節約・ライフプラン

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節約マネーコラム

第50回:将来きちんと年金を受け取るために、今できること(2007年6月)

近頃、年金の支給漏れ年金の加入記録の不備に関するニュースをたびたび目にします。年金の記録訂正件数は、2001年4月以降分だけで24万件を超えた(毎日新聞、2007年5月21日)とのことで、決して他人事ではありません。公的年金は老後の生活を支える大きな柱ですから、年金が一部でも受け取れなかったら大問題です。

あなたの年金は大丈夫でしょうか? 今回は、最近話題の年金の支給漏れの原因を探り、年金を将来もらい損ねないために今できることを考えてみましょう。

年金の支給漏れの原因は?

年金の支給漏れは、年金の加入記録の不備が大きな原因となっています。年金受給資格の有無や年金額は、加入期間や納付した保険料によって決まるので、加入記録の不備によって、将来もらえるはずの年金が受け取れないことがあるのです。

現在、年金の加入記録は、個人毎の「基礎年金番号」で管理されています。この「基礎年金番号」による管理は、それまで国民年金・厚生年金・共済組合等の年金制度毎に管理されていた年金記録を統一して管理するために平成9年に始まったものです。本来は基礎年金番号毎に、その人の一生分の加入記録が管理されているはずなのですが、現状では年金制度に加入していたはずの期間の記録が一部漏れているケースが相次いでいます。

特に、転職などで複数の年金手帳を持っていたり、結婚などで改姓していたりすると、転職前や改姓前の加入記録が基礎年金番号に統合できていない場合が多くあるようです。また、加入記録の生年月日の間違いや漏れも見つかっており、同姓同名の場合などでは、誰の加入記録かを特定することが困難になっているそうです。

さらに、年金記録をコンピュータ化した際の入力ミス、社会保険庁や自治体による記録の紛失や誤った処理も見つかっています。本当に腹立たしいことですが、加入記録に不備があれば損をするのは加入者自身ですので、加入記録の確認は早めに行っておく方がよさそうです。

年金を受給するには、原則25年の加入期間が必要

年金の加入記録の不備が、将来の年金受給にどのように響いてくるのか、ここで年金制度受給資格期間についておさらいをしてみましょう。

表1のように、加入している年金制度は職業によって異なります。このうち、「国民年金」は公的年金制度の土台となる年金制度で、日本に住む20歳以上の人は全て加入することになっています。年金制度を建物に例えると、国民年金制度は1階部分にあたり、職業によってはさらに2階部分や3階部分の年金制度にも加入することになります。

<表1:職業によって異なる年金制度>

<3階>   企業年金 職域相当分  
<2階>   厚生年金 共済年金  
<1階> 国民年金
  第1号被保険者 第2号被保険者 第3号被保険者
自営業者など 会社員など 公務員など 会社員の配偶者等(第2号被保険者の被扶養配偶者)

老後の公的年金が受給できるかどうかは、どの年金制度に属していても、1階部分である老齢基礎年金の受給資格である「(原則)25年間の加入期間」の有無で決まります。そのため、加入期間の条件を満たしていなければ、多額の年金保険料を支払っていたとしても、年金を受け取る権利が得られないのです。

また、制度によって異なりますが、将来の年金額は支払保険料の額と加入期間で決まり、加入記録の漏れやミスは、年金受給資格や年金額にそのまま響いてくるのです。

<表2:年金制度と受給資格期間>

年金制度 受給資格期間
国民年金
(老齢基礎年金)
保険料納付済期間と保険料免除期間の合計(以下の1〜4)が25年以上であること。
1.国民年金、厚生年金、共済年金の加入期間
2.国民年金の保険料免除期間
3.合算対象期間(任意加入できるのにしなかった60歳未満の期間など)
4.学生の納付特例期間・若年者納付猶予制度による免除期間
厚生年金
(老齢厚生年金)
老齢基礎年金の支給要件を満たしていて、厚生年金保険の被保険者期間が1ヶ月以上あること。(ただし、65歳未満で受給する老齢厚生年金は、1年以上の被保険者期間が必要)
共済年金
(退職共済年金)
老齢基礎年金の支給要件を満たしていて、共済年金組合の組合員期間が1ヶ月以上あること。(ただし、65歳未満で受給する退職共済年金については、1年以上の組合員期間が必要)

