たいへんいいことですね。木下さんの場合、住宅金融公庫と年金融資を利用されていますが、公庫融資に関しては返済額を増額して返済期間を短縮できる制度があります。年金融資の場合には、勤務先を通して借りているのか、各地の協会か、公庫を通しての融資かなどによって条件は違ってきますが、ここでは公庫と同じように増額による期間短縮が可能な場合を想定して試算してみましょう。
上のお子様の就職によって、毎月9万円ほどの貯蓄が可能になったようですから、そのうちの半分ぐらいまではローンの返済に回せそうですね。ただ、失礼ながらご主人のお年は45歳ですから、そろそろ老後への備えに関しても考えておく必要があります。現在の貯蓄が合計350 万円というのは寂しいですから、定年までにこれをできるだけ増やしておくことも大切です。そこで、毎月約1万円増額するパターン、毎月約3万円を増額するパターンで試算してみましょう。
まず約1万円の増額ということなら、下にあるように現在のローン返済期間を5年間短縮できます。いまのままでは残り32年ですから、これが27年になるわけです。これだと毎月の返済額は13万円弱です。注目していただきたいのは、毎月の返済額は増えますが、残りの総返済額は逆に減る点です。現在のままだと残り32年間の総返済額は約4656万円ですが、これが約4316万円に減少します。早く返済を終えることで、総返済額では340 万円以上トクできるわけです。
次に約3万円の増額であれば、返済期間を10年間短縮できます。現状では残り32年間なのが、22年間になります。ご主人は67歳になっているわけです。これなら60歳定年でも、その後再雇用制度などを利用して一定期間勤務できれば、老後の不安もかなり解消できそうです。しかも、残り22年間での総返済額は約3990万円に減少します。現状のまま返済を続けるのに比べると何と666 万円もトクするのです。約1万円の増額で期間を5年間短縮するのに比べると、トクする金額はほぼ2倍になります。
なお、このように返済期間を短縮した場合、将来いろんな事情で返済が厳しくなったときには、もとの返済期間に戻して、毎月の返済額を減らすことが可能になります。つまり、返済期間の短縮で総返済額を減らせると同時に、将来に対するリスクヘッジの役割も果してくれるという考え方もできます。ぜひ窓口になっている金融機関などで相談してみてください。
・マンション購入時の資金計画
購入価格4000万円 自己資金1000万円
融資の種類 |
借入額 |
金利 |
返済方法 |
毎月返済額 |
残りの総返済額 |
公庫基本融資 |
1570万円 |
2.50% |
35年 |
5万6126円 |
2444万9484円 |
公庫特別加算 |
1300万円 |
3.29% |
35年 |
5万2158円 |
2002万8672円 |
年金特別融資 |
130万円 |
3.55% |
35年 |
5410円 |
207万7440円 |
合計 |
3000万円 |
--- |
--- |
11万3694円 |
4655万5596円 |
|
借入残2843万円を
融資の種類 |
借入額 |
金利 |
返済方法 |
毎月返済額 |
残りの総返済額 |
公庫基本融資 |
1482万円 |
2.50% |
27年 |
6万2947円 |
2255万0508円 |
公庫特別加算 |
1237万円 |
3.29% |
27年 |
5万7663円 |
1868万2812円 |
年金特別融資 |
124万円 |
3.55% |
27年 |
5955円 |
192万9420円 |
合計 |
2843万円 |
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--- |
12万6565円 |
4316万2740円 |
|
融資の種類 |
借入額 |
金利 |
返済方法 |
毎月返済額 |
残りの総返済額 |
公庫基本融資 |
1482万円 |
2.50% |
22年 |
7万3038円 |
2071万4292円 |
公庫特別加算 |
1237万円 |
3.29% |
22年 |
6万5902円 |
1739万8128円 |
年金特別融資 |
124万円 |
3.55% |
22年 |
6774円 |
178万8336円 |
合計 |
2843万円 |
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--- |
14万5714円 |
3990万0756円 |
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