節約・ライフプラン

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節約マネーコラム

第51回:資産運用の基本、新聞の経済情報を読むポイントは?(2007年7月)

貯蓄から投資へ」と個人マネーの流れが変わり、資産運用が身近になる中、日常生活においても、経済情勢やマーケット動向に関心を持つ人が増えてきています。

経済情勢やマーケット動向をチェックする一番の基本は新聞ですが、新聞に盛り込まれる情報量はあまりにも膨大で、実際のところ何に注目すればいいのか分からないという人も多いのではないでしょうか?

今回のコラムでは、「新聞の経済情報を読むポイント」をテーマに、資産運用において身近な新聞の経済記事や経済データのチェックポイントについて解説してみたいと思います。

新聞の経済情報のチェックポイント1〜「マクロ記事」と「ミクロ記事」〜

新聞の経済情報には、大きく分けて「マクロ記事」と「ミクロ記事」の2つがあります。マクロ記事とは、前日に起こったマーケット動向や経済指標などの経済全般に関わるニュースであり、ミクロ記事とは、業界動向や個別企業などの専門的なニュースです。まずは、新聞の経済情報の概要を掴んでもらうために、以下にその特色をまとめてみました。

分類 掲載欄 情報内容 分かること
マクロ記事 経済 経済政策、経済指標、社会保険、税金 他 日本経済の現状と方向性
国際 世界情勢、主要国の経済動向 世界経済の現状と方向性
マーケット 為替市場、債券市場、株式市場 他 マーケットの現状と方向性
ミクロ記事 金融 金融機関情報、金融商品情報 他 金融取引の参考
企業 業界動向、企業動向、最新ビジネス 他 ビジネスの現状と方向性
投資・財務 企業決算、企業業績、企業財務 他 企業業績の現状と方向性
証券 株価情報、ファンド価額情報 投資対象の参考

※上記は日本経済新聞の例、掲載欄の名称は新聞によって異なります。
※大きなニュースは、第一面や総合面でも取り上げられます。

この経済情報の「マクロ記事」によって世の中全体の動きをイメージし、「ミクロ記事」によって個別の動きを見ていくわけですが、慣れない内は最初に大見出しとリード(前文)だけをさっと拾い読みして、概要を捉えるようにすればよいでしょう。また、その後で気になった記事を読んでいくようにすれば、さらに理解が深まります。こうすることで、第一面から順番に熟読するよりも、経済の動きをよく把握できて効率的です。

そして、日々のマクロ記事やミクロ記事を読みこなすことによって、経済情勢やマーケット動向が分かり、将来有望な(もしくは避けた方がよい)投資対象や運用商品などの判断をすることができます。

新聞の経済情報のチェックポイント2〜「事実」と「意見」〜

とはいっても、日々の経済情報の記事をなんとなく断片的に見ているだけでは、そのニュースの背景にある経済や社会の大きな流れは中々読み取れません。また、長期の資産運用を行う上で重要となる大きなトレンド(相場の上昇や下落)を把握することができません。

そこで、大きな流れや大きなトレンドを把握するために、経済情報の記事が「事実」と「意見(分析・解説)」に分かれていることを念頭において、じっくりと読んでみましょう。すなわち、新聞は様々なニュースの事実だけを伝えているのではなく、それらの背景や今後の経済等への影響なども、独自に分析し、解説しているのです。

例えば、平成19年6月14日(木)付けの日本経済新聞・朝刊の総合面には、金融市場で円安と金利高が同時進行しているという記事が掲載されていました。これによると、円相場は、一時1ドル=122円半ばまで下落して4年半ぶりの安値をつけ、長期金利の指標となる新発10年国債利回りは、一時1.985%まで上昇し約11ヶ月ぶりの水準となったと書かれています。

この記事の事実背景としては、米国の利下げ観測が後退したことをあげていますが、日米の為替と金利の関係が分からない人にとっては、「米国の金利が日本にどんな影響があるの?」と思われるでしょう。そのような疑問に答えるかのように、この記事の中では、日米の金利や為替市場の関係、今後の影響などについてしっかりと解説してあります。

<上記の記事例の場合:為替相場の事実と意見(日本経済新聞6/14朝刊より>

事実 日本で円安と金利高が同時進行している
→ 通常は、金利高になれば、円高になるというけれど・・・
意見
(分析・解説)
通常は、金利高は通貨高の要因になるが、市場は日米の金利差に着目している。・・・低金利の円よりも金利の高いドル資産で運用したいと考える投資家が増え、外国債券で運用する投信への資金流入が加速。外為市場で円売り・ドル買いを誘っている。

