第33回:これから始める!リスクの小さな金融商品


貯蓄ばかりではなく、運用もすべきなの?

昨年来、株式の上昇の話題が増えてきました。このような話題を頻繁に耳にすると、「運用を少しやってみようかしら?」と思う人も多くいらっしゃるでしょう。

一方、預貯金はと言えば、相変わらずの低金利ですから、株式などが興味を引くのも無理はありません。でも、運用は株式だけではありません。債券や外貨、投資信託など他の手段もあります。では、何から始めたらよいのでしょうか? それにはまず、それぞれの商品がどういう仕組みで、どういうリスクがあるのかをきちんと理解した上で選びたいですね。

そして、預貯金だけに預けているのではダメなのか、ということも気になるところです。しかし、預貯金以上の利回りを目指すということは、もしかしたら元本を下回るかもしれないというリスクも負うことになります。ですから無理にリスクのある商品で運用する必要はありません。ただ、限りなく元本割れの心配がない商品もあります。それで預貯金より高い利回りが期待できるのであれば、挑戦してみる価値はあるのではないでしょうか?

リスクにも大小がある

元本が保証されていない商品、と一口に言ってもそのリスクの大きさはさまざまです。

リスクの大小とは、金額がどのくらいぶれるのかということです。つまり「元本を下回る恐れ」というよりも、リスクが大きいものは「増える金額も大きいだろうが、減る金額も大きくなる可能性がある」ということ、リスクが小さいものは「増える金額はさほどではないだろうが、減ったとしても大きくは減らないだろう」ということです。

金融商品を、リスクの大きさで示すと以下のようなイメージになります。

比較的リスクの小さな商品にはどんなものがある?

預貯金のように「元本保証」ではないけれど、預貯金よりは高い利回りが期待でき、大きく元本を割る可能性は小さい、いわゆるリスクの小さな商品としては次のようなものが挙げられます。

(1)国債(日本の国債)

国債とは国が発行する債券で、債券とは簡単に言うと借用書のようなものです。つまり国債を買うということは、私達が国にお金を貸して、それに利息を付けて返してもらうということになります。仕組みは下図のようになります。

満期(償還時)まで保有した場合には、元本はそのまま返ってきますので元本割れの心配はありません。ただし、中途で換金したいということになると市場で売却することになり、その時点で取引されている金額となるため元本を下回ることも考えられます。

また、債券のもう1つのリスクは信用リスクです。債券を発行しているところ(日本の国債なら日本という国)が倒産したり破綻したりすれば、借金は返せなくなる=元本は戻ってこない、という可能性もありますので発行元の信用度もとても重要です。

さて、この国債の仕組みを少し変えた「個人向け国債」という商品が今人気を呼んでいます。

▼「個人向け国債 変動10年」

個人向け国債は期間10年の国債ですが、発行から1年が経過すればいつでも日本国政府が換金に応じてくれます。ただし、その際は直前2回分(1年分)の利子が差し引かれますので、短期で換金してしまうと元本割れの恐れもあります。そのため、少なくとも2~3年以上は換金しなくてもよいお金の運用と考えましょう。この商品の人気の理由として、次のような特徴が挙げられます。

  • 短期の中途換金さえしなければ、元本割れの恐れがほとんどない
  • 金利が半年ごとに見直される変動金利なので、今後金利が上昇するのではないかと思われる
  • 現在の状況に合っている
  • 定期預金よりも金利が高い(平成18年1月発行分0.68%)
  • 1万円から預け入れられる

▼「個人向け国債 固定5年」

平成18年1月より新しく発行されたものです。変動10年が半年ごとに金利が見直されるのに対し、こちらは発行時の利率が満期まで変わらない固定金利です。中途換金も発行から2年経てば日本国政府がいつでも換金に応じてくれますが、その際には直前4回分(2年分)の利子が差し引かれます。平成18年1月発行分は、年利0.85%でした。

変動10年との大きな違いは、金利が固定ということです。固定金利ですので、変動10年よりも高い金利になっていますが、今後、これ以上に金利が上昇したとしても発行時の金利のまま、という点はよく理解しておきましょう。

(2)元本確保型 投資信託・投資型年金

最近では、銀行でも投資信託や投資型年金(変額年金)が販売されるようになりましたが、その中に「元本確保型」というものがあります。元本保証はしないけれども、元本を確保するよう運用します、という商品です。

基本的な仕組みは、資金が「安定的に運用する部分」と「積極的に運用する部分」に分けられているもので、「積極的に運用する部分」の運用に失敗したとしても「安定的に運用する部分」だけで元本を確保できるように組まれています。

ただし、このような商品でも多くは「償還(満期)までこの商品を保有した場合に元本が確保できる」というものですので、中途解約した場合には大きく元本を下回ってしまう可能性もあります。

また、元本確保の「元本」が外貨建てであった場合には、ドルベースやユーロベースでは元本が確保されたとしても、為替の変動によって円ベースでは元本割れするということもありますので注意が必要です。

リスクが小さい商品でも、商品内容はしっかり確認

このように、限りなく元本保証に近い商品で元本が確保されるとしても、リスクを知らずに、利用方法を間違えると元本を割ってしまう可能性が高くなります。
ですので、

  • どのくらいの期間保有すれば元本が確保されるのか
  • その期間、換金しなくてもよいような余裕資金か
  • 確保される元本は円ベースか、外貨ベースか
  • 中途解約した場合にどのくらい元本を下回るのか

などの点に特に注意して、商品内容をしっかりと確認しましょう。

なお、保有期間が長く、金利が固定されている場合には、たとえ今の預貯金の金利と比べて有利だからと言って、将来的にも有利とは限りません。目先の金利だけではなく、今後の金利状況はどうなるのか、ということも考慮に入れて商品の選択をしましょう。

マネーカウンセリングネットWealth
ファイナンシャルプランナー(CFPR)
高田晶子

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