節約・ライフプラン

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節約マネーコラム

第61回:パートの心得、収入面だけでなくライフプラン面という視点も大切!(2008年5月)

「貯蓄をもっと増やしたい」「教育費のために収入を増やしたい」−そんな思いから、家計のやりくりをする中で、パートに出ることを検討するご家庭も多いかと思います。一般に、家計の収支改善を図る上で、パート収入は大きな効果を発揮します。

一方で、「パートに出ると夫の税金が高くなるのでは?」「健康保険料を自分で払わないといけなくなるのでは?」−そんな疑問がふと思い浮かび、パート収入に魅力を感じつつ、税金や社会保険料などの負担が増えることを心配されている方も多いのではないでしょうか?

そこで今回は、妻がパートに出た場合、世帯収入にどのような影響があるのか、また具体的なチェックポイントなども含めて解説したいと思います。

妻がパートに出ると、何が変わる可能性があるの?

<妻の年収と税金及び社会保険(医療・年金)の関係>

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税金が増えることも・・・

まず、妻がパートに出た場合、「妻の税額」と「夫の税額」の両方が増える可能性があります。

パート収入は、所得税と住民税の課税対象であり、妻がパート収入を給与所得として受け取ると、所得税では年収103万円以下、住民税では年収98万円以下であれば非課税ですが、それを超えると課税が生じます(パート収入以外に収入がない場合)。

また、夫の収入に対する所得税・住民税の税額計算の際に、妻の年収が一定金額以内であれば、「配偶者控除」あるいは「配偶者特別控除」という所得控除が適用され、夫の課税総所得が減り、税額も少なくなりますが、一方でパート収入額によっては、所得控除の金額が減少し、夫の税額が以前より増えることもあります。

社会保険料が新たに生じる可能性が・・・

次に、妻がパートに出た場合、妻の社会保険料(医療・年金)の負担が新たに生じる可能性があります。

夫がサラリーマンや公務員の場合、妻の年収が130万円未満(60歳以上または障害者の場合は180万円)であるなど一定要件を満たすと、妻は夫の社会保険の「扶養家族」となり、保険料の負担なく保険給付サービスを受けることができます。その一方で、妻がパートに出て年収が130万円を超えると、夫の「扶養家族」から外れ、ご自身で社会保険に加入し、保険料を負担することになります。

夫の手当て、雇用保険料、保育園の費用などにもご注意を・・・

以上のように、妻がパートに出た場合、税金や社会保険料(医療・年金)の負担が新たに生じる可能性がありますが、それ以外にもいくつか注意すべき点があります。以下の点は、意外と見過されがちですが、パートを検討する際にはきちんと確認しましょう。

夫の手当て 現在、夫の収入に「配偶者手当」等の手当てが加算されている場合、パート収入額によっては手当てがなくなる場合があります。
雇用保険料 一般に週20時間以上労働し、1年以上継続雇用が見込まれる場合には、雇用保険の被保険者となり「雇用保険料」の負担が生じます。
保育園の費用 パートに出ることで子供を保育園等に預ける必要がある場合には、園費が発生します。また、保育園によっては、世帯収入に応じて園費が異なる場合があり、パート収入が増えることで、園費の負担が増える可能性があります。
公団住宅の家賃 公団住宅の家賃も、世帯収入に応じて異なる場合があり、家賃が値上がりする可能性があります。

妻がパートに出るときの具体的なチェックポイントは?

これまで見てきたように、妻がパートに出た場合、収入面や家計面などに影響することがいくつかありますが、ここからは具体的な事例を見ながら、チェックポイントをご紹介します。

<Aさん一家のプロフィール>
夫:35歳、民間企業に勤務(医療保険は健康保険、年金保険は厚生年金保険に加入)
  年収500万円(月収312,500円、賞与夏冬各625,000円)
妻:33歳、主婦
子:7歳
※現在専業主婦の妻は、時給1,000円でパートに出ようか悩んでいる。

ここでは、現在専業主婦である妻がパートに出た場合、世帯の手取り収入がどのように変化するのかを見るために、Aさん一家(上記プロフィール)について具体的に試算してみました。妻のパート収入によって、Aさん一家の世帯の手取り収入はどのように変わってくるのでしょうか?

<Aさん一家の妻のパート収入と家計の手取りの変化について>

<Aさん一家の妻のパート収入と家計の税金・社会保険料の変化について>

パート収入が年間98万円以下なら、全て手元に入り、世帯の手取り収入もその分増える

Aさん一家の場合、妻のパート収入が年間98万円以内であれば(上記表のNo2からNo4のケース)、税金も社会保険料も一切引かれることなく、パート収入が全て手元(家計)に入ります。また、夫の手取りにも影響が出ませんので、世帯の手取り収入はパート収入分だけ確実に増えることになります。

パート収入が年間130万円未満なら、世帯の手取り収入は増えるが、家計の税額には注意

次に、妻のパート収入が年間98万円を超えると(上記表のNo5からNo10のケース)、課税が生じ始め、パート収入から税金が差し引かれるようになります。そして、週の労働時間が20時間を超えるため、雇用保険料も差し引かれるようになります。また、夫については、「配偶者控除」や「配偶者特別控除」の適用額が変化することで、税額が増加し、手取りが若干減少します。ただし、世帯全体で見ると、パート収入が年間130万円未満までは、着実に世帯の手取り収入が増えて行くので、家計全体としては大きな問題はありません。