このように、新聞の経済情報の「事実」と「意見(分析・解説)」を読み分けることによって、徐々に自分なりの経済の見方やシナリオが作れるようになったら、あなたも経済通といえるでしょう。そして、あなた独自の経済の見方やシナリオが資産運用や金融取引を行う際の一つの指針となります。

新聞の経済情報のチェックポイント3〜チェックしておきたい経済データ〜

「日本の景気は今後どうなるのか?」「給料は増えそうか?」「物価はどうなるのか?」など、経済の動きを把握するために、よく用いられるのが経済データです。

次の表のデータは、最低限チェックしておきたい経済データの種類と内容についてです。資産運用を行う上ではもちろんのこと、住宅ローンなどの借入をしている人にとっても、その動向は普段の生活に密接に関係してきますので、その内容を十分に理解しておくことは大切です。

チェック頻度 データ種類 内容
毎日チェックしたい
データ
株価指標
(日経平均株価)
代表的な株価指標。日本企業の株価全体の動きを表すデータで、景気のバロメータとなる。株式や投資信託で運用する方は必見。なお、重要な株価指標としては「TOPIX(東証株価指数)」もあり、東証1部上場株全てが対象なので、日経平均株価よりも株価全体の動きを反映。
金利
(長期金利)
代表的な長期金利は10年国債利回り。金利は資金の方向性を示しており、株価と同様に景気と密接な関係を持つ。預金や個人向け国債などの金利動向に注目。また、住宅ローンを借りている方(借りる方)は借入金利に注意。
為替レート
(米ドル/円、
ユーロ/円)
円レートが外国通貨に対し、上昇すれば円高、下落すれば円安となる。外貨預金や外国債券などの外貨投資だけでなく、海外旅行や輸入製品などの価格にも影響。
毎月チェックしたい
データ
景気動向指数 景気と関係の深い経済指標を集計して算出されるデータ。景気を計る様々なデータを一つの指標にして、景気全体の動向を示す。景気の現状や先行きを判断。
完全失業率 労働力人口に占める完全失業者(仕事をしていなくて、すぐに就業できる状態にあり、仕事を探している人)の割合で、雇用情勢から景気を判断。
消費者物価指数 消費者の支出にとって重要度の高い商品等の価格動向を表すデータで、物価動向やインフレ(デフレ)を判断。
年4回チェックしたい
データ
経済成長率 経済活動の規模や変化の物差し。一般的に経済成長率の上昇は景気の上昇を、下落は景気の下落を表す。経済成長率の予測と実績の両方に注目。
日銀短観 企業経営者に対して景況感のアンケート調査を行い、集計されたもの。他のデータと比べて、景気の実態を非常によく反映。

これらの経済データは、それだけを見れば単なる数値情報ですが、そのデータが表している基本的な意味や特色を理解しておけば、その変化を継続的にチェックすることで、経済の動きが少しずつ見えてくるのではないでしょうか?

新聞の経済情報を「宝の山」に!

ところで、話は変わりますが、みなさんは競馬新聞をご覧になったことがありますか? 競馬新聞とは、その名の通り、競馬の専門紙で開催競馬場の一日の出走表などが掲載されたものですが、この中の出馬表には、出走各馬の騎乗騎手・厩舎・馬主の情報から近走成績や競馬記者の勝馬予想まで様々なデータが一覧表にぎっしりと詰まっています。

私のように何も知らない者にとっては、意味不明な数字と暗号のような単語の羅列に過ぎない情報も、競馬に興味のある人が見れば、宝の山(らしいの)です。これと同じように、新聞の経済記事や経済データも、資産運用や金融取引をする人にとっては宝の山ではないでしょうか?

新聞の経済記事や経済データが持つ意味や背景を知り、その変化を日々追いかけることによって、現在の経済情勢やマーケット動向、さらには将来の景気見通しやマーケット見通しなどが少しずつ見えてきます。こうなれば、新聞の経済情報も、競馬ファンの競馬新聞と同じくらい面白いものに感じられ、資産運用や金融取引をする際の有益なツールとして、あなたの心強い味方にきっとなってくれるはずです。

ファイナンシャル・プランナー(CFP®)
黒田尚子

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