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長らくマイホーム関連の不動産会社、金融機関、そして実際にマイホームを買われた一般の方々など、多方面の取材に携わってきた経験を生かして本音でお答えします。効率的なマイホームの頭金づくりから、ローン破綻に陥らないローンの組み方、少しでもトクする返済方法まで何でもご質問ください。 |
■ご相談者 |
■アドバイス |
「住宅取得資金贈与の特例」は、贈与を受けた金額のうち550万円までは非課税に、1500万円までは低率課税になる制度。柳田さんのように550万円の贈与を受ける場合には、通常の贈与だと67万円の贈与税がかかるのが、特例の適用を受ければ税金はゼロになるわけです。特例を受けるには、下にあるような条件を満たす必要がありますが、専有面積77m2の新築マンションを購入する柳田さんの場合には、まず問題はありません。年収を気にされているようですが、贈与を受けるのは奥様ですから、柳田さんの年収は問題とはなりません。もしも、柳田さんが奥様のご両親から贈与を受ける場合には、この特例を利用することはできません。あくまでも自分の親または祖父母からの贈与が対象であり、配偶者の両親や祖父母からの贈与は対象外なのです。 ですから、奥様が贈与を受ける550万円に関しては、奥様の持ち分として共有名義にする必要があります。貯蓄の350万円がご主人の名義である場合には、ローンの5100万円+350万円の5450万円がご主人の持ち分で、奥様が贈与を受ける550万円を奥様の持ち分として登記するわけです。ほぼ10対1の持ち分比率にすれば問題ないでしょう。これをすべてご主人の名義にしてしまうと、550万円は奥様のご両親からご主人に贈与されたものとして、贈与税の課税対象にされてしまいます。繰り返しますが、配偶者の親からの贈与は特例の対象にはならないのです。 次にローンの問題ですが、現在のような金利水準で、中長期的な視点からみると金利上昇が予測されるような環境では、固定期間の長いローンのなかから、できるだけ金利の低いローンを見つけて利用することをお薦めします。金利水準だけをみると、固定金利選択型3年ものの1%のキャンペーン商品がありますが、これはリスクが大きすぎるように思います。下にあるように、35年返済で借りた場合、3年が経過したときの適用金利が4%にアップしたときには、返済額が5割以上も増えてしまいます。今後の金利情勢しだいでは、十分にあり得る金利だと思います。 ただ、この金利上昇リスクは、返済期間を短くすることで小さくすることができます。たとえば、20年返済なら,3年後に金利が4%になっていたとしても、増額幅は3割以下にとどまります。柳田さんの年収なら毎月23万円強の返済でも十分にやっていけるでしょうから、固定期間の短い金利タイプを利用するときには、できるだけ返済期間を短くすることをお薦めします。もちろん、10年返済にすれば3年後に金利が4%になったときの増額幅は1割程度にとどまりますが、この場合には毎月返済額が45万円近くに達してしまうので、年収1300万円の柳田さんでもちょっと難しいかもしれません。 金利上昇リスクを考慮すると、多少金利は高くなりますが、固定期間が10年以上のローンを利用するのが安心だと思います。候補としては、JAの「JAあんしん計画」(当初10年間は2.9%、11年目以降3.45%)、城南信金の「超固定」(当初10年間2.8%、11年目以降 3.6%)、住宅金融公庫(当初10年間3.0%、11年目以降3.55%)などが候補としてあげられます。さらに、年収の高い柳田さんなら返済期間を20年程度に短縮できるでしょうから、最長20年まで完全な固定金利型の三井住友銀行の2.98%のローンでもいいかもしれません。いずれも、当初から完済までの金利が決まっていますから、金利が上昇してもまずは安心です。 ただ、年収の高い柳田さんの場合には、多少の金利上昇リスクを負うことができるでしょうから、東京三菱銀行の固定金利選択型10年の2.2%のキャンペーン金利を利用する方法も考えられます。11年目以降の金利がどうなるのかはまったく読めないというリスクがあるのですが、金利が低い分返済額が少なくなるわけですから、それを貯蓄に回してできるだけ繰り上げ返済していけば、リスクをかなり抑制することができるでしょう。 注意しておきたいのは、民間ローンは融資実行時の金利が適用されるという点。柳田さんの場合には、完成が来年の9月で、融資の実行を受けるのは10月以降になると思います。そのときに、金利がいまより上がっていると、適用金利もアップしてしまうわけです。これに対して、住宅金融公庫だけは申込み日の金利が適用されます。現在の3.0%の金利で申し込んでいれば、来年の10月に金利が4%、5%になっていても3.0%で利用できるわけです。もしもこの1年間で大幅に金利が上がりそうだとみるならば、若干金利が高くても住宅金融公庫のローンを利用するのが堅実な選択といえるかもしれません。
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