パート収入が年間130万円前後で、世帯の手取り収入の逆転現象が起こる

ところが、妻のパート収入が年間130万円前後を超えると(上記表のNo7とNo8のケースを比較)、妻の年収が多いにも関わらず、世帯の手取り収入が減少してしまう逆転現象が起こります。この主な原因は、パート収入が130万円超となったため、夫の扶養家族から外れ、それまで自己負担せずにすんでいた妻の社会保険料(医療・年金)について、別途負担することが必要となり、その支出分が大きく膨らんだためです。なお、この逆転現象が起こる収入ゾーンを過ぎると、世帯の手取り収入は再び増えていくことになります。

妻がパートに出るときの世帯の手取り収入のチェックポイント
1 月々(年間)いくら世帯の手取り収入を増やしたいのかなど、パートに出る目標を予め明確にし、それにあわせてプランニングすることが重要です。
2 夫の年収や手当ての適用基準等により異なりますが、一般にパートで世帯の手取り収入の逆転現象が起こるのは、妻の年収が130万円から160万円の間が多いと言われています。
3 世帯の手取り収入を大きく増やすことを目標とするなら、世帯の手取り収入の逆転現象が起こる可能性のある収入ゾーンを一気に超えるのも一つの考え方です。

事例2:ライフプラン全体で損得を考えてみよう!

以上のように、妻がパートに出た場合、世帯の手取り収入だけで考えるなら、逆転現象が起こる収入ゾーンをうまく避けて働くというのが賢明と言えそうです。実際、夫の扶養家族から外れ、社会保険料(医療・年金)をご自身で負担することに抵抗を持たれている方もいらっしゃるかと思います。しかしながら、こうした社会保険に自ら加入することで、目先の手取りには現れない将来的な効果を期待することもできます。

厚生年金に加入すれば将来の年金が増える・・・

例えば、パート先で厚生年金の加入が適用されるという場合、将来、妻が受け取る年金額が増える可能性があります。また、厚生年金の場合は、保険料の半分は会社負担となりますので、自己負担面でもメリットがあります。ここで、先ほどのAさん一家のケース(上記表のNo8〜No10)で、将来の厚生年金を簡単に試算してみると以下のようになります。

<Aさん一家の妻の将来受け取れる厚生年金の試算例>

No 加入期間5年の場合 加入期間10年の場合 加入期間15年の場合
65歳以降
の厚生年金
年額
平均余命
87歳までの
受取総額
65歳以降
の厚生年金
年額
平均余命
87歳までの
受取総額
65歳以降
の厚生年金
年額
平均余命
87歳までの
受取総額
8 41,500 913,000 83,000 1,826,000 124,400 2,736,800
9 47,100 1,036,200 94,200 2,072,400 141,300 3,108,600
10 49,900 1,097,800 99,800 2,195,600 149,700 3,293,400

現在、平均寿命は伸びる傾向にありますから、ライフプラン上において生きている限り受け取れる公的年金額が増えることは、退職後の生活を考えても、とても有効と言えるのではないでしょうか?

雇用保険加入で、失業手当や教育訓練給付などが受けられる・・・

妻がパートに出て、一定の条件を満たした場合、パートでも雇用保険に加入することになり、雇用保険料を負担します(前述のAさん一家の場合では、上記表の No5〜No10のケース)。これによって、失業した際には「失業手当」が受けられたり、また加入期間が3年以上になるとスキルアップを支援する「教育訓練給付」が受けられたりするなどのメリットがあります。

パートをライフプランという長期的な視点で捉えてみると・・・

一般的にパートは、世帯収入を増やすために短期的な視点で始められる方が多いですが、今後の高齢化社会において収入面でより安心して暮らすために、パートをライフプランという長期的な視点で捉えてみるのもよいのではないでしょうか?

2008年4月の改正パートタイム労働法の施行により、以前に比べてパートタイムの労働環境が改善される方向性にあります。そのため、パートの際の会社選びやスキルアップ次第では、「パートから正社員へ」という道もあり、月々の世帯収入を増やす以上のメリットが得られる可能性もあります。

妻がパートに出るときのライフプラン上のチェックポイント
1 パート先を選ぶ際に、社会保険の適用事業所かどうか、また、ご自身の勤務形態(勤務日数や勤務時間等)で適用されるかどうかを確認することが大切です。
2 健康保険と厚生年金保険については、以下の条件を全て満たす者は、パートタイマー等であっても原則として、被保険者となります。(適用事業所において)
・1日又は1週間の労働時間が正社員の概ね3/4以上であること
・1ヶ月の労働日数が正社員の概ね3/4以上であること
3 パートで厚生年金保険に加入できた場合、老後に受け取れる年金を増やすことができます。(今の世帯収入だけでなく、将来の世帯収入も増やすことができる)
4 会社選びやスキルアップ次第では、パートから正社員へという道もあり、ライフプラン上においてさらなる可能性が広がります。
2008年5月
ファイナンシャル・プランナー(CFP®)
杉田ゆみか
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