第8回:年金について【子供に話すお金の話】

Pocket
Facebook にシェア
LINEで送る
このエントリーをはてなブックマークに追加

今、年金が非常に大きな社会問題になっています。みなさんもニュースなどで聞いたことがあるかと思います。年金制度は、老後になったら国からお金をもらえる制度であることはなんとなく想像はつくかと思いますが、その制度は少々複雑であり、きちっと説明できる人は意外に少ないのが現状です。そこで今回は、年金がどのような仕組みになっていて、「いつから」「いくらぐらいもらえるのか」などについてのお話をしたいと思います。

何のために年金はあるの?

まず始めに、そもそも年金は何のためにあるのかを考えてみたいと思います。
年金の目的は大きくわけて以下の2つです。

  • 老後に働けなくなったときのために、定期的に収入がもらえるようにする
  • 自分の家族に万が一(死亡・高度障害)のことがあった際にお金がもらえるようにする

若いときは元気に働けても、お年寄りになると自分で働いて稼ぐのは難しくなるため、老後の生活は不安になってしまいます。そのため、若くて働けるうちに年金を納めた人は、自分が老後(65歳以上)になったときに働かなくてもお金がもらえるように国が用意してくれている制度なのです。この場合、年金は一生涯もらえますので、お年寄りにとっては安心できるとてもありがたい制度なのです。

また、老後に年金を受け取る以外にも、死亡した場合には遺族年金保険を、大怪我をして高度障害になってしまった場合には障害年金保険を国から受け取ることができるようになっています。

このように、老後の生活や死亡・高度障害など将来の不安を少しでも解消するために、年金は人々の生活に役立っているのです。

年金の加入はどんな仕組みになっているの?

では年金はどんな人が加入しているのでしょうか。まず日本の年金制度は、日本在住の20歳以上59歳以下の人が対象となります。(ただし、60歳以上でもサラリーマンとして継続して働く場合は年金保険料を納めることになります)
以下がおおまかな年金制度の図になります。

まず、日本の年金制度では以下の3つに分類して支払方法を決定しています。

  • 自営業、学生、無職等 → 第1号被保険者
  • サラリーマン → 第2号被保険者
  • 専業主婦(主夫) → 第3号被保険者

まず、第1号被保険者とは、「サラリーマン」「専業主婦(主夫)」以外の全ての人が該当します。具体的には自営業・学生などが含まれます。また、無職の方もここに分類されます。基本的に支払わなければならない保険料は、国民年金保険料のみとなります。

次に、第2号被保険者は「サラリーマン」が該当します。サラリーマンは、国民年金保険料のほかに、企業であれば「厚生年金」、公務員であれば「共済組合」の保険料を支払わなければなりません。ただし厚生(共済)年金の場合は、勤め先が半額負担をしてくれるため、被保険者本人は半額だけですみます。

最後に第3号被保険者ですが、「専業主婦(主夫)」が該当します。この場合、国民年金保険料は免除になります。

つまり、この図で言う1階部分の「国民年金」は全員加入の義務があり(但し、第3号被保険者だけは国民保険料免除)、サラリーマンは更に2階部分にあたる「厚生(公務員の場合は共済)年金」に入らなければなりません。

毎月支払う「年金保険料」っていくらぐらいなの?

年金保険料は、種類によってお金が違ってきます。
まず、20~59歳までの国民全員が加入しなければならない国民年金の場合、保険料は全員同じです。(ただし、第3号被保険者(つまり専業主婦(夫))だけは免除)

  • 国民年金保険料・・・・月額14,100円(平成19年9月現在)

それに対して、厚生年金の場合、保険料は毎月もらえる給料によって違ってきます。

  • 平均の月給が30万円の場合・・・月額44,988円(平成19年9月~平成20年8月)

これはあくまで例ですが、給料がこれより高くなると、保険料も上がっていきます。ただし、厚生年金の場合は勤め先が半額負担をしてくれますので、実際の本人の負担はその半額の22,494円ということになります。

まとめると、毎月納める保険料は以下のようになります。

  • 自営業者など(つまり第1号被保険者) … 14,100円
  • サラリーマン(つまり第2号被保険者) … 14,100円+22,494円=36,594円(月給が30万円の場合)
  • 専業主婦(主夫)(つまり第3号被保険者) … 0円

以上を見ると、サラリーマンの年金に支払わなければならない保険料が重いことがわかります。ただし、これは考え方を変えると、老後にもらえるお金はサラリーマンの方がたくさんもらえるということも言えます。自営業者の場合であれば、国民年金保険分しかもらえませんが、サラリーマンであれば国民年金の他に厚生年金も受け取れるようになるからです。ちなみに専業主婦の場合は、毎月の保険料は免除となっていても、国民年金はサラリーマンや自営業者と同じようにもらえます。

ではいくらぐらいもらえるのでしょうか。この後に具体的な金額を見ていきましょう。

いくらぐらいもらえるの?