※生年月日によっては受給資格期間の特例あり

きちんと年金をもらうために、加入記録の確認を

このように、基礎年金番号によって管理されている年金の加入記録に不備があれば、将来の年金受給が一部、最悪の場合は全部できないことがあります。また、年金の受給権は5年の時効で消滅してしまうので、あとで加入記録を訂正して不足分を受給できることになったとしても、過去5年より前の不足分を受け取ることはできません(注意1)。そのため、遅くとも年金受給を開始する前に、自分の加入記録をきちんと確認し、不備があれば訂正しておきましょう。

(注意1)
政府・与党は5月23日に、社会保険庁が管理する公的年金の保険料納付記録の全部や一部が欠落していたことが判明したものの、時効により本来の受給額との差額を5年間分しか受け取れない受給者について、時効を撤廃する方向で調整に入りました。これにより、年金の支払い不足が判明した場合に、5年間の時効を適用せず、全額支給することを検討しています。その一方で、社会保険庁は、本人の申し出がなく確認できないものについては救済しない考え方を依然変えておらず、今後の動向には注意が必要です。

年金受給には25年の加入期間が必要なので、60歳まで25年となる「35歳」も、加入記録確認の節目の年齢といえます。特に、転職して複数の年金手帳を持っている方や改姓された方は要注意です。不安があれば、すぐにでも確認しましょう。

最近は、社会保険庁でも、年金の加入記録の情報提供に力をいれてきています。35歳時には加入記録を記載した「ねんきん定期便」(今年12月には45歳、55〜59歳の人にも送付予定。平成20年4月には全ての被保険者が対象となる予定)が、58歳時には「年金加入記録のお知らせ」が送付され、また60歳・65歳時の「裁定請求書」の事前送付も行われているので、節目の年齢での加入記録の確認ができるようになりました。

さらに、これらの通知を待たなくても、表3のように自分の加入記録を確認する窓口や手段は複数用意されているので、すぐに確認することも可能です。年金の相談は、本人の依頼があれば家族や友人でもできます。その場合は、本人の基礎年金番号などを記載した「依頼状」と依頼された家族・友人の運転免許証などの身分証明書が必要になります。

なお、過去の公務員等の共済組合員期間については、基礎年金番号で確認できないことがあり、その場合は加入していた共済組合に照会・確認する必要があります。

自分の年金は自分でしっかりと確認することが大切

年金の加入記録に不備が見つかったら、社会保険庁に記録の訂正を依頼することになりますが、その際には領収証などの保険料を納付したことを証明できる書類が必要です。もし領収書などがなければ、保険料を口座振替したことがわかる預金通帳などでも認められるとのことです。

最後に、公的年金は、老後の生活を支える大きな柱であり、また安くはない保険料を支払っているのですから、早めに加入記録は確認し、今後も年金関連の手続き漏れに注意して、将来の年金受給を確実なものにしておきましょう。

<表3:年金の相談や加入記録の確認窓口>

来訪 全国の社会保険事務所、年金相談センター、中央年金相談室へ。
来訪相談の際には、年金手帳や照会申出書、年金加入記録が違っていると思われる期間の状況がわかる資料を持参。年金手帳がなければ、本人確認書類(運転免許証等)のほか、社会保険事務所や社会保険業務センターから最近送付された書類も持参。
電話 <社会保険庁:ねんきんダイヤル(HPに番号記載)>
一般固定電話の場合、接続先に関わらず市内通話料金で利用可能。
FAX <ファクシミリによる年金相談>
耳や発声が不自由なため、電話相談が困難な方向け。
文書相談受付票に必要事項を記入し、最寄りの社会保険事務所等にFAX。個人記録に基づく相談への回答は郵送で、一般的な相談への回答はFAXで返答。
インター
ネット
<年金個人情報提供サービス> 
インターネット(ID・パスワード認証方式)により、自分の年金加入記録を照会できる。
<年金加入記録照会・年金見込額試算(電子申請)>
基礎年金番号がわかっていれば、公的個人認証サービス等の電子証明書を取得した上で、インターネットから電子申請で年金加入記録の提供について申し込むと、電子文書による回答が得られる。

CFP®
大林香世

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