節約・ライフプラン

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節約マネーコラム

第55回:似たような感じもするけれど、投資信託と変額年金の違いは?(2007年11月)

変額年金は、近年、投資信託と並び、私たちに身近な金融商品になってきています。 こうした中、『変額年金は、運用面で投資信託を使うと聞きますが、投資信託とどのように違うのかわかりません!』という声や、 『どちらも長期投資に向いた商品とのことですが、どのように使い分けたらいいのでしょう?』と言った声を多く耳にするようになりました。

そこで、今回は、「投資信託と変額年金の違い」をテーマに、2つの商品の違いや活用のポイントについて解説したいと思います。

投資信託ってなに? 変額年金ってなに?

最初に、投資信託と変額年金の仕組みを確認してみましょう。

投資信託とは?

投資信託は、複数の投資家から集めたお金をひとまとめ(これを「ファンド」と呼ぶ)にし、 専門家が運用します。そして、利益(利子・配当・値上がり益など)が発生すれば、それを持分に応じて投資家 に分配し、逆に損失が発生すれば、それを持分に応じて投資家が負担する仕組みになっています。

現在、2,000本以上の投資信託が設定されており、株・債券・不動産など、どのような投資対象に投資 するかは投資信託ごとに異なります。リスクの小さな資産で運用する投資信託もありますが、 原則、どの投資信託も元本保証ではありません。

変額年金とは?

変額年金は、最近では「投資型年金」とも呼ばれていますが、その正式名称は「変額個人年金保険」です。 名称のとおり保険商品であり、生命保険会社により設定される商品です。皆様の中には、定額年金保険に加入している方も いらっしゃると思いますが、変額年金も定額年金と同様、次のような特徴を持ちます。

(1)将来年金を受け取ることができる ※1
(2)受取開始前に被保険者が死亡した場合には、払い込んだ保険料を死亡保険金として受け取ることができる ※2
※1.年金は一時金で受け取ることもできます。
※2.払込保険料以上の死亡保険金が給付される商品もあります。

ただし、定額年金は、契約の時点で将来の受取額が決まっているのに対して、変額年金は、 将来の受取額が契約時点では決まっていません。というのは、定額年金は「一般勘定」という予定利率が決 められている勘定で運用されるのに対して、変額年金は「特別勘定」という運用成果に応じて将来受け取る 年金額や解約返戻金などが変化する勘定で運用されるからです。

なお、変額年金の場合には、特別勘定において投資信託(以後、特別勘定における投資信託を 「ファンド」と呼びます)が準備されています。この準備されるファンド数は、商品ごとに異なり、ファンド群の中から、 どのファンドで運用するかを契約者自身が決定します。 ※3
※3.選択するファンドが保険会社により定められている変額年金もあります。

そのため、選んだファンドの運用成績がよければ、将来受け取る年金額も多くなりますが、 一方で運用成績が悪ければ、将来受け取る年金額が少なくなり、場合によっては、払い込み保険料を下回る可能性もあります。※4
※4.元本や年金原資を保証するタイプの変額年金もあります。

投資信託と変額年金の違いは

このように、投資信託も変額年金も将来の受取額が運用成果に応じて決まるリスク商品であり、また変額年金は 特別勘定において投資信託で運用するので、「資産を投資信託で運用する」という点も共通しています。では、投資信託と変額年金は、 どのような点が異なるのでしょうか?

