節約・ライフプラン

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住宅資金・返済
山下さん顔写真 FP:山下和之

長らくマイホーム関連の不動産会社、金融機関、そして実際にマイホームを買われた一般の方々など、多方面の取材に携わってきた経験を生かして本音でお答えします。効率的なマイホームの頭金づくりから、ローン破綻に陥らないローンの組み方、少しでもトクする返済方法まで何でもご質問ください。

■ご相談者
相談者(仮名)
望月 礼子さん
33歳公務員。フリーターのご主人(30歳)との二人家族で世帯年収は約800万円。子どもはいないがいずれは欲しいと考えている。
土地を買って注文住宅を建てたいと考えています。ローンは別々の2本立てになるのでしょうか?
土地の候補地を見つけて、現在住宅メーカーに一戸建て建築の見積もりを依頼しています。この場合、土地は不動産会社から、建物は住宅メーカーから買うことになりますが、ローンは別々になるのでしょうか。頭金はそれぞれどうするのがいいでしょうか。土地、建物ともに2000万円強で、合計4500万円までにおさめたいと思っています。自己資金は親からの援助を含めて1500万円ほど出せます。予想より少し高くなって5000万円ほどになっても大丈夫でしょうか。

 望月さんの相談のポイント
  • 土地、建物を別々に買うときのローンはどうなるのか
  • 頭金はそれぞれどう割り振ればいいのか
  • 予算がオーバーしても返済に問題はないか
■アドバイス
家を建てるときにローンを一体化するのが便利。予算オーバーも当面は問題ないが、出産時には不安も。

別々の購入だとローンの手間ヒマは2倍に

自分で土地を見つけて購入し、その土地に住宅メーカーに依頼した注文住宅を建てる場合には、ローン関係の手間ヒマは2倍になってしまいます。建売住宅であれば、販売会社との契約の一本で、そのときにローンを申し込めばいいのですが、土地を買うときに不動産会社と契約して、土地に関するローンを申込み、その後家を建てるときに住宅メーカーと請負契約を結んで、やはりローンを申し込むことになります。ただ、現実には、家を建てるときに土地に関するローンを一体化するのが便利だと思います。土地を購入するときに利用する銀行にその旨申し入れておき、家を建てるときに一体化すればスムーズに運ぶでしょう。

チェック! <土地を買って家を建てるときの資金の流れ>

土地の購入時にも頭金は2割必要

通常、銀行ローンでは2割の頭金が必要です。土地だけの購入のときにもそれは変わりません。ですから、2250万円の土地を買うのであれば、450万円の頭金か必要です。望月さんは比較的頭金に余裕がありますから、ここで500万円の頭金を入れて、1750万円のローンを組んでおきます。その上で、家を建てるときに新たにローンを1250万円増額して、総額3000万円のローンにするのが現実的でしょう。結果的に、4500万円の土地・建物を1500万円の頭金と3000万円のローンで購入すると考えればいいわけです。ただ、ローン金利の先行きの不透明さを考慮すれば、どちらかを超低金利だが金利上昇リスクのあるローン(下の例の【1】【2】)にしておき、一方を金利はやや高いが固定期間10年以上のリスクの小さいローン(下の例の【3】【4】)にしておくという手もあると思います。超低金利のメリットと、安心感の両方を半分ずつ享受するわけです。その上で、余裕ができたら、リスクの大きいローンから繰り上げ返済していく、あるいは金利が大幅に上昇しそうなときには、借り換えなどで【3】【4】のタイプに一体化することを考えてもいいでしょう。

2年以内に建てないとローン控除が減ることも

注意しておいていただきたいのは、ローン控除の問題です。ローン控除は土地、建物の購入に関するローンが対象ですから、土地・建物を別々に買った場合も、両者とも対象になります。しかし、土地を買ってから入居までの期間が2年以内でないと、土地に関するローンは対象になりません。望月さんの場合にはすでに建物の見積もりもとっているようなので、問題はないと思いますが、土地・建物を別々に購入しようと考えている人は、この点を頭に入れておいたほうがいいでしょう。仮に、上のケースで、土地に関するローンが対象にならないとすれば、ローン控除の対象は建物分の1250万円のみになって、控除額が大幅に減少してしまいます。

年収からみれば5000万円の予算になっても問題なし

現段階では総額4500万円で、うち親からの援助を含めて1500万円の頭金を用意できるということですから、借入額は合計3000万円になります。その場合、どんなローンを利用するかもにもよりますが、35年返済を利用すれば、にあるように返済負担率は17%以内におさまるので、ほぼ問題のない範囲だと思います。仮に総額5000万円に膨らんでしまったとしても、やはり返済負担率は20%以内におさまります。現在の賃貸住宅の家賃は11万7000円だそうですから、4500万円の場合にはいまより生活がラクになる可能性が高く、5000万円になっても、ほぼ現在並みの住居費負担で済むわけです。

チェック! <資金計画表>

出産後の育児休業期間をどう乗り切るが問題

問題になるのは、奥様が出産、育児で一時期的に休業しなければならないときの対応です。望月さんの計画では、フリーターのご主人が正社員になって年収を増やすほか、休業期間中の生活費として200万円を手元に残しておくそうです。仮にご主人の年収が現在の120万円から200万円になったとして、1年間で200万円の貯蓄を崩すとすれば、400万円での生活になります。年収800万円から400万円の生活になるのですから、ローンの返済負担率は当初の2倍になる計算です。金利によっては返済負担率が4割近くに達するケースも出てきます。それでほんとうにやっていけるのかどうか、ジックリと考えた上で判断していただきたいところです。




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