第22回:暮らしに身近な健康保険の基礎知識


病気やケガで通院したり、入院したりするときに利用する健康保険(公的医療保険)。でも民間の医療保険と混乱してしまったり、保険料が結構高いな…と気になっている人も多いのではないでしょうか? 今回は、私たちの暮らしにおいて、健康保険がどのように関わっているのかを整理してみます。

保険料はどう決まる?

健康保険には、勤め先を経由して加入する健康保険組合政府管掌健康保険と、自営業や一定の年収のある人が加入する国民健康保険などがあります。


~健康保険の種類~

職域保険 組合健康保険、政府管掌健康保険、船員保険、国家公務員共済組合、地方公務員等共済組合など
地域保険 市町村国民健康保険、国民健康保険組合


これらは、公的な社会保障の一つなので、民間の保険会社の商品ではありません。健康保険は民間の保険と違って、健康状態に関係なく、誰でも加入でき、その保険料は基本的に収入によって決まってきます。

政府管掌健康保険の場合

主に4・5・6月に支給された総支給額の平均をもとに「標準報酬月額」が定められ、その額に健康保険料率を掛け合わせて健康保険料が決まります。保険料は、会社が半額負担するので、残りは本人の給与から天引きで徴収されます。会社が半額負担するという点で、自営業者のケースより優遇されているといえますよね。ちなみに現在は、総報酬制といって、賞与からも標準報酬月額と同率の健康保険料が徴収されています。

国民健康保険の場合

以前、筆者も国民健康保険に加入していた時代があり、自分の保険料の納付通知が世帯主あてにきたのを不思議に思ったことがありました。保険料の額は、世帯の健康保険加入者数による均等割の額と、加入者本人の所得(市民税額)による所得割の額で決まります。

その料率などは市町村によって異なりますが、毎年6月にその年の4月から翌年3月までの保険料について世帯ごとに決定されて「国民健康保険料額決定通知書」が送られてきます。世帯ごとに決まってくるので、納付義務者は世帯主になっているのです。

健康保険がきくもの、きかないもの

健康保険に加入することで、私たちは健康保険証(健康保険被保険者証)を手にします。これを見せることで、病院などで治療を受けても、3歳以上70歳未満の人は、かかった医療費の3割負担(3歳未満は2割負担、70歳以上は1割負担)ですむのです。健康保険のきくものには、主に以下があげられます。


~健康保険のきくもの~

病気やケガの治療を
目的としたもの
診察、医療処置・手術などの治療、薬や治療材料の支給、主治医の指示による在宅療養および看護、入院および看護など


また、健康保険には、1カ月の自己負担額が一定額を超えた場合にその超過分が戻ってくるという高額療養費制度もあります。しかし、それらは、あくまで健康保険がきく治療が対象で、健康保険がきかないものについては自己負担をしていくことになります。健康保険のきかないものには、主に以下があげられます。


~健康保険のきかないもの~

治療以外の
予防的なもの
人間ドッグ、出産費用、予防接種、虫歯予防のための処置、歯列矯正など
差額ベッド代 少人数部屋を利用する際の「個室料」。ただし、大部屋の空きがなく本人の希望でない場合や、治療に必要な場合は負担する必要はない
食事療養費の
患者負担分
1日780円
高度先進医療 (研究段階の最新治療)の技術料
入院生活に関する
諸雑費
病室でのテレビ代、理美容代、家族の交通費など


なお、健康保険については、給付対象は「医療」に関わるものだけだと思われがちですが、医療以外にも、出産したときの「出産育児一時金」や死亡したときの「埋葬費(葬祭費)」などもありますので、ちょっと頭に入れておきましょう。(加入している健康保険によって給付対象は異なります)

家族が遠方で暮らす場合は、「遠隔地被保険者証」も

最近はカード式で、扶養家族も含めて1人1枚ずつ健康保険証が付与される健康保険も登場し、利便性が向上してきています。でも、一世帯に1枚しか健康保険証が発行されない場合でも、遠くで暮らす家族に対応するために、申請をすれば「遠隔地被保険者証」を交付してもらえます。下宿などで親と離れて暮らしている子供なども、手元に健康保険証を保持して生活できることで安心感が得られるので、窓口で申請してみるといいでしょう。

ファイナンシャルプランナー(CFP(R))
吹田朝子

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