節約・ライフプラン

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節約マネーコラム

第54回:個人年金の定番!定額個人年金はどう活用する?(2007年10月)

将来の公的年金制度が不安な中、自助努力による老後資金の準備に関心を持つ人が増えています。自助努力による老後資金の準備には様々の方法がありますが、その中でも「定額個人年金保険(以下、「定額個人年金」)」は一つの定番ともいえる商品ではないでしょうか?

そこで、今回のコラムでは、「定額個人年金はどう活用する?」をテーマに、将来の老後資金の準備における定額個人年金の基本的なポイントについて解説してみたいと思います。

定額個人年金の老後資金の中での位置づけは?

一般に、老後資金の大部分を占めるのは「公的年金」ですが、豊かな老後生活を送るためには、それだけでは十分とはいえず、それを補完するのが私的年金ともいえる「個人年金」です。とりわけ、少子高齢化が進む中、老後資金の柱である公的年金の受給額が相対的に減少傾向にあり、若い現役世代をはじめとして、将来に備えて、個人年金による老後資金の補充が注目されています。

まず、個人年金は、銀行、信託銀行、信用金庫、信用組合、証券会社等が取り扱う「貯蓄型年金」と、生損保会社、JA共済、全労災等が取り扱う「保険型年金」に大別することができます。(保険型年金は、銀行、信託銀行、信用金庫、信用組合、証券会社等でも窓販されています)

<図表1:個人年金の種類>





保険型年金 定額型 運用実績に関係なく年金額等が一定。「円建て」と「外貨建て」がある
変額型 運用実績によって年金額等が変動
貯蓄型年金 元本温存型 年金原資となる資金を預け、その利息(配当金)を年金として充当。元本は取り崩さないため、一生涯年金を受け取ることができる
元本取り崩し型 年金原資となる資金を預け、運用しながら元本と利息(配当金)を一定期間分割して受け取る

前者の貯蓄型年金については、おおまかには「積立元本+利子(配当金)」が年金原資となり、10年、15年などに渡って、年金形式として受け取るもので、元本の取扱方法によって「元本温存型」と「元本取り崩し型」の2つがあります。また、年金原資の運用商品には、定期預金、金銭信託、公社債投信などがあります。

なお、貯蓄型年金の場合、元本の積立期間、積立を終えてから年金として受け取り開始までの据置期間、年金開始年齢、年金受取期間などを、老後の生活設計にあわせて比較的自由に設計することが可能ですが、ゼロ金利が解除されたとはいえ、引き続き低金利の今は、ある程度まとまった年金原資が必要となります。

一方で、後者の保険型年金については、基本的には、死亡保険と生存保険が組み合わさった「生死混合保険(契約期間中に死亡した場合には死亡保険金が、予め定められた時点で生存している場合には生存保険金が支払われる保険)」です。定額個人年金は、この保険型年金に分類され、従来からある個人年金の定番といえます。

定額個人年金は、将来の年金額が一定額で、契約時に設定した金額が最低保証される「定額型」の商品ですが、昨今の低金利の影響で、最近は、運用実績によって年金額が変動する「変額型」の変額個人年金も人気を集めています。

とはいえ、定額個人年金には、予め将来の年金額が保証されているという「安心感」がありますし、最近の金利上昇傾向を受け、一時払い商品を中心に予定利率を引き上げている保険会社も登場し、貯蓄性も回復基調にあるなど、やはり老後資金作りの上で重要な役割を占める商品といえるでしょう。

定額個人年金の基本的な仕組みは?

定額個人年金は、老後の生活資金のために、現役時代からお金(保険料)を積み立てて準備しておく商品です。例えば、30歳で契約して60歳まで保険料を払い、60歳から10年間毎年決まった金額を年金として受け取る(一括受け取りも可)などの仕組みになっています。

<図表2:定額個人年金の商品の仕組み(上記の10年確定年金の例)>

定額個人年金の種類は?