投資信託と変額年金の違いは、「コスト面」と「税金面」に大きく現れます。ここでは、この2つの違いを説明した後、 その他の違いについても簡単に説明したいと思います。

コスト面について

投資信託と変額年金にかかる主なコストは、以下のとおりです。

▼購入時・加入時のコスト

投資信託には、購入時に「販売(申込)手数料」がかかります。一方で、変額年金には、 「契約初期費用」がかかる場合があります。投資信託の中には販売手数料のかからない ノーロードファンドもあり、また変額年金の中には契約初期費用がかからないものもあります。 なお、初期費用のかからならない商品は、運用中のコストや解約控除などが割高になっている場合もありますので、 購入前にトータルコストで比較することが大切です。

▼運用中(積立中・据置中)のコスト

投資信託には、運用に対する報酬としての「信託報酬」や、 有価証券売買手数料や監査費用等の「その他費用」がかかります。一方で、変額年金には、 保険料の積立中・据置中に「運用関連費用」がかかります。この運用関連費用には、 選択したファンドの信託報酬等も含まれます。また、変額年金の場合、死亡保障など の保障機能がついていることから、運用関連費用に加えて「保険関連費用」がかかる ことが大きな特徴です。これは、契約維持のための費用や保険金支払いのための費用で、 投資信託にはないコストです。

▼売却時・解約時のコスト

投資信託を売却(解約)する際には、「信託財産留保額」がかかる場合があります※5。一方で、変額年金の場合、早期に解約すると「解約控除」が発生するのが一般的です※6。 ※5.信託財産留保額がかからない投資信託もあります。 ※6.解約控除がかからない変額年金もあります。

<表1: 投資信託と変額年金のコスト比較>

  投資信託 目安 変額年金 認定基準
購入時・加入時 販売(申込)手数料
(かからない場合もある)
0%〜3%程度 契約初期費用
(かからない場合もある)
保険料に対して3%〜5%程度
運用中・積立中 信託報酬+その他費用 信託報酬=純資産総額に対して0.3%〜2%程度 運用関連費用 各ファンドの純資産総額に対して0.05%〜2%程度
保険関連費用 ? 資産額に対して1%〜3%程度
契約管理手数料
(かからない場合もある)
資産額が少ない場合、年間数千円程度
乗り換え時 販売(申込)手数料
(かからない場合もある)
0%〜3%程度 一定の乗り換え回数までは無料のことが多い
年金受取時 年金管理手数料
(かからない場合もある)
年金額に対して1%程度
売却時・解約時 信託財産留保額
(かからない場合もある)
1口あたり、基準価額に対して0%〜0.3%程度 解約控除
(かからない場合もある)
基本保険金額に対して3%〜10%程度

税金面について

投資信託と変額年金では、税金面での扱いが大きく異なります。主な違いは以下のとおりです。

▼払い込み保険料・運用金額に対して

変額年金の払い込み保険料は、「一般の生命保険料控除」という所得控除の対象となります※7。
控除額は最大5万円で、これにより所得税や住民税が軽減されます。一方で、投資信託についてはこのような所得控除はありません。
※7.積み立て型の変額年金保険で、一定の要件を満たすものは個人年金保険料の対象となります。

▼運用期間中の収益分配等に対して

投資信託の分配金に対する課税は、都度20%の源泉分離課税となります※8。一方で、変額年金の場合、ファンドの分配金に対する課税は、解約時または年金受け取り時まで繰り延べされます。また、ファンド乗り換え時の運用収益に対しても非課税となっています。
※8.普通分配金の場合です。また、公募株式投資信託の場合、2009年3月まで10%に軽減されています。

▼相続時の課税関係

相続時において、変額年金の死亡保険金には他の生命保険金と合算して「500万円×法定相続人数」の生命保険非課税枠が適用されます※9。また、年金受取開始後に相続が発生した場合には、相続税法第24条「年金受給権の評価方法」が適用されます。そのため、変額年金の活用により、相続財産の圧縮が期待できます※10。なお、投資信託については、相続時の税制優遇はありません。
※9.死亡保険金を一時金で受け取る場合です。年金受取にする場合には、「年金受給権の評価」が適用されます。
※10.相続の際、一括受取を選択する場合には、相続税法24条の適用はありません。

