第49回:将来の教育費が足りないときはどうする?


教育費は人生の三大支出!

子供が誕生すると、その喜びと共に、気になるのが教育費なのではないでしょうか。実際、子供の教育費は、住宅購入費や退職後の生活資金とあわせて「人生の三大支出」と言われ、大きな出費を伴います。

教育費は子供の成長と共に必ず発生する費用ですから、お子さまがいらっしゃるご家庭では、マネープランの中で、何らかの準備をされているのではないかと思います。しかし、現実には、様々な要因で「予定通りに準備出来なかった!」という状況が起こり得ます。今回は、将来の教育費が足りなくなった場合、どのような手段があるのかを考えてみたいと思います。

教育費準備の基本は、「計画→実行→確認」でコツコツと!

教育費は、子供が産まれた時点で、「5年後に幼稚園に入園」「7年後に小学校に入学」・‥と言った具合に、出費の時期が自然と決まるので、計画的な準備が可能です。以下の「計画→実行→確認」を実践して、早めにコツコツと準備するのが基本です

ステップ1
<計画の作成>
希望する進学コースで必要となる教育費を計算し、将来の収支を予測。収支を予測することで資金が不足する時期と金額が明確になる。この予測を元に、具体的な目標を決め、資金計画を立てる。
ステップ2
<計画の実行>
計画を立てたら、早速準備をはじめる。進学コースによっては、準備すべき金額が高額になるため、目標金額が高額なほど、早めに準備をはじめることが大切。
ステップ3
<定期的な確認>
計画通りに準備ができているかを定期的に確認し、予定通りに準備が進んでいなければ、家計の見直しなど、改善策を検討する。

教育費が足りない時はどうする?

「子供が大学院にも進学したいと言い出して、予定したよりも教育費がたくさんかかりそう」「家のリフォームに伴い、予定していなかった出費が発生した」─しっかり計画を立てたはずでも、予定外の出費が発生し、準備が間に合わなくなってしまうことはよくあります。

教育費が足りなくなった時には、どのような手段があるのでしょうか? ここでは、教育費が足りなくなった時の力強い味方である「奨学金制度」と「教育ローン」についてご説明します。

奨学金制度の活用

奨学金制度とは、勉学意欲があるものの経済的な理由で就学が困難な人に、「奨学金」として一定の金額を貸与、または給付する制度です。奨学金制度の多くは、収入や学力などについての審査があります。

また、奨学金の種類としては、

  • 返済不要な奨学金(給付制度)と返済が必要な奨学金(貸与制度)
  • 無利息の奨学金と利息付の奨学

などがあります。一般的に、利息付の奨学金の貸与利率は、教育ローンの貸与利率よりも低い場合が多くなっています。

奨学金の申し込みについては、学校を通じて行う場合と運営団体に直接申し込む場合があります。学校には、奨学金に関する様々な情報が寄せられているので、まずは学校に問い合わせてみるとよいでしょう。以下に、主な奨学金制度の概要についてご紹介します。

日本学生支援機構による奨学金制度(国による奨学金制度)

平成15年度奨学事業に関する実態調査によると、日本学生支援機構による制度を利用した奨学生数は86万4千人、他の奨学団体と合わせた全体の76%以上を占めており、多くの学生が利用している制度です。

対象者 高等学校、高等専門学校、専修学校、短期大学、大学、大学院に在学する学生や生徒。
※高等学校における奨学金業務については、平成17年度より順次各都道府県に移管
種類 無利息の「第一種奨学金」と利息付の「第二種奨学金」の2種類の制度があり、どちらも返済が必要。審査基準は、第二種奨学金よりも第一種奨学金の方が厳しくなっている。
貸与金額 第一種奨学金の場合、学種別・設置者・入学年度・通学形態別にそれぞれ定められており、第二種奨学金の場合、国公立・私立、自宅・自宅外にかかわりなくいくつかの月額から選択することができる。また、「入学時特別増額貸与奨学金」として、増額貸与を受けることができる場合もある。
返済 奨学金は卒業後(貸与終了後)、返済金額に応じて定められた回数・期間で返済する。なお、一括返済や繰上げ返済も可能。

<高等学校・大学における第一種奨学金及び第二種奨学金の貸与月額の例>

区分 進学先 自宅通学 自宅外通学
第一種奨学金の
貸与月額の例
(平成19年度採用者・入学者)
高等学校 国・公立 18,000円 23,000円
私立 30,000円 35,000円
大学 国・公立 45,000円 51,000円
私立 54,000円 64,000円
第二種奨学金の
貸与月額の例
(平成19年度入学者)
大学 国・公立・私立 30,000円・50,000円・80,000円・100,000円の中から選択

都道府県、区市町村による奨学金制度

各都道府県、区市町村で独自の奨学金制度を行っている場合があります。奨学金の種類は、運営する自治体により異なっています。高等学校を対象としている制度と大学・大学院を対象としている制度は、同程度の割合で実施され、また給付制度よりも貸与制度の方が多く実施されているようです。審査要件については、学生本人或いはその保護者が、その地域に在住または在学しているかなどの要件があるのが特徴です。

学校独自の奨学金制度

学校独自の奨学金制度がある場合もあります。学校種別毎の制度数を見ると、高等学校よりも大学・大学院の方が、制度数が多くなっています。大学種別で見ると、国公立よりも私立の方が、制度数が多くなっています。また、貸与制度よりも給付制度の方が多く実施されているようです。

その他

上記以外に、民間の育英団体による奨学金制度、新聞奨学会制度による奨学金制度などもあります。

以上見てきたように、奨学金制度はそれぞれ審査要件が異なるので、「在住・在学地域や進学する学校にどのような奨学金制度があるのか?」「審査要件を満たすことができそうか?」「併用はできるのか?」など、事前に情報収集しておくことが大切です。また、奨学金制度の対象は高等学校以上であるのが一般的です。幼稚園・小学校・中学校においては、活用できないことに注意しましょう。

教育ローンの活用

次に、教育資金が不足する場合、教育ローンを利用するという方法もあります。教育ローンは、大きく分けて、「公的教育ローン」と「民間金融機関による教育ローン」の2つがあります。

公的教育ローン

公的教育ローンには、「教育一般貸付」「郵貯貸付」「年金教育貸付」の3つの制度があります。一般にこれらのローンは、民間金融機関の教育ローンと比べて低金利になっています。

教育一般貸付 利用できる人 原則、大学、大学院、短期大学、高等学校、高等専門学校、専修学校などに入学・在学している学生の保護者。収入要件あり。
融資額 学生1人につき200万円以内
取扱窓口 国民生活金融公庫
郵貯貸付 利用できる人 教育積立郵便貯金の預金者
融資額 学生1人につき200万円以内 (ただし、教育積立郵便貯金の現在高の範囲内)
取扱窓口 郵便局
年金教育貸付 利用できる人 厚生年金保険または国民年金の加入期間が10年以上の被保険者
融資額 厚生年金保険被保険者は学生1人につき100万円以内
国民年金被保険者は学生1人につき50万円以内
(ただし、同一学生1人につき100万円以内)
取扱窓口 都道府県の年金福祉協会など

民間金融機関の教育ローン

現在、多くの民間金融機関が教育ローンを取り扱っています。民間金融機関の教育ローンの貸付利率は、公的教育ローンと比べて高くなっていますが、商品によっては、融資限度額が公的教育ローンと比べて高い場合や、幼稚園から利用できるものもあり、幅広い活用が可能です。

融資限度額、返済期間、金利タイプ、融資条件などは商品毎に異なります。また、金融機関によっては、教育積立や住宅ローンを利用している場合など、取引状況に応じて金利優遇を行っている場合もあります。そのため、将来、教育ローンの活用を考える場合には、事前にそうした情報を収集して上手に活用するとよいでしょう。

奨学金制度や教育ローンの活用にあたって・・・

奨学金制度や教育ローンは、教育資金が不足してしまった場合の力強い味方です。その一方で、貸与方式の奨学金や教育ローンで借りた資金には返済義務があります。そのため、金利が低いからと言って安易に活用するのではなく、将来の返済計画をしっかりと考慮した上で、無理のない範囲で活用することが大切です。

また、奨学金も教育ローンも、場合によっては、返済期間が長期間となる可能性がありますので、親子で協力して返済していく場合には、返済計画について、親子間できちんと話し合いをしておくことも大切です。

ファイナンシャル・プランナー(CFP®)
杉田ゆみか

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