第2回:リボルビング払い


クレジットカードには、リボルビング払い(通称:リボ払い)というものがあります。支払い額を毎月一定にできる便利さや、「ポイント2倍」などのキャンペーンを行なうクレジットカード会社が多いことも手伝って、若者の間でも使用する人が増えています。

さて、果たしてこのサービスは本当に「便利でお得」なものなのでしょうか。 ここでは実際にあったリボルビング払いの相談事例から、気をつけるべき点は何なのかを学びたいと思います。

リボ払いの魅力を知った吉村さん

吉村さんは現在24歳のOLです。買い物好きな吉村さんは、いつもクレジットカードでお買い物をし、買い物の金額に応じて貯まったポイントで自分の好きな商品と交換するのを楽しみにしています。ただし、吉村さんの利用方法は必ず1回払い。分割払いにすると利息がつき、また毎月の請求額がどんどん増えてしまうのが嫌だったからです。

しかしそんなある日、前の月に引越しをしたばかりで、銀行にはお金があまり残っていません。10万円のテレビがどうしても欲しいのですが、来月に請求書が来ればたちまちピンチです。テレビを買おうかどうか悩んでいたところ、友達の鈴木さんから「リボルビング払い」という支払い方法を教えてもらいました。手数料は多少かかるけど、毎月支払う額が一定であることを聞いて、「これなら大丈夫だ!」と思いました。

さっそくクレジットカード会社に問い合わせを行いました。すると、なんと40万円まではいくら買い物をしても、毎月2万円の支払いでOKということが判明しました。「こんな便利な使い方があるなんて、なんと素晴らしいことでしょう」とすっかり吉村さんは嬉しくなりました。しかも、ポイントは2倍ももらえるため、今高いものを買わないと損だと思った吉村さんは10万円のテレビだけでなく、前から欲しかったバッグや洋服などをたくさん買い、大満足でした。

5ヶ月後の残高を聞いてびっくり!

それからというもの、吉村さんは気前よくお金を使い、テレビを含めてお買い物の合計額は40万円になっていました。さて5ヶ月たったある日、残りの金額はいくらぐらいだろうとふと思い、何気なく調べてみました。毎月2万円ずつ5ヶ月間、合計10万円を返済したので、大体残高は30万円ぐらいかなぁ、と思っていたところ、なんと!まだ残高が327,785円も残っています。つまり、支払った100,000円のうち、27,785円は利息に消えていたということになります。いったいなぜこのようになってしまったのでしょうか。慌ててファイナンシャルプランナーに相談し、計算をしてもらいました。

以下が支払いのシミュレーション結果です。

回数 支払年月 支払額 支払元金 利息 元本残額
1 2007年2月 20,000 14,017 5,983 385,983
2 2007年3月 20,000 14,227 5,773 371,756
3 2007年4月 20,000 14,440 5,560 357,316
4 2007年5月 20,000 14,656 5,344 342,660
5 2007年6月 20,000 14,875 5,125 327,785
(5回合計) 100,000 72,215 27,785 327,785
(途中省略)
23 2008年12月 20,000 19,432 568 18,562
24 2009年1月 18,839 18,562 277 0
(24回合計)   478,839 78,839  

内訳をみると、1回目の支払いの際には、2万円のうちの実に約30%に当たる5,983円が利息として支払われていることがわかります。その後も割合は少なくなってくるものの、最初の5回目までの支払いでは支払い額のうちの25%以上を金利として支払っていた計算になります。

このまま支払っていくと、支払総額は約478,839円。利息の合計が78,839円ですので、更に78,839円-27,785円=51,054円の利息を支払わなければなりません。

吉村さんは、こんなに利息がつくとは思ってもいませんでした。結局吉村さんはこの後の利息のことを考え、泣く泣く残金327,785円をボーナスで一括返済しました。

そもそもリボルビング払いは分割払いとどう違うの?

リボルビング払いと分割払いの違いを理解する上で、まずはクレジットカードの支払方法をおさえておきましょう。クレジットカードの支払い方法には、大きく分けて「一括払い」「分割払い」「リボルビング払い」の3つの方法があります。

1.翌月一括払い

クレジットカードを利用される方で一番多く使われている方法がこの一括払いです。一括で支払った場合は、利子はつかずに翌月払いとなります。利息や手数料は不要で、かつポイントも貯まってオトクなので、ほとんどの利用者がこの翌月一括払いを選択しています。ちなみに「ボーナス一括払い」或いは「2回払い」は、翌月一括払いと同様に利息や手数料はかからないのが一般的です。

2.分割払い

クレジットカードによる利用額を、3~36回などカード会社が定める回数の範囲で分割して月々支払っていく方法です。分割回数が多くなるほど、金利(分割手数料)が大きくなります。

3.リボルビング払い

利用金額・利用件数に関係なく、月々の支払金額を一定に設定して支払っていく方法です。利用者は毎月一定の金額を支払いさえすればその返済が終わっていなくても、一定限度の額までなら繰り返し融資を受けられるため、このことから「リボルビング(日本語で「回転」)」という名前がついています。

分割払いとの一番の違いは、支払回数を指定するのではなく、月々の支払額を定める点にあります。例えば分割払いの場合、同じカードで返済が終了する前に買い物をした場合には、今までの返済額に加えて新たに利用した分の返済額を返済しなければなりません。 その点、リボルビング払いは限度額以内であれば別途利用しても返済額が定額となります。 ただし、その代わりに返済期間は長くなるため、長期間になればなるほど利息の負担が大きくなるため、支払い総額も増えていきます。

利用する前にしっかりと仕組みを理解しましょう

リボルビング払いは、決められた利用限度額内であればいくらでも買い足すことができる反面、分割払いに比べて支払い終了月がわかりにくい面があります。また利用限度額内であれば、いくら使っても毎月の支払い額が一定のため、金利を支払っている感覚が希薄になりやすく、いくら借りているかを把握していないと借りすぎに陥ってしまう恐れがあります。

まず、リボ払いを利用する際には、以上申し上げたとおりの注意点については必ず知っておく必要があります。また、自分の借りた額と返済終了の時期については、しっかりと管理をしておくようにしましょう。

執筆:坂本光(さかもと ひかる)CFP
一級ファイナンシャルプランナー・CFP®、心理カウンセラー。2006年5月週末起業を決意し、通信事業者に勤務しながら合同会社FPアウトソーシング代表を務める。ファイナンシャルプランニングに関する個別相談・セミナー講師としても活動中。

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