<表2 :投資信託と変額年金の税金比較>

  投資信託 変額年金 
購入時 販売(申込)手数料は消費税の対象 保険料は消費税の対象外
払込保険料・運用金額
に対して
優遇なし 通常、一般の生命保険料控除の対象※7
運用期間中における
収益分配に対して
都度20%の源泉分離課税※8 年金受取時・解約時まで繰り延べ
乗り換え時 収益に対して20%の源泉分離課税※11 年金受取時・解約時まで繰り延べ
解約時・売却時 収益に対して20%の源泉分離課税※11 【契約後5年経過超の場合】
「(解約返戻金−総払込保険料−特別控除50万円)×1/2」が一時所得として総合課税
【契約後5年未満の場合】
利益の20%に対して源泉分離課税
相続時(受取人が法定相続人の場合) 優遇なし 死亡保険金には生命保険非課税枠が適用※9
受取中の年金に対しては「相続税法第24条」が適用※10

※11 公募株式投資信託の場合、買い取り請求の場合2008年12月まで、解約請求の場合2009年3月まで10%に軽減されています。

その他について

▼破綻時の取り扱い

投資信託と変額年金では、破綻時の取り扱いが異なります。投資信託の運営にあたっては、販売会社・運用会社・受託会社の3つの機関が関わっていますが(表3参照)、いずれの機関が破綻した際にも投資信託の財産額は影響を受けません。ただし、投資した金額が保証されるわけではなく、その時の時価での保護となりますのでご注意ください。

<表3:投資信託の運営に関わる3つの機関>

販売会社 投資信託の募集や申し込み・解約手続きの受付などを行う
投資信託委託会社 運用方針の決定、運用の指示、目論見書の発行などを行う
受託銀行(信託銀行) 投資家から集めた資金の保管や管理、投資信託委託会社の指図にもとづき株式や債券の売買などを行う

一方で、変額年金の場合、他の生命保険と同様に「生命保険契約者保護機構」の対象になり、変額年金を設定している保険会社が破綻した際には、将来の支払いのために保険会社が積み立てておく「責任準備金」の9割までが補償されます(100%の補償ではない)。また、破綻時には、責任準備金の削減や、早期解約控除などの措置がとられることもあります。

▼最低購入金額

投資信託の最低購入金額は1万円以上、または10万円以上の商品が多いようです。変額年金の場合、最低購入金額は、例えば50万円以上など、投資信託に比べて高額の商品が一般的です。また、変額年金は一時払いの商品が多いという特徴もあります。

投資信託と変額年金の活用のポイント

ここまで、投資信託と変額年金の違いを見てきました。項目ごとに比較してみた場合、 どちらが有利か判断できそうですが、総合的に考えてみると判断するのが意外と難しそうです。そこで、 ここでは、各商品の活用のポイントをいくつかご紹介してみたいと思います。

運用期間で考えるなら・・・

投資信託も変額年金も元本保証のないリスク性商品ですから長期運用が原則です。 特に変額年金については、早期に解約すると解約控除が発生する場合があります※6。例えば、 ある商品の場合、解約控除は以下の表のように計算されます。

<解約返戻金計算の一例>

契約日からの
経過年数

1年
以内
1年超
2年以内
2年超
3年以内
3年超
4年以内
4年超
5年以内
5年超
6年以内
6年超
7年以内

解約控除率

7%
6%
5%
4%
3%
2%
1%

解約返戻金=解約計算基準日の積立金額−解約控除額、解約控除額=基本保険金額×解約控除率

<保険金額(一時払保険料)1,000万円の場合の運用利回りと解約控除の関係(単位:万円)>

経過年 0 1 2 3 4 5 6 7
解約控除 70 60 50 40 30 20 10 0
積立金(コスト控除後年利回り) 1% 1,000 1,010 1,020 1,030 1,041 1,051 1,062 1,072
2% 1,000 1,020 1,040 1,061 1,082 1,104 1,126 1,149
3% 1,000 1,030 1,061 1,093 1,126 1,159 1,194 1,230
4% 1,000 1,040 1,082 1,125 1,170 1,217 1,265 1,316
5% 1,000 1,050 1,103 1,158 1,216 1,276 1,340 1,407
解約返戻金 1% 930 950 970 990 1,011 1,031 1,052 1,072
2% 930 960 990 1,021 1,052 1,084 1,116 1,149
3% 930 970 1,011 1,053 1,096 1,139 1,184 1,230
4% 930 980 1,032 1,085 1,140 1,197 1,255 1,316
5% 930 990 1,053 1,118 1,186 1,256 1,330 1,407

