節約・ライフプラン

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社会保障の落とし穴

第5回:無年金者の記録訂正で、13年目に受給資格を取り戻す!
〜 新聞掲載内容から疑問を考える

「生きているうちに年金が受給できてよかった!」と思わず、新聞記事に見入ってしまいました。納付月数がたった1月不足で厚生年金が受給できなかった男性(73歳・以下Aさん)が、過去に働いた期間が3ヶ月見つかり年金が受給できるようになったニュース(平成20年7月22日・毎日新聞)を見つけたからです。

今回は、新聞記事から読み取れる内容をまとめつつ、でもちょっと不思議だなと思うことについてお話しましょう。

13年分の年金は一時金で1184万円、これからの年金91万1,100円

無年金だったAさんはが受給できる年金額は、60歳から受給できた13年分の合計額を一時金で約1,184万円、これからは約91万の年金を生涯受給できます。

<60歳から72歳までの13年分を一時金で受給>

▼73歳より生涯受給

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※年金額\は平成20年度価格で試算

※年金給付時効特例法

年金給付時効特例法

Aさんの年金加入歴と年金の受給資格

厚生年金の受給資格は、原則25年以上必要です。但し、昭和27年4月1日以前生まれの人は原則20年の加入(下表参照)で60歳からもらえます。現在73歳の人は20年(240ヶ月)でもらえましたが、Aさんは年金の受給資格に1ヶ月不足でもらえなかったのです。

■ 厚生年金だけの受給資格

生年月日 原則加入年数
昭和22年4月1日以前生まれ 20年
昭和22年4月2日〜昭和27年4月1日
昭和27年4月2日〜昭和31年4月1日 21年〜24年
昭和31年4月2日以降生まれ 25年

※中高年者・男性40歳以上(女性35歳)は15年〜19年の特例がある

<Aさんの年金加入歴など>

Aさんの年金加入歴など

新聞によると、Aさんが手続きの申請のため社会保険事務所を訪れたのは65歳のときです。当時の窓口の人は氏名の読みを変えて探すなど細かい調査はしてくれませんでした。

Aさんの場合、幸なことに、昔大手生命保険会社に勤めていたことを、弟が思いだし再調査の結果、納付月数3ヶ月分が発見できました。氏名の読みが誤って入力されていたそうです。

昭和54年以後厚生年金記録の氏名は、漢字からカタカナに変更され、社会保険事務所の入力ミスや転記ミスなどでいわゆる「宙に浮いた年金」が発生したようです。

ちょっと疑問ですが・・・ Aさんのケースの場合

社会保険庁のミスでもらえなかった年金なのに、過去分の年金額にプラスアルファがないのが一番の不思議!その他は以下のとおり・・

73歳のAさんと相談先の社会保険事務所のやりとりから素朴な疑問が湧いてきました。

そもそも本来なら60歳から年金をもらえるAさんが、なぜ65歳で社会保険事務所に行ったのでしょう。65歳のとき1ヶ月納付記録が不足すると言われて、なぜ今からできる対策を質問しなかったのでしょう。社会保険事務所の人はAさんに対策を教えなかったのでしょうか。

もし、3ヶ月発見できなくてもたった1ヶ月不足ですから対策はあったはずです。
当時、考えられた対策は以下のとおりです。

年金加入歴は、あなたの人生の歴史です 〜平成21年度はねんきん定期便復活

社会保険庁のずさんな年金管理に憤りを覚えますが、自分を守るために私たちも年金の知識を持つことは大切です。せめて何歳からどんな年金を受給できるのか、何年加入すれば受給資格ができるのかくらいは知っておきましょう。

平成20年10月までにすべての人に年金加入歴をお知らせする「ねんきん特別便」が送付されます。平成21年4月からすべての人に加入期間と年金見込額などをお知らせする「ねんきん定期便」の送付が復活します。じっくり自分の過去の歴史を確認しておきましょう。 これからは、知らなかったという言い訳は通用しなくなりそうです。

執筆:音川敏枝(ファイナンシャルプランナー)CFP®
ファイナンシャルプランナー(CFP)、社会保険労務士、DCアドバイザー、社会福祉士。
仲間8名で女性の視点からのライフプランテキスト作成後、FPとして独立。金融機関や行政・企業等で、女性の視点からのライフプランセミナーや年金セミナー、お金に関する個人相談、成年後見制度の相談を実施。日経新聞にコラム「社会保障ミステリー」、読売新聞に「音川敏枝の家計塾」を連載中。 主な著書に、『離婚でソンをしないための女のお金BOOK』(主婦と生活社)、『年金計算トレーニングBOOK』(ビジネス教育出版社)、『女性のみなさまお待たせしました できるゾ離婚 やるゾ年金分割』(日本法令)。
HP: http://cyottoiwasete.jp/
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