節約・ライフプラン

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住宅資金・返済
山下さん顔写真 FP:山下和之

長らくマイホーム関連の不動産会社、金融機関、そして実際にマイホームを買われた一般の方々など、多方面の取材に携わってきた経験を生かして本音でお答えします。効率的なマイホームの頭金づくりから、ローン破綻に陥らないローンの組み方、少しでもトクする返済方法まで何でもご質問ください。

■ご相談者
相談者(仮名)
高原 涼子さん
28歳の専業主婦。ご主人は36歳の会社員で、3歳の長男に続いて6月に第二子をご出産の予定。
出産を控えているのでとにかくローンの返済額を減らしたい 親から援助をうまく活かせる方法を教えてください。
5年前に住宅金融公庫の融資を利用してマイホームを買いました。25年返済で毎月返済額は5万7658円です(ボーナス返済なし)。間もなく2人目の子どもが生まれ、何かと出費が増えそうです。いまでも生活はラクではないのでローン返済額を減らしたいと思っています。幸い夫の親が500万円援助してくれるというので、この際金利の低いローンに借り換えたいと思っています。でも贈与税がかからないか、ローン控除がなくならないかと心配です。どうするのがいいでしょうか。

 上坂さんの相談のポイント
  • 2人目の出産を控えてローンの返済額を減らしたい
  • 親から援助を受けてローンを減らしたいが贈与税が心配
  • 金利の低いローンに借り換えるとローン控除がなくならないか
■アドバイス
相続時精算課税制度を使えば贈与税の心配はありません。相続時精算課税制度を使えば贈与税の心配はありません。

500万円の贈与なら53万円の贈与税に

親子の間とはいえ、年間110万円の基礎控除を超える贈与を受けた場合には、贈与税の対象になります。マイホームを買うときの購入資金として贈与を受けるときには、「住宅取得資金贈与の特例」で550万円までは非課税の扱いになりますが、高原さんの場合は購入後5年が経過しているので、この対象にはなりません。下にあるように基礎控除を差し引いても53万円の贈与税が発生します。500万円の援助を受けても実際に自由に使えるのは447万円ということです。

相続時精算課税制度なら贈与税は非課税に

しかし、昨年から実施されている「相続時精算課税制度」を利用すれば、2500万円までは非課税になります。父親の年齢が65歳以上などの所定の条件がありますが、高原さんのご主人は67歳ということですから、問題なく適用を受けることができるでしょう。そうすれば贈与を受ける500万円はそのままそっくりローンの返済などに充てることができます。ただし、この制度を利用するためには、贈与を受けた翌年の確定申告期間中までに居住地を所轄する税務署に申告する必要があります。税務署で「贈与税の申告書」「贈与税の申告書(相続時精算課税の計算明細書)」を入手して記入した上で戸籍謄本などを添えて提出必要があります。忘れないようにしてください。

金利の低いローンに借り換えて負担を減らす

では、この500万円をどう有効に活用するのかという点ですが、幸い、高原さんは地元の農協に加入していて、年利0.73%という破格の金利で住宅ローンを組むことができるそうです。借り換えには多少手数料がかかりますが、ご主人の親御さんから援助してもらう500万円に若干の貯蓄を加えて、借入額を500万円に減らして借り換えると、毎月の返済額は2万円台と現在の半分以下の返済負担に抑えることができます。これなら間もなく2人目のお子さまが誕生しても、安心して子育てできるのではないでしょうか。ただ、少し余裕を持って手元に現金を残しておきたいというお気持ちもありそうなので、借入額を700万円とすれば3万円台の返済額になります。それでも現在の返済額から月々2万6000円ほど減額できます。

安全性を考えて公庫融資を残す方法も

ただ、この0.73%のローンは将来、市中の金利が上昇するとローンの金利もアップして、返済額が増える可能性があるローンだと思います。ですから、安全性を考えて、借り換えではなく、現在のローンのうち金利の高い公庫特別加算分だけを一括返済して、金利の低い基本融資分だけにする方法も考えられます。これなら年利2.65%で、当初10年間は変化しませんから、あと5年間は金利変動、返済額アップの不安はありません。ただ、公庫融資は段階金利で高原さんの場合には11年目から金利が4.0%にアップします。その段階で、農協の金利の低いローンに借り換えるといった手もあるでしょう。若干金利は高くても安全性を重視するか、多少リスクはあっても当面の返済額が少なくなる道を選択するか、十分に検討してください。

借り換えてもローン控除は継続できる

なお、高原さんは借り換えるとローン控除が打ち切りになるのではないかと懸念されているようですが、その心配はありません。当初のマイホーム購入のためのローンを借り換えたものであることが明確なら引き続きローン控除の適用を受けることができます。借り換え額が若干減少するため、その分ローン控除額も減額となる可能性もありますが、高原さんのご主人の年収、所得税額を考えるとそう大きな影響はないのではないかと思います。

!贈与税の速算表

課税価格 税率 控除額
 200万円以下 10% ---
 200万円超300万円以下 15% 10万円
 300万円超400万円以下 20% 25万円
400万円超600万円以下 30% 65万円
 600万円超1000万円以下 40% 125万円
 1000万円超 50% 225万円

通常の贈与税の計算式

(贈与額−基礎控除)×税率−控除額

500万円の贈与を受けた場合

(500万円−110万円)×0.2(20%)−25万円=53万円

相続税精算課税制度を利用した場合の計算式

(贈与額−非課税限度額)×税率(一律20%)

500万円の贈与を受けた場合

(500万円−2500万円)×0.2(20%)=−400万円=0円

!高原さんの住宅ローン


金融機関 借入額 金利 返済期間 毎月返済額 現在の残高
 公庫基本融資 670万円 2.65% 25年 30,565円 568万9434円
 公庫特別加算 550円 3.35% 25年 27,093円 473万4352円
 合計 1220万円 -- -- 57,658円 1042万3786円

!金利0.73%のローンに借り換える


借入額 返済期間 毎月返済額
 700万円 20年 31,356円
 600万円 20年 26,876円
 500万円 20年 22,397円




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