このように、変額年金は早期に解約すると、解約控除が高額となる場合があります。一方で、投資信託は解約時に信託財産留保額が発生する場合でも、その金額はさほど大きくありません。こうしたことから、投資信託は中長期運用に、変額年金は長期運用に適しているといえます。

受け取り方法で考えるなら・・・

変額年金の収益分配への課税は、年金受取時まで繰り延べられるため、分配金の複利効果を期待できます。「運用期間中、分配金は不要。効率的に資産形成したい」と言う場合には、複利効果を享受すべく、変額年金を活用するのもいいかもしれません。一方で、「分配金を毎月の生活費の足しに」との希望がある場合には、投資信託で都度分配金を受け取れるタイプの商品が適していると言えます。

また、変額年金は年金受取が可能ですが、投資信託はご自身で必要な時に解約手続きをして換金する必要があります。こうした受け取り方法を比較して、自分に適した方を選ぶというのもよいと思います。

保障が必要なら、下方リスクをヘッジしたいなら・・・

変額年金の場合、死亡の際に最低でも払込保険料相当の死亡給付を保障している商品が一般的です。また、災害割り増し特約と言った特約が付加できるタイプもあり、保障が必要な場合には変額年金が適していると言えます。最近は、払込保険料相当額の年金原資を保証するタイプの変額年金が多く発売されており、下方リスクをヘッジしながらリターンも追及したいという場合には、こうしたタイプの商品を活用するのも良いでしょう。

Bさんは、脳梗塞で倒れ、右半身麻痺と軽度の失語障害の後遺症が残り、「要介護2」の認定を受けました。これまでBさんの娘が身の回りの世話をしていましたが、この度娘がパートに出る事になりました。Bさんは、ケアマネジャーと相談し、娘が働きに出る週3回、施設で食事・入浴等の日常生活の支援やリハビリテーションを行ってくれる「(1)通所介護(デイサービス)」を利用することにしました。また、友人の結婚式のために娘が2日ほど家を空ける間、「(2) 短期入所生活介護(ショートステイ)」を利用することにしました。

ただし、保障機能がある分、また年金原資を保証する分、コストも割高になることをきちんと認識しておくことが大切です。

保障が必要なら、下方リスクをヘッジしたいなら・・・

「コストはできる限り安く」「保障はいらない。運用に特化した活用を行いたい」という場合には、投資信託が適していると言えます。ただし、投資信託と一言で言っても、種類はさまざまですので、コストをきちんと比較し、ご自身にあった投資信託を選択することが大切です。

相続を意識した運用を行いたいなら・・・

変額年金には、さまざまな税制優遇措置があり、特に相続時には相続財産を圧縮する効果を期待できます。また、変額年金では、遺族年金等の受取人を指名することもできます。そのため、変額年金は相続を意識した運用を行いたい方に適した商品であるといえます。

まとめ

以上、見てきたように、投資信託と変額年金は一概にどちらが良いと結論づけることはできませんが、変額年金には税制面で有利な点や、年金を受け取るタイミングが明確であり収支管理に優れた点がある一方、手数料が高いということが言えるのではないでしょうか? こうした投資信託と変額年金の特徴をよく理解し、ご自身のニーズを明確にした上で総合的に判断することが大切といえます。最後に、税法は改正の可能性があることに注意し、相続対策のために変額年金の活用を考える場合には、専門家と相談し慎重に検討することが必要です。

ファイナンシャル・プランナー(CFP®)
杉田ゆみか

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