第17回:運転免許の更新忘れ


車の運転をする人にとっては、運転免許証はなくてはならないとても大切なものです。運転免許の更新日が近づくと公安委員会が運転免許の更新を忘れないようにする目的で更新予定者全員に必ず「運転免許証の更新のお知らせ」というはがきが郵送されることになっており、たいていの場合は免許の更新を忘れることはありません。しかしもし万が一免許更新を忘れてしまうと、思わぬ痛い出費を強いられることがありますので注意が必要です。そこで、今回は「運転免許の更新忘れ」についてお話をしたいと思います。

運転免許の更新がちょうど仕事の忙しい時期に・・・

高木さんは28歳のサラリーマンです。あるメーカーの営業担当をしており、普段は車でお客様に訪問をする毎日を送っています。そんな高木さんにも免許更新の期限が近づき、「運転免許更新のお知らせ」のはがきが公安委員会から届きました。はがきを受け取ったときには「そろそろ免許の更新に行かなきゃ」と思ったものの、自分の大事なクライアントへの製品の納入期日が迫っており、他のことを考える余裕がありませんでした。

そして、高木さんは何とかお客様に対して期限どおりに納品をすることができ、ようやく忙しい日々から無事に解放されました。ところが、運転免許証の更新についてはすっかり忘れてしまいました。

さて、1年3ヶ月が過ぎたある日、高木さんは銀行の口座を開設する際に、本人確認のために運転免許証を出しました。そこで銀行の窓口担当の人から「有効期限が切れていますよ」と指摘され、ようやく運転免許証の書き換えをしていないことを思い出しました。普段から仕事で車を使用する高木さんにとっては、車は商売道具です。高木さんは、運転免許センターに電話をし、事情を説明した上で何とか更新をさせてもらえないかと訴えました。しかし、返事は残念ながら「運転免許をもう一度最初から取り直すしかない」との回答でした。

再び自動車運転免許証を収得しようとすれば、自動車学校に入るか、あるいは直接自動車運転免許試験を受験するかのどちらかです。時間もないことに加え「今まで運転は毎日のようにしていたから試験にも簡単に受かるだろう」との思いから直接自動車運転免許試験を受けることにしました。ところが、何回受けても不合格。5回目に不合格になった時点であきらめ、自動車学校に入る決意をしました。結局、なるべく早く免許を取るために残業をせずに夜間に通うことになり、それまで毎月4万円ほどもらっていた残業代はゼロ。1ヶ月間は営業に出られないために内勤となり、毎月2万円ほどもらっていた営業手当てもゼロ。その上、自動車免許の試験費用や教習所に通う費用を合わせて約40万円の出費です。高木さんにとっては悔やんでも悔やみきれない、高い授業料となったのでした。

免許が失効したときのルールは?

免許が失効した場合、どんな手続きが必要になるのでしょうか。
まずは下の図をご覧ください。

失効後の期間 免許再交付に必要な手続き
6ヶ月以内 所定の講習/適性試験の後、書類提出により再交付が可能。
6ヶ月~1年以内 書類提出により仮免許の交付が可能。
教習所に入校するか、直接試験場に行き試験に合格する必要がある。
教習所に入校する場合、「第二段階」からスタートできる。
1年以上 免許を全て最初から取り直し。
教習所に入校するか、直接試験場に行き試験に合格する必要がある。

上の図の通り、まずは大きく分けて失効してから((1))6ヶ月以内、((2))6ヶ月~1年以内、((3))1年以上によって、手続きが違ってきます。

失効してから6ヶ月以内であれば、急いで申請すれば免許の書き換えは所定の講習や適性試験などを経て再交付できます。ただし、優良区分(つまりゴールドカード)だった人は、無事故・無違反だったとしても一般区分になります。

