホーム加算」500万円と「生活空間加算」500万円を含む
一戸建ては、敷地面積150m2、建物面積120m2
厚生年金加入10年以上の場合
金利は2004年1月末現在の金利
愛知県名古屋市に購入

(1)3000万円の新築マンション購入の場合
融資の種類 借入額 金利 返済期間 毎月返済額
 公庫基本融資 2000万円 2.55% 35年 7万2036円
(2)3300万円の新築マンション購入の場合
融資の種類 借入額 金利 返済期間 毎月返済額
 公庫基本融資 2270万円 2.55% 35年 8万1761円

(公庫基本融資は2270万円までなので、不足30万円分は貯蓄から)

(3)3000万円の新築一戸建て購入の場合
融資の種類 借入額 金利 返済期間 毎月返済額
 公庫基本融資 1180万円 2.55% 35年 4万2501円
 年金一般融資 800万円 2.75% 35年 2万9682円
 合計 1980万円 —- —- 7万2183円

(公庫、年金の融資限度額をフルに活用し、不足分20万円は貯蓄から)

(4)3300万円の新築一戸建て購入の場合
融資の種類 借入額 金利 返済期間 毎月返済額
 公庫基本融資 1180万円 2.55% 35年 4万2501円
 年金一般融資 800万円 2.75% 35年 2万9682円
 銀行ローン 320万円 2.375% 35年 1万1226円
 合計 2300万円 —- —- 8万3409円
●年収負担率の試算
年間返済額 年収540万円の場合 年収612万円の場合
 (1)  86万4432円 16.0%  14.1% 
 (2)  98万1132円 18.2%  16.0% 
 (3)  86万6196円 16.0%  14.2% 
 (4) 100万0908円 18.5%  16.4% 

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