では、年金はいったいいくらぐらいもらえるのでしょうか。
以下の年金早見表をみると、だいたいいくらぐらいもらえるかがわかります。

国民年金早見表
加入年数 受給額
25年 50万円
30年 59万円
35年 69万円
38年 75万円
40年 79万円

厚生年金早見表
加入年数 受給額
平均標準報酬月額(つまり平均月給)
30万円 35万円 40万円
25年 69万円 80万円 91万円
30年 82万円 96万円 110万円
35年 96万円 112万円 128万円
38年 104万円 122万円 139万円
40年 110万円 128万円 146万円

国民年金の場合は、満額であれば年間で79万円もらえます。ただし、国民年金を支払った期間が40年に満たなければ、支払わなかった期間に応じて減額されます。また、国民年金を支払った期間が合計で25年に満たないと、国民年金をもらうことはできません。

次に厚生年金の場合は、国民年金と違い、1ヶ月でも納付していればもらえます。ただし、国民年金をもらう資格を満たしていない(つまり合計期間が25年に満たない)と、厚生年金ももらえなくなってしまうので注意が必要です。厚生年金は、その人の収入に応じてもらえる金額も違ってくるのですが、例えば毎月の平均収入が35万円で、納付した期間が40年だったと仮定すると、2007年度現在では128万円もらえます。

例えば、夫がサラリーマンで妻が専業主婦の場合で、夫の平均月給を35万円とすると、65歳以降に夫婦でもらえる金額は以下のとおりです。

国民年金(満額) 79万円×2人分=158万円
厚生年金(35万円平均) 128万円×1人分=128万円
合計 286万円

つまり、286万円を65歳以上になったら一生涯受け取ることができるのです。
一方で、自営業を夫婦で営んでいる場合は、厚生年金に加入していませんので、受け取れる額は国民年金分のみの158万円ということになるのです。

国民年金保険料を納めない方が得って本当なの?

近年、国民年金保険料を納めない人、つまり滞納者が多くなっています。2006年度の保険料納付率は66.3%で、3人に1人以上が国民年金を支払っていないことになります。経済的な理由でやむを得ない人は別としても、「もらえる年金がわからず、あてにできないから」或いは「年金制度が崩壊するかもしれないといわれているから」などの理由で納めない人も少なくありません。では、本当に納めない方が得なのでしょうか。

結論から言うと、得になることはなく、それどころかかえって国民年金を納めないという選択肢は自分の首を絞める危険なことなのです。

年金を支払うことは国民の義務ですので、滞納している人は、いつ国から強制的に支払い命令が出てもおかしくないのです。実際に、2006年度は1万人以上の人が差し押さえの処分を受けました。最近の年金に対する不安を解消するために、国を挙げて取締りをさらに厳しくすることが予想されるでしょう。

また、そもそも老後になったら、若いときのように自分で生活する分だけのお金を稼ぐのは大変難しいことです。老後に収入が全くなくなったら、不安を抱えたまま残りの人生を一生過ごさなければなりません。

根も葉もないうわさが世の中にはいっぱいありますが、注意をせずに鵜呑みにしてしまえば、後悔するのは私たち本人です。年金は今のお年寄りを支えていると同時に、私たちの将来のためにも役立っているのですから、年金のことについて正しい理解を深めて、将来安心して暮らせるように私たち一人一人が年金制度を支えていく必要があるのです。

執筆:坂本光(さかもと ひかる)CFP
一級ファイナンシャルプランナー・CFP®、心理カウンセラー。2006年5月週末起業を決意し、通信事業者に勤務しながら合同会社FPアウトソーシング代表を務める。ファイナンシャルプランニングに関する個別相談・セミナー講師としても活動中。