結論からいえば、会社からの援助がほとんど期待できないというのであれば、経済的な負担を考えると、家族全員で転勤先に行かれるのがいいのではないかと思います。幸い、お子さまはまだ2歳で転校の問題もないし、小学校入学前には戻ってくることができそうでもありますし。マイホームは賃貸に出して、その賃料でローン返済をまかなうことができると思います。
定期借家権というのは、
契約期間満了後の契約の更新がない賃貸契約ですから、転勤期間終了後には確実に元の住まいに戻ることができます。ただ、期間が限られる契約ですから、入居者にとっては不利になることもあって、
普通借家権に比べると賃料相場はやや低くなるようです。購入されたマンションは、駅から徒歩5分と交通の便がよく、通常は7万5000円から8万円ほどの賃料相場。定期借家権だと少し安くなるとはいっても、現在のローン返済額6万5000円(ボーナス返済なし)は十分にカバーできると思います。管理費や修繕積立金などが持ち出しになる可能性がありますが、それは止むを得ないところでしょう。
これに対して、
単身赴任すると、ローン返済の一方に加えて転勤先でのご主人の住居費や食費などの負担がでてきます。会社事情による転勤なのですから、通常は一定の援助があると思うのですが、ないとすれば二重生活のコストはたいへん重くなります。単身赴任すれば年間17万円ほどのローン控除をそのまま受けることができるといっても、ご主人の年間の家賃は、とうていその範囲でおさまらないでしょう。それに食費や通信費、たまにはご主人が帰宅したり、阿美さんがご主人の住まいを訪問したりといった交通費も馬鹿になりません。
コスト面では明かに家族一緒に行ったほうが得策です。
ローン控除に関しては、これまではいったん家族全員で引っ越すとその段階で打ち切りとなり、将来その住まいに戻ってきても復活はできませんでした。単身赴任ならローン控除を受けられるため、経済的な理由から単身赴任するケースも少なくなかったようです。それが、
今年の税制改正により、4月1日以降に転勤した人の場合には、転勤先から戻ってきたときにはローン控除が復活することになりました。羽生さんのようにローン控除の適用期間が15年の人でも、4年目に引っ越すと結局3年間しかローン控除が受けられなかったのですが、6年目に戻ってくれば、通算では12年間の控除を受けられるようになったわけです。たしかに、3年間控除がなくなるのは痛手かもしれません。でもその単身赴任のコストは先にみたようにはるかに重くなると思います。それよりなにより、家族が一緒に住むことのほうが大切なことのような気がしますが、どうでしょうか。
羽生さんが入居した2001年6月末まではローン控除の適用期間は15年
(現在は10年)
これまで |
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今年4月1日以降の転勤 |
居住⇒ローン控除あり |
1年目 |
居住⇒ローン控除あり |
居住⇒ローン控除あり |
2年目 |
居住⇒ローン控除あり |
転居先⇒ローン控除打ち切り
↓
4年目以降は無効になる。
その後戻ってきても適用されない。 |
3年目 |
転居先⇒ローン控除なし |
4年目 |
転居先⇒ローン控除なし |
5年目 |
転居先⇒ローン控除なし |
6年目 |
居住⇒ローン控除復活 |
7年目 |
居住⇒ローン控除あり
↓
以降15年目まで有効。通算12年間の控除になる。ただし、6年目の年に賃貸に出している時期があればこの年は適用外で通算11年間になる。
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