定額個人年金には、加入時に将来の年金額が日本円で決まる「円建て」のほかに、米ドルやユーロといった外貨で決まる「外貨建て」があります。

円建ての商品の場合、保険料の払込方法は、月払いなどの分割払い(一時払いも可)が基本ですが、外貨建てでは一時払いが多いようです。なお、外貨建ての商品は、金利の高い外貨で運用するため、一般に円建ての商品に比べて利回りは高い一方、為替リスクがありますので、将来、年金を日本円で受け取る際に、元本割れを起こす可能性もあります。

また、定額個人年金は、年金の受取期間で分類すると、一生涯受け取るタイプ(終身年金、保証期間付終身年金など)と、一定期間受け取るタイプ(確定年金、有期年金、保証期間付有期年金など)に分けられます。前者は一生涯年金が受け取れるので安心ですが、その分保険料負担は重く、後者は保険料負担が軽いものの、一定期間しか年金を受け取ることができません。

そのため、一生涯タイプは公的年金などの不足を補う「上乗せ年金」に、一定期間タイプは公的年金の支給開始年齢までの「つなぎ年金」に適しています。さらに、このほか、夫婦どちらかが生存しているかぎり年金が支払われる「夫婦年金」というものもあります。

<図表3:定額個人年金の種類>

受取期間 種類 内容
一生涯 終身年金
保証期間付終身年金
生存している限り、一生涯年金が受け取れる。年金開始後の一定期間(10年、15年など)の年金支払いが保証されている保証期間付きのものもある
夫婦年金
保証期間付夫婦年金
夫婦のいずれかが生存している限り、一生涯年金が受け取れる。保証期間付きのものもある
一定期間 確定年金 一定期間(10年、15年など)年金が受け取れる。年金受け取り期間内に死亡しても、残りの期間の年金は保証される
有期年金
保証期間付有期年金
生存している限り、年金を一定期間(10年、15年など)受け取れる。年金受け取り期間内に死亡しても、一定期間の年金支払いが保証されている保証期間付きのものもある

定額個人年金のメリットとデメリットは?

定額個人年金は、毎月支払う保険料と将来の年金額が確定しており、契約期間中変わりません。そのため、老後の生活設計がしやすいというメリットがあるため、計画的かつ確実に老後資金を準備したい方などにお勧めです。

また、貯蓄型年金とは異なり、保険料に対して個人年金保険料控除などの所得控除や、死亡保険金に対して相続税の非課税の適用が受けられるなどの税制優遇措置もあります。さらに、年金の受取方法までセットされているため、自分自身で積み立てたお金を取り崩す手間などがかかりません。すなわち、定額年金保険であれば、老後資金という目的が明確になるため、途中で取り崩しにくいといったメリットがあります。

一方、デメリットとしては、今後金利が上昇した場合でも、契約時の予定利率は変更されませんので、物価上昇による年金額の目減り(インフレリスク)などに対応できない点があります。これについては、有配当や利差配当などの配当金が出るタイプのものに加入したり、円建てではなく外貨建ての定額個人年金に加入したりするなどの選択肢もあります。

定額個人年金の活用ポイントは?

定額個人年金の具体的な活用ポイントとしては、例えば、公的年金などの上乗せ分として老後に最低限必要な生活費を準備するのであれば「円建て」の定額個人保険を、旅行やレジャーなどの余裕資金を準備するのであれば「外貨建て」の定額個人年金を活用する方法があります。

このほかにも、長期間保険会社に運用を任せるため、保険会社の健全性のチェックが不可欠です。さらに、保険料払込期間も長期間に渡るため、保険料が安いからといってあまり若い内に加入してしまうと、保険料の負担が大き過ぎて中途解約してしまい、結果的に元本割れになることもあります。

そのため、実際に加入する場合は、結婚・住宅購入・子どもの教育資金など将来のライフプランを踏まえ、他の資金ニーズにも目を向けるようにしましょう。なお、最近では、据置期間を7年〜10年など短めに設定した「一時払い」のみの商品も登場しており、50代など老後生活までにあまり時間がない世代への選択肢も増えています。

このように、定額個人年金の商品はさまざまですが、リスクは取りたくない、年金は一生涯受け取りたいなど「自分のこだわり」に優先順位をつけ、それに応じて商品を絞り込んでいくと良いでしょう。

 

ファイナンシャル・プランナー(CFP®)
黒田尚子

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