インターネットが普及するまでは、航空券や宿の予約は旅行代理店などを通じて予約を行うのが一般的でしたが、今では様々なポータルサイトなどで気軽に旅行の予約ができるようになりました。
以下の図をご覧ください。
これはWebマーケティングガイドが2007年6月に調査・発表したデータになります。このデータを見ると、旅行に関する予約や申込みは2007年時点で56.7%と、半数以上の人がインターネットを通じて行っており、今後ますますこの傾向は強まっていくものと思われます。インターネット予約であれば24時間受付が可能であることに加え、ネット限定での割引プランがあるなど、ユーザにとってはとても便利になりましたが、一方でユーザの勘違いや誤った操作方法に加え、業者側のわかりづらい説明がユーザに混乱を与えてしまう場合などの問題も発生しています。そこで、今回はネットでの旅予約における失敗談についてお話したいと思います。
利用規約を確認したにも関わらず・・・
柴田さん(42歳・男性)は、家族4人で温泉に行くため、旅館が運営するホームページにアクセスし、オンラインで宿泊予約をしました。この宿泊プランは限定の格安プランとなっており、宿泊の28日前に予約をしなければならない代わりに通常よりも安い料金で泊まれるプランであったので、宿泊プランと空室状況をそれぞれチェックし、最後に利用規約をみて2日前までのキャンセル料は無料であることを確認してからクレジットカードで申し込みました。
さて、後日になって仕事の都合で行けなくなり、1週間前にキャンセルの申し出をしたところ、「今回申込いただいたプランは限定プランのため返金は出来ません」と言われました。「利用規約には2日前までに申し出ればキャンセル料はかからないと書いてあった」旨を伝えましたが、限定プランは通常の利用規約ではなく、予約メールにもそのことはきちっと書いてあるとのことでした。予約メールを確認するとたしかに「返金できない」旨の記載がありました。ただし、文章の最後の方に記載してあったため柴田さんは気付かず、また予約受付画面にはそのような記載もありませんでした。ちゃんと利用規約を読んでキャンセル料がかかるかどうかの確認も行っているのに、ホームページの記載がわかりにくく、しかも1週間前のキャンセルにも関わらず全額支払わなければならなくなり、到底納得がいきませんでした。
他にもある!ネットでの旅行予約に関する様々なトラブル
国民生活センターによると、ネットでの航空券購入を巡る2008年度の苦情相談件数は322件で3年前の3倍以上に増えており、また旅館やホテルについても同様に3年前の約3倍に増えています。柴田さんのような例に限らず、国民生活センターなどに相談される件数は増加傾向にあります。以下が主なネットでの旅行予約に関するトラブル事例です。
相談案件ケース1
ネットで格安航空券を購入した際、搭乗日を間違って入力してしまった。旅行会社にすぐに誤りを申し出たが、変更も払い戻しもできないと言われた。
最近は格安航空券も値下げ競争がとても厳しくなってきており、各社とも生き残りをかけて様々な工夫をこらして金額を安く設定しています。そのため代理店の中には、航空券代を安くする代わりにキャンセル料を独自の基準で高めに設定しているところがあり、言い換えればキャンセル料も代理店の貴重な収入源となっている場合があります。そのため、特に格安航空券を購入する場合は日程や便名などが間違っていないかどうかはもちろんのこと、キャンセルポリシーなどをしっかりと確認をしてリスクを把握した上で購入することをお勧めします。
相談案件ケース2
ホームページを通じて旅館を予約しようとしたが、申込が最後まで完了せず、確認メールも送られてこなかった。ところが、後日になって実は予約が完了していたことがわかり、無断で当日キャンセル扱いとなったため、100%のキャンセル料を請求された。
電子取引の基本ルールは、申込内容に関するメールを企業側が発信し、申込者にメールが到着した時点で契約、というのが原則となっています。つまり、万が一メールがシステムトラブルなどで申込者に届かない場合、契約は不成立となるため、企業がリスクをおうことになります。このようなことから、Web上で契約を完了させるケースが多いことも事実です。ただし、通常はトラブルを避けるために確認のメールが送られてくるケースが大半でしょう。ちなみに逆のケースも考えられ、つまりWeb上で予約を行い、その後に折り返しのメールを申込者が送った時点で予約完了となるケースもあります。その場合、申込者は「Webで予約完了した」と思っていても、実はメールを送っていないために、実は予約が完了していなかったというケースです。
いずれにしても、どの時点で予約が完了するかについては、きちっと確認をするようにしましょう。
旅行予約をインターネットで行う際の注意点
かつては旅行代理店などが責任を持ってトラブルをフォローしてくれていました。インターネットでの申込が可能になったことによって、格安で旅行ができるようになった半面、旅行者自身がトラブル時のリスクを背負う形になっているところもあります。トラブルを未然に防ぐためにも、まずは申込をする前にキャンセル時の注意点などをしっかりと確認をすることが大事であり、また、申込時の予約画面や確認メールについては、必ず印刷や画面の保存をするようにしましょう。
執筆:坂本光(さかもと ひかる)CFP
一級ファイナンシャルプランナー・CFPR、日本キャリア開発協会認定キャリアカウンセラー、日本応用カウンセリング審議会認定心理カウンセラー。2006年5月週末起業を決意し、通信事業者に勤務しながら合同会社FPアウトソーシング代表を務める。ファイナンシャルプランニングに関する個別相談・セミナー講師としても活動中。