保活の末、なんとか認可保育園に決まりました。 保育料はどのように決められるものなのでしょうか?


保活の末、なんとか認可保育園に決まりました。
保育料はどのように決められるものなのでしょうか?

今回、回答いただく先生は…
井上 信一先生 (いのうえ しんいち) プロフィール
  • 保育料は所得に応じた応能負担で決まりますが世帯単位であることに注意が必要です
  • 保育を委ねる状況に応じて負担が異なります。諸条件の設定は適宜見直しも必要です
  • 保育料は変動します。その可変要因はチェックしておきましょう

林千草さん(30歳 仮名)のご相談

子どもを預けられる身内が近くになく、夫婦共働きを続ける計画でしたので、保活には相当苦労しました。その甲斐あってなんとか認可保育園に入れることができました。
ところで今さらなのですが保育料は子どもの卒園まで変わらないものなのでしょうか?

ご相談者のプロフィール

家族構成
家族 年間収入 現在の貯蓄額
本人
30歳
会社員
300万円 600万円

33歳
会社員
400万円
長女
1歳

子どもの年齢や収入の増減などで保育料は変わります。
成長の過程では、保育に求める環境や費用面なども確認していきましょう。

林さん、ご相談ありがとうございます。
「働き方」のプランと「家族の希望」のプランは、将来の家計の収支を占う大事な要素。「子育て」にかかるお金も、もちろんこれに大きく関わりますよね。損得の“勘定”ではなく人の“感情”を優先すべきですが、1つ1つのライフイベントの積み重ねが、その後に訪れるイベントの選択肢へ確実に影響するものです。
認可保育園の場合、保育料もまさに「働き方」のプランで変わっていきます。具体的に保育料がどのように計算されるのか、そのしくみや注意点をみていきましょう。

1.ベースは住民税の所得割額。世帯合計である点には注意

認可保育園の基本保育料は、国が定める上限額の範囲内で、所在区市町村が定めています。
その基になるのが保護者の所得から算出される次の金額。

市町村民税(特別区の場合は区民税)の所得割課税額等

ざっくりいえば、“住民税”のうち、所得に応じて算出される税額部分のイメージです。
住民税は前年の所得に応じて算出された税額を、通常は6月から翌年5月まで12等分して納めますが、勤務先から毎年5月末までに受け取る、次の細長い書類で確認できます。

給与所得等に係る市民税・県民税 特別徴収税額の決定・変更通知書

以下のURLは、東京都中央区のHPにある保育料の算出方法ですが、ご自身の書類のどこをみればよいのか参考になるでしょう。
http://www.city.chuo.lg.jp/kosodate/hoiku/ninkahoiku/hoikuryosansyutu.files/sansyutuhouhou.pdf

ここで注意したいのが、主たる生計者(世帯主等)だけでなく、所得のある保護者を合算する点。収入(厳密にいえば所得)が高いほど保育料も高額になるのですが、その所得とは世帯所得、つまり夫婦共働きなら夫婦各々で算出した住民税の所得割額等を、最終的に合計する点です。
なお、給与から源泉徴収される以外に住民税を納付している場合(不動産所得がある等)は、お住いの区市町村から送られてくる通知書で算出する点にもご注意ください。

2.所得が同じでも保育料は区市町村や諸条件により異なる

保育料は、世帯の所得割額等に応じて区分された「階層」ごとに月額単位で設定されます。
あとは、上記で算出した金額をこの一覧表に当てはめれば保育料を確認できます。
例)東京都中央区の保育料表
http://www.city.chuo.lg.jp/kosodate/hoiku/ninkahoiku/hoikuryosansyutu.files/2gounintei.pdf

ですが、区市町村によって「階層」を何区分に分けているのか等が異なるので 、結果、所得が同じでも保育料には大きな差が生じています。
さらに、お子さまの年齢や保育時間によっても保育料は変わります
当然のこと、4歳以上よりは3歳児、3歳よりは3歳未満児といった具合に、小さい子になるほど保育士の方が預かれる人数も少なくなるので保育料が高く設定されています。
保育時間については公立と私立とで異なる場合もありますが、保護者の月ごとの就業時間によって保育標準時間認定(最長11時間/日)と保育短時間認定(最長8時間/日)との2区分で認定され、短時間認定を受けると若干安くなります。
ただし、親の就業時間によって認定が変わる保育時間については注意が必要です。
標準時間認定と短時間認定との保育料の差はほんの僅かなので、出勤時刻が早い(お子さまを預ける時間が早い)、就業終了時刻が遅い(お子さまを迎えに行く時間が遅い)等で保育園ごとの規定保育時間帯から外れて延長保育料が嵩むと思わぬ高負担となります。
その際は、あらためて役場に相談されて認定区分を変更してもらうのが良いでしょう。

3.今後の保育料の変動要因についても注意

上述のとおり、お子さまの成長に伴い保育料が安くなっていくのは嬉しいところですね。
さらに、これからお子さまが増えた場合、一定の年齢に達するまでは「多子世帯の保育料減額制度」を適用できる可能性もあります。この制度では、保育園・幼稚園・認定こども園・地域型保育など兄弟姉妹で通園される施設が異なる(設定区分が異なる)場合でも子どもの数にカウントできます。
一方で、残念ながら林さんがお住いの自治体では、保育料の増額施策が打ち出されており、同条件であっても来年度は若干の負担増が予定されています。様々な行政が区市町村単位に移管されつつある昨今です。お住いの地域によって利用額や負担額が異なるのは、何も保育行政だけではないので、保育料だけを他の自治体と比較しても仕方のないことですよね。働き方やその他の生活環境等の価値観に応じて決めた住まいです。地域の行政に委ねていくしかありません。
また、認可保育園の保育料の決定は年2回行われ、4月分~8月分は前年度所得に応じて、9月分~3月分は当年度所得で保育料を算定するのが一般的です。このため、働き方等の大きな変動によって4月分と9月分以後に保育料が変動する可能性もあり得ます。
収入が増える場合は大きな問題はないのですが、逆の場合は一時的に家計を圧迫する可能性もあるので、このタイムラグもあらかじめ知っておくと良いでしょう。
待機児童数の解消をはじめとする「保育と仕事の両立」の課題については国も力をいれているようですが、お住まいの地域によりまだまだ実感できる温度差があると聞きます。
お子さまを安心して預けられるのか否かも、施設によって差異のあることも否めません。
ただし、その選択肢は認可保育園に限らず認可外保育園や、幼稚園、認定こども園、地域型保育など多種多様に渡っています。費用の多寡だけでなく施設ごとで保育できる範囲や教育養育等に係る特徴も異なります。
お子さまの成長に応じて、費用面だけでなく保育環境なども視野に入れて通園される施設の見直しを検討されても良いかもしれませんね。

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