次に6ヶ月~1年の場合は、仮免許の申請が可能です。つまり、自動車運転歴が3年以上の人がいれば、一応路上で運転は可能になります。ただし、本免許取得のためにはお金や時間も多少はかかり、自動車教習所に行くと10万円以上はかかります。

失効してから1年以上経過してしまった場合は、残念ながらもう一度普通免許を一から取り直し、ということになってしまいます。自動車学校に通う場合は20~30万円はかかりますし、仕事をしながら免許を取得する場合は、1ヶ月以上はかかることを覚悟しましょう。

ちなみに、長期で海外に住んでいた場合、あるいは病気などで更新できなかった場合は、3年以内であれば更新を例外的に認めてもらえる場合もあります。あきらめずに、免許更新センターに問い合わせてみましょう。

沖縄県は免許更新を忘れる人が多い!?

琉球新聞が2005年12月に掲載された情報の中で、各都道府県別に、免許更新を忘れる人が多い割合をランキングにしたデータがあります。

1位は沖縄県で、1万人あたり47.72人で第1位。2位は東京が45.74人で、この2つの都道府県が突出して高いことがわかります。一方で更新忘れの少ない県は上位から秋田・岩手・青森と東北地方が上位を占めており、それぞれ1万人あたり12~13人で、東京や沖縄の1/3~1/4程度になります。

ちなみに沖縄県警の調査によると、免許証失効の主な原因は(1)更新が来年だと勘違いしていた(2)更新をうっかり忘れていた(3)盗難・遺失でした。

特に(1)の「更新が来年だと勘違いしていた」あるいは(2)の「更新をうっかり忘れていた」が圧倒的多数を占めますので、是非とも「うっかりミス」はなくしたいものです。

免許更新を忘れないために

最後に、免許の更新を忘れないための注意点を挙げておきます。

まず、免許更新のタイミングを普段から意識するようにしましょう。「更新のお知らせ」のはがきで把握すればよいのですが、あくまでこれは備忘録ですので、まずは自分で更新のタイミングがいつであるか、を知っておくことが一番重要です。

次に、住所変更があった場合は必ず届出をするようにしましょう。「更新のお知らせ」のはがきは、警察署に登録されている住所に送られます。引越しなどで万が一届かなかった場合、再通知などは行われておりませんので、かならず引越しの際には免許の住所変更を忘れずにしましょう。また、引越しをしていない場合でも単身赴任や海外への長期滞在、あるいは長期で入院をしたときなどは十分に注意をしましょう。

万が一うっかりして免許を失効させてしまった場合、まずは気づいた時点ですぐに届出をすることが大事です。特に忘れても6ヶ月以内であれば更新の手続きは簡単ですので、なるべく失効から6ヶ月以内に処理をするようにしましょう。

6ヶ月以上、あるいは1年以上経過してしまった場合は先ほどお話したとおり、仮免許から、あるいは最初からの免許取り直しになります。その際は、教習所にもう一度通うか、運転免許センターに行って直接試験を受けるかのどちらかになります。免許センターで合格すれば安上がりにはなりますが一発合格は至難の業です。特に技能試験についてはドアロックやシートベルトに始まり、目視確認やスピードの出し方など、非常に細かいところまでが採点対象となるため、以前運転していた経験があるからといっても甘く見てはいけません。したがって試験対策を十分に行っていないとなかなか合格できないのが実情です。ちなみに今回のように高木さんが試験を5回受けたにも関わらず合格しなかったという話はよくあることです。自信がない人やペーパードライバーであれば、自動車学校に通ったほうが無難です。

執筆:坂本光(さかもと ひかる)CFP
一級ファイナンシャルプランナー・CFPR、日本キャリア開発協会認定キャリアカウンセラー、日本応用カウンセリング審議会認定心理カウンセラー。2006年5月週末起業を決意し、通信事業者に勤務しながら合同会社FPアウトソーシング代表を務める。ファイナンシャルプランニングに関する個別相談・セミナー講師としても活動中。

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