節約・ライフプラン

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節約マネーコラム

第37回:金利上昇?!ここが怖い!住宅ローンの注意点 (2006年5月)

2006年3月9日に日銀が量的緩和政策の解除を発表しましたが、その前後から約2ヶ月間で適用金利が0.2〜0.3%程度アップした住宅ローン商品も多く見られます。ニュースを聞いた直後に「今3年固定で借りているんですが、どうしたらいいですか?」という慌てた相談も多く寄せられました。

量的緩和政策が解除されても「ゼロ金利」は当面維持され、急な金利上昇は避けるという方針ですが、状況を見ながら本来の姿に戻していくということは、今まで意図的に低くしていた金利はやはり上昇傾向にあるといえるでしょう。

過去20年間の銀行の変動金利(平均)が約4.5%だったことを思うと、ここ10年程の低金利が異常だったともいえます。金利上昇期は長期固定金利タイプが安心といえますが、今回は、既に住宅ローンを借りていて、途中で金利が変更するタイプを利用している人が何に注意して、どう見直したらいいかを中心に整理してみます。

「え?金利が上昇しなくても4年目の返済額は上がる?」というケースも!

銀行などの金利キャンペーンで、特に借入当初の金利の低いものを選んだ人が当てはまります。これらの住宅ローン商品は、金利が大きく上昇しなくても、2年や3年といった固定金利期間が終了すると、適用金利が自動的に上がってしまうという問題点があります。

例えば、3年固定1%を選んでいた場合(元利均等返済方式)

(3,000万円借入、35年返済、固定金利期間終了後、店頭金利から−0.4%の例)

図

上記のように4年目以降、今の水準で金利が大きく変わらなかったとしても、毎月返済額が約1.7万円もアップしてしまいます。もし、この返済額アップを避けるために、ちょうど金利改定時に繰上返済をして465万円分の借入残高を減らせば、毎月返済を同じ水準に抑えられますが、3年間にこれだけの繰上返済用の貯蓄を確保するのは簡単なことではないでしょう。

また、今よりも更に金利がアップしていれば、もっと家計への負担は重くなってしまいますので、それにも耐えられるかどうかをよく確認しておきましょう。

では、既に住宅ローンを借りていて、途中で金利が変更するタイプを利用している人が、どのような対策を取れば、金利上昇の影響に対処できるかを考えてみたいと思います。

対策1:少しでも固定金利期間の長い住宅ローンへ借換えをする

やはり、毎月返済額がアップしてしまうのは困るとお考えの場合の対策としては、まず「借換え」が候補になります。借換えは、別の金融機関で新規に借りて元のローンを返してしまう方法で、手続きには1〜2ヵ月かかります。借換えで適用される金利は、融資が実行された時点の金利になるので、借換えをしたいと思ったら、申込みは早めに行うのが鉄則です。

また、最近は保証料のかからない住宅ローンも増え、借換えの諸費用も抑えて借換えの効果をあげられるケースも増えてきましたので、ローン商品に詳しいFPなどに相談してみるのもいいでしょう。

ただし、次のような場合は借換えができないこともあるので、ご自身の状況は確認しておきましょう。

  • 転職や独立をしてまだ間もない(勤続は2〜3年必要)
  • 契約社員や派遣社員に変わった
  • 収入が下がって(年間返済額÷年収)割合で金融機関の基準を満たせない
  • 持病があって団体信用生命保険に入れない
  • 担保が大きく割れている(最近は担保割れでも一定の範囲であれば貸してくれるところもある)

対策2:金利上昇に対処できるよう貯蓄に励み、
      状況をみて返済額軽減型の繰上返済をする

以前「期間短縮型の繰上返済は、早ければ早いほど支払利息の節約効果大」と万能薬のように言われ、何が何でも繰上返済を早くしようとする人をよく見かけました。

ところが、短期固定タイプの住宅ローンで、やたらと早いうちに期間短縮型の繰上返済を行うと、手元資金がなくなり、かつ期間が短縮されている分、金利上昇の影響が大きく出てしまう、マネープランの致命傷になるケースも増えています(以下図参照)。

例えば、5年固定タイプ(1.9%)を利用した場合(元利均等返済方式)

(3,000万円借入、30年返済、ボーナス返済なし)


(1)早めに繰上返済し、2年経過後と4年経過後に、期間短縮型で各200万円ずつ返すと?


(2)5年後の金利アップ時に400万円を返済額軽減型で繰上返済すると?

上記(1)のように、期間短縮型の繰上返済は、金利上昇リスクの対策にはならないこともあるので注意が必要です。

住宅ローンは長期の返済であり、臨機応変に対応できるよう、「繰上返済のタイミングには十分注意して、まずは貯蓄を確保しておき、繰上返済を慌てて先に行うのではなく、金利上昇の状況を見て、金利改定時に必要なだけ行うという方法」もあるということを知っていただきたいと思います。

ファイナンシャル・プランナー(CFP®)
吹